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思い出す
思惑の真意
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莉奈「聞きたい事なんだけど…」
莉奈「…香音とはどういう関係だったの?」
宏樹「…さぁ…よく、分からない…」
宏樹「…友人と言うにはあまりに近く、恋人というにはあまりに信じられない…そんな関係だ」
莉奈「…そういえば、これ」
莉奈さんが差し出したのは、普通の手帳。
俺はその手帳を手に取った。
裏を見ると、そこには香音の名前があり、この手帳の持ち主が香音であることを示していた。
宏樹「これは…?」
莉奈「香音がいなくなる前に、「宏樹君に渡して」って言われて渡された手帳。」
俺は紙をめくって目を通した。
一見、至って普通の日記のようだが…
香音がいじめられ始めたのであろう日から様子が変わり始めた。
────
9月19日
今日、急に恵ちゃんから「彼氏いるなら先に言えよ!」と言われて暴力を振るわれた。痛かったけど、私は「何の事?」と恵ちゃんに聞いた。そしたら、「匂わせておいて、そうやって隠してんのがキモいんだよ!」と言われてまた殴られた。私は何も分からず、そのまま逃げた。
9月20日
恵ちゃんがみんなに言いふらしたらしくて、明子ちゃんと楓ちゃんにも叩かれた。昨日、殴られたとこが痣になっちゃったから、今日叩かれたとこの赤く残っちゃうよね…宏樹君にバレたら絶対に心配かけちゃうからなんとか隠さないと…
9月23日
今日は酷かった。
明子ちゃんに手首を引っ張られて、楓ちゃんはもう片方の腕を掴んできたから抵抗出来なくて、そのまま恵ちゃんに何回も叩かれた。強く掴まれてた手首と叩かれた腕はすぐに真っ赤になって、まだ半袖だから隠すことも出来ない。そんなせいで宏樹君にこの事がバレかけた。なんとかしないと…
9月27日
残っちゃった跡はなんとか隠してるつもりだったけど、宏樹君は全部見てて、ついにバレちゃった。その日は宏樹君の家に泊めてもらっちゃったし、心配かけちゃうし、私って本当にダメ。
でも、この事には本当に宏樹君を巻き込むわけにはいかない。これ以上、宏樹君に迷惑はかけられないから。
9月30日
多分、これが最後の日記になると思う。
私はあの子達に仕返しする事にした。そうしないと、宏樹君が巻き込まれるのも時間の問題だから。今日、あの3人は車に乗って合コンに行くっていう話を莉奈ちゃんがしてくれた。
あの時、宏樹君には「知り合いは宏樹君しかいない」って嘘をついちゃったけど、あの時に莉奈ちゃんの事を宏樹君が知っちゃったら、莉奈ちゃんの事を疑いそう。だから言わなかった。
3人が乗る車のルートはあの公園の近くにある道路。
私はその車に頭から轢かれる。即死出来ないで植物状態になった時の対象方法はもう宏樹君に伝えてある。
宏樹君には申し訳ないけど…でも、この状況、私はもはや生きてるだけでいつ宏樹君に迷惑がかかるかも分からない。莉奈ちゃんにこの手帳を渡して、宏樹君に渡すように伝えておいた。これで安心して行ける。
ごめんね、宏樹君。
でも、本当に愛してた。
またどこかで会いたいな。
───
…
莉奈「…私はもう読んだ。香音にちゃんと読んでいいかの確認もとった。」
莉奈「それでも…信じられない。香音がこんな事を考えてたなんてね…」
宏樹「…あれは事故じゃなかった。香音が起こした事故だったんだ。」
宏樹「香音が思い詰めた結果、香音なりに出した結論…それがこれか…?」
宏樹「…酷いじゃないか…ちゃんと俺に言ってくれれば良かったんだ」
莉奈「…そういう宏樹君も」
宏樹「…え…?」
莉奈「…なんで莉奈に伝えなかったの?」
宏樹「何を…」
莉奈「…その想いよ…宏樹君の心の奥底にあるその想い。」
宏樹「…」
莉奈「あなたは…あなたは香音の事が…好きだったんでしょう?」
莉奈「なのに…なのに何で伝えなかったの?香音はちゃんとこの手帳に書いて伝えてた…でもあなたは…?」
莉奈「ちゃんと、一度でもその気持ちを香音に伝えた事があるの?」
莉奈「香音はあなたの事を愛してた、だからこそあなたの事を思ってこうやって行動したの。…でもあなたは…!?
これじゃあ香音が勝手に想ってたみたいじゃない…!」
莉奈さんは静かに、涙を流しながら俺を叱った。
その声は、香音を失った者としての共感、そして俺への怒りが含まれていた。
宏樹「俺は…俺は怖かったんだ…」
宏樹「もし、あの噂が広まってるかもと考えてた時に、俺がそう伝えて失敗でもしたら香音はどうなる?」
宏樹「俺からもっと酷いいじめに遇うに違いない…だから怖かったんだ…」
宏樹「でも…こんな事になるとは思わなかったんだ…こんな事になるくらいなら…」
莉奈「…あなたは馬鹿ね。」
莉奈「香音は、あなたの事を愛していなかったら、香水をつけてまであなたの家に上がりたがらないし、わざわざあなたの事を暗くなるまで待たないわよ。」
莉奈「私…私達は小学校の時からずっと一緒だったからお互いの事を知り尽くしてる。」
宏樹「…」
宏樹「…もう一生会えなくなるんだったら、伝えれば良かった。」
宏樹「こんなの…あまりに酷すぎる…」
莉奈「香音は…ずっと私にだけ話してたよ。」
莉奈「…あなたの事が好きだって。」
冷たく、静かに唸る海風に晒されながら、俺と莉奈さんは砂浜に座り夜の海を眺めていた。
お互いの頬には、月光に照らされて光る涙の跡が残っていた。
莉奈「…香音とはどういう関係だったの?」
宏樹「…さぁ…よく、分からない…」
宏樹「…友人と言うにはあまりに近く、恋人というにはあまりに信じられない…そんな関係だ」
莉奈「…そういえば、これ」
莉奈さんが差し出したのは、普通の手帳。
俺はその手帳を手に取った。
裏を見ると、そこには香音の名前があり、この手帳の持ち主が香音であることを示していた。
宏樹「これは…?」
莉奈「香音がいなくなる前に、「宏樹君に渡して」って言われて渡された手帳。」
俺は紙をめくって目を通した。
一見、至って普通の日記のようだが…
香音がいじめられ始めたのであろう日から様子が変わり始めた。
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9月19日
今日、急に恵ちゃんから「彼氏いるなら先に言えよ!」と言われて暴力を振るわれた。痛かったけど、私は「何の事?」と恵ちゃんに聞いた。そしたら、「匂わせておいて、そうやって隠してんのがキモいんだよ!」と言われてまた殴られた。私は何も分からず、そのまま逃げた。
9月20日
恵ちゃんがみんなに言いふらしたらしくて、明子ちゃんと楓ちゃんにも叩かれた。昨日、殴られたとこが痣になっちゃったから、今日叩かれたとこの赤く残っちゃうよね…宏樹君にバレたら絶対に心配かけちゃうからなんとか隠さないと…
9月23日
今日は酷かった。
明子ちゃんに手首を引っ張られて、楓ちゃんはもう片方の腕を掴んできたから抵抗出来なくて、そのまま恵ちゃんに何回も叩かれた。強く掴まれてた手首と叩かれた腕はすぐに真っ赤になって、まだ半袖だから隠すことも出来ない。そんなせいで宏樹君にこの事がバレかけた。なんとかしないと…
9月27日
残っちゃった跡はなんとか隠してるつもりだったけど、宏樹君は全部見てて、ついにバレちゃった。その日は宏樹君の家に泊めてもらっちゃったし、心配かけちゃうし、私って本当にダメ。
でも、この事には本当に宏樹君を巻き込むわけにはいかない。これ以上、宏樹君に迷惑はかけられないから。
9月30日
多分、これが最後の日記になると思う。
私はあの子達に仕返しする事にした。そうしないと、宏樹君が巻き込まれるのも時間の問題だから。今日、あの3人は車に乗って合コンに行くっていう話を莉奈ちゃんがしてくれた。
あの時、宏樹君には「知り合いは宏樹君しかいない」って嘘をついちゃったけど、あの時に莉奈ちゃんの事を宏樹君が知っちゃったら、莉奈ちゃんの事を疑いそう。だから言わなかった。
3人が乗る車のルートはあの公園の近くにある道路。
私はその車に頭から轢かれる。即死出来ないで植物状態になった時の対象方法はもう宏樹君に伝えてある。
宏樹君には申し訳ないけど…でも、この状況、私はもはや生きてるだけでいつ宏樹君に迷惑がかかるかも分からない。莉奈ちゃんにこの手帳を渡して、宏樹君に渡すように伝えておいた。これで安心して行ける。
ごめんね、宏樹君。
でも、本当に愛してた。
またどこかで会いたいな。
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莉奈「…私はもう読んだ。香音にちゃんと読んでいいかの確認もとった。」
莉奈「それでも…信じられない。香音がこんな事を考えてたなんてね…」
宏樹「…あれは事故じゃなかった。香音が起こした事故だったんだ。」
宏樹「香音が思い詰めた結果、香音なりに出した結論…それがこれか…?」
宏樹「…酷いじゃないか…ちゃんと俺に言ってくれれば良かったんだ」
莉奈「…そういう宏樹君も」
宏樹「…え…?」
莉奈「…なんで莉奈に伝えなかったの?」
宏樹「何を…」
莉奈「…その想いよ…宏樹君の心の奥底にあるその想い。」
宏樹「…」
莉奈「あなたは…あなたは香音の事が…好きだったんでしょう?」
莉奈「なのに…なのに何で伝えなかったの?香音はちゃんとこの手帳に書いて伝えてた…でもあなたは…?」
莉奈「ちゃんと、一度でもその気持ちを香音に伝えた事があるの?」
莉奈「香音はあなたの事を愛してた、だからこそあなたの事を思ってこうやって行動したの。…でもあなたは…!?
これじゃあ香音が勝手に想ってたみたいじゃない…!」
莉奈さんは静かに、涙を流しながら俺を叱った。
その声は、香音を失った者としての共感、そして俺への怒りが含まれていた。
宏樹「俺は…俺は怖かったんだ…」
宏樹「もし、あの噂が広まってるかもと考えてた時に、俺がそう伝えて失敗でもしたら香音はどうなる?」
宏樹「俺からもっと酷いいじめに遇うに違いない…だから怖かったんだ…」
宏樹「でも…こんな事になるとは思わなかったんだ…こんな事になるくらいなら…」
莉奈「…あなたは馬鹿ね。」
莉奈「香音は、あなたの事を愛していなかったら、香水をつけてまであなたの家に上がりたがらないし、わざわざあなたの事を暗くなるまで待たないわよ。」
莉奈「私…私達は小学校の時からずっと一緒だったからお互いの事を知り尽くしてる。」
宏樹「…」
宏樹「…もう一生会えなくなるんだったら、伝えれば良かった。」
宏樹「こんなの…あまりに酷すぎる…」
莉奈「香音は…ずっと私にだけ話してたよ。」
莉奈「…あなたの事が好きだって。」
冷たく、静かに唸る海風に晒されながら、俺と莉奈さんは砂浜に座り夜の海を眺めていた。
お互いの頬には、月光に照らされて光る涙の跡が残っていた。
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