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鉄板がジュウと音を立てた。
等間隔の丸い穴には、クリーム色の液体と野菜と紅しょうが。
たこを入れようとして、私の手は止まった。
「え!嘘!タコ足りないじゃん!」
佐藤がたこ焼き器を覗き込んで、舌打ちをした。
「鈴木、下手、変われ」
手元から竹串がサッと奪われた。
その手捌きは、妙に手馴れていた。
ぐちゃぐちゃだった私のたこ焼きがあっという間にまん丸くなる。
こんなに上手く焼けるならはじめから自分でやれば良かったのに。
佐藤を煙越しに軽く睨んで、私はハイボールの缶をあおった。
テレビでは、恋愛リアリティショウが流れていた。豪華客船の甲板で男の人が、膝まづいて愛を叫んでいた。
方や豪華客船。方やコタツでたこ焼きパーティ。
温度差がなんか笑える。
「好きだよなぁ、女ってこういうの」
と佐藤がたこ焼きを転がしながら冷めた口調で言った。
「いいじゃん!こういう熱烈な告白とか素敵じゃん!」
ムッとして言い返すと佐藤は難しい顔をした。
「周り巻き込んで踊ったりするやつだろ?」
「フラッシュモブね。古いな」
「恥ずかしいだけだぞ」
「現実は違うって知ってるからいいの!」
出来上がったたこ焼きを受け取ってソースとマヨネーズをかけた。おかかも載せると、ゆらゆらとおかかがゆれた。
「ふーん。……ちょっと安心した」
言って佐藤は、丸い穴に液を流し込む。ジュウと鉄板が一際大きく音を立てた。
生地を流し終えると、佐藤が急に居住まいを直した。咳払いをひとつして、私を真剣な顔で見つめてきた。
「俺さ、幸せについて真剣に考えてみたんだけど」
「は?」
私は思わず顔をしかめた。難しい話は好きじゃない。
「え、なに、哲学語るの?」
「違うわ。真面目に聞けよ」
たしなめられたので、仕方なしに黙る。けど、哲学なんて真面目に聞く気になれない。私は缶をあおった。
「俺らさ、結婚しない?」
喉の奥でハイボールがつっかえた。
ぐふっと吹き出す。
口からこぼれたハイボールが、四方に飛んだ。
「汚ねぇ!たこ焼きにかかっただろ!」
「佐藤が変なこと言うからでしょ!」
ティッシュを差し出されて、テーブルと口を拭く。
佐藤が呆れたように息を吐いた。
「変じゃねぇよ。俺ら三十二だぞ」
「年齢の話じゃないし!てか、私ら付き合ってもないでしょ!」
「じゃあ付き合えばいいじゃん。今日から」
「は?」
付き合えばいいじゃん、ってどうしてそんな簡単に結論出せるの。
「鈴木はいま彼氏いないだろ。俺も彼女いないし、ちょうどいいだろ」
ちょうどいい。
便利グッズみたいな言い方されて、私のプライドが傷付いた。
はいはい、所詮鈴木とか思ってんでしょうとも。
私は冷めた目で佐藤を見た。
「よかないよ。付き合うって何すんの?」
佐藤はふざけるでもなく真面目な顔をしていた。
「デートとか?旅行とか?」
「旅行こないだ行ったじゃん」
「行ったな」
亡国のイージスの舞台が見たいとか何とか言って、某県の海浜公園に行ったことがあった。
佐藤は、感慨深そうに長いことひとりで海を眺めていた。そのあとも自衛隊基地やら色々連れていかれたけど、私は軍事系はさっぱり興味がないので、餃子と海軍カレーが美味しかったことくらいしか覚えていない。なんとも面白みに欠けた旅行だった。
「じゃあ、これ、お家デートってこと?」
「たぶん」
佐藤は頷く。家でテレビ見ながらタコパして飲んで食って終わり。
「……いつもと変わんないじゃん。え、私いつも佐藤とデートしてたの?」
その事実にちょっと驚く。
佐藤が難しい顔をした。
「なんだよ不満か?」
「不満って言うか……」
佐藤と付き合ってる状況が、想像ができないだけだ。
「あー……外に飯食い入ったりとか?オシャレなカフェ巡りとかしてみるか?そういうの好きだろ、鈴木」
確かに、カフェに行くのは好きだった。けれど、でっかい図体の佐藤が肩身を狭そうにしながら、サンドイッチをかじる姿は、なかなかに違和感があった。
「佐藤とカフェとか笑っちゃう」
「笑うなよ。変えたいなら、まあ頑張るわ」
そこ、頑張れるんだ。
正直、佐藤に変わって欲しいと思うこともない。
変わりたいと感じているところもない。これが標準すぎて想像がつかないというのもあるけど。
「今のままでいいっす」
答えると、「ふーん」と佐藤が呟いた。
一拍置いて、佐藤がたこ焼きをくるくる回しながら続ける。
「じゃあとりあえず同棲すっか。慣れたら結婚しようぜ」
「……展開が早いんだけど」
「不満あるなら今のうちに言えよ」
「不満じゃないけど……」
言葉を探して黙る。
「俺、そこそこ給料もらってるぞ」
「そうだね」
具体的にいくらかは知らないけど、佐藤がなかなかお金をもってるのは知ってる。
確かに結婚を考えるなら、そこは重要な事だけども。
「あと、母さんも鈴木も、お互いよく知ってるし、嫁姑問題もたぶんないだろ」
「ないね」
佐藤のお母さん。陽子さんとは子供の頃から付き合いがあって、たまに陽子さんと私の二人で宝塚歌劇団を見に行くくらいには仲が良い。
「俺の性格も知ってるだろ?お互い嫌ってほど理解してる」
「だね」
小中高と同じで家も近所だった。もはや、呪いかってレベルで縁がある。
「それで?何が引っかかるんだよ」
「差し当たって問題がなさすぎるのが問題なんだよ」
ほら、上手い話には穴があるって言うじゃないか。メリットしかないところが逆に怖い。
「いいことだろ」
「なんか、詐欺っぽい」
「鈴木相手に詐欺してなんの得になるんだよ。で、どっちの家に住む?」
「会社が近い方がいいかな」
「じゃあ俺ん家だな」
速攻で生活拠点が決まった。こういうのってもっと慎重に決まるものではないんか。
「……なんだろ。なんかモヤるな」
やっぱり何か釈然としない。
佐藤が面倒くさそうに顔をしかめた。
「何がそんなに気になるんだよ」
「話が早すぎるっていうか」
「早くねぇし。とりあえず泊まってくんだろ?」
「あのぅ、話聞いてますか?」
「今日するか?嫌ならしないけど」
佐藤にじっと見つめられて、思わず空気を飲み込んだ。
心臓がぎゅんとなった。
これは、まさか。
「……そ、添い寝のことじゃ、ない、よね?」
「は?セッーー」
「いいです!分かってます!みなまで言わんでください!」
俯いて、両掌を佐藤に向けた。
佐藤の顔が直視できなかった。
腕の間から見えた佐藤は気にする風もなくたこ焼きを頬張っていた。
なんでこいつ、こんなに平常心なんだ。
佐藤がこっちを見て、私は慌てて視線を逸らした。
「あ、いや、その……本気で言ってんの?」
「本気だけど」
あっさり返されて、言葉を失った。
つまり、そういうこと。
変に現実を帯びてきて、背中に嫌な汗をかいた。
「あー……急に色々変わるのは、ちょっと怖いんで……そのすぐには……」
半分嘘だった。
あまりにも距離が近すぎて意識したことなんてなかったから、もうちょっと時間が欲しかった。
「じゃあ、そっちも慣れたらでいいよ」
佐藤はあっさり引いて、またたこ焼き頬張った。
みなまで言わずとも察しているみたいだった。
「あ、はい」私は頷いて、ハイボールを一口飲んだ。妙に口の中が乾いていて、喉を通る炭酸が痛かった。
もっとグイグイこられたらどうしようかと思ったけど、あっさり引いてくれてほっとした。
酔いのせいか、知らない部屋に来たみたいな気持ちになってちょっと居心地が悪かった。
でも、飲み始めたら、微妙な空気なんてすっかり忘れて、食べて飲んで、としていたらあっという間に終電が終わった。
元々泊まる気だったからいいし、以前も泊まったことあったけどなんだろう。
微妙になんか違うんだよな。
それは佐藤が付き合うと宣言したからか、私が変に意識しているか分からないんだけど、変にこそばゆい感覚があった。
等間隔の丸い穴には、クリーム色の液体と野菜と紅しょうが。
たこを入れようとして、私の手は止まった。
「え!嘘!タコ足りないじゃん!」
佐藤がたこ焼き器を覗き込んで、舌打ちをした。
「鈴木、下手、変われ」
手元から竹串がサッと奪われた。
その手捌きは、妙に手馴れていた。
ぐちゃぐちゃだった私のたこ焼きがあっという間にまん丸くなる。
こんなに上手く焼けるならはじめから自分でやれば良かったのに。
佐藤を煙越しに軽く睨んで、私はハイボールの缶をあおった。
テレビでは、恋愛リアリティショウが流れていた。豪華客船の甲板で男の人が、膝まづいて愛を叫んでいた。
方や豪華客船。方やコタツでたこ焼きパーティ。
温度差がなんか笑える。
「好きだよなぁ、女ってこういうの」
と佐藤がたこ焼きを転がしながら冷めた口調で言った。
「いいじゃん!こういう熱烈な告白とか素敵じゃん!」
ムッとして言い返すと佐藤は難しい顔をした。
「周り巻き込んで踊ったりするやつだろ?」
「フラッシュモブね。古いな」
「恥ずかしいだけだぞ」
「現実は違うって知ってるからいいの!」
出来上がったたこ焼きを受け取ってソースとマヨネーズをかけた。おかかも載せると、ゆらゆらとおかかがゆれた。
「ふーん。……ちょっと安心した」
言って佐藤は、丸い穴に液を流し込む。ジュウと鉄板が一際大きく音を立てた。
生地を流し終えると、佐藤が急に居住まいを直した。咳払いをひとつして、私を真剣な顔で見つめてきた。
「俺さ、幸せについて真剣に考えてみたんだけど」
「は?」
私は思わず顔をしかめた。難しい話は好きじゃない。
「え、なに、哲学語るの?」
「違うわ。真面目に聞けよ」
たしなめられたので、仕方なしに黙る。けど、哲学なんて真面目に聞く気になれない。私は缶をあおった。
「俺らさ、結婚しない?」
喉の奥でハイボールがつっかえた。
ぐふっと吹き出す。
口からこぼれたハイボールが、四方に飛んだ。
「汚ねぇ!たこ焼きにかかっただろ!」
「佐藤が変なこと言うからでしょ!」
ティッシュを差し出されて、テーブルと口を拭く。
佐藤が呆れたように息を吐いた。
「変じゃねぇよ。俺ら三十二だぞ」
「年齢の話じゃないし!てか、私ら付き合ってもないでしょ!」
「じゃあ付き合えばいいじゃん。今日から」
「は?」
付き合えばいいじゃん、ってどうしてそんな簡単に結論出せるの。
「鈴木はいま彼氏いないだろ。俺も彼女いないし、ちょうどいいだろ」
ちょうどいい。
便利グッズみたいな言い方されて、私のプライドが傷付いた。
はいはい、所詮鈴木とか思ってんでしょうとも。
私は冷めた目で佐藤を見た。
「よかないよ。付き合うって何すんの?」
佐藤はふざけるでもなく真面目な顔をしていた。
「デートとか?旅行とか?」
「旅行こないだ行ったじゃん」
「行ったな」
亡国のイージスの舞台が見たいとか何とか言って、某県の海浜公園に行ったことがあった。
佐藤は、感慨深そうに長いことひとりで海を眺めていた。そのあとも自衛隊基地やら色々連れていかれたけど、私は軍事系はさっぱり興味がないので、餃子と海軍カレーが美味しかったことくらいしか覚えていない。なんとも面白みに欠けた旅行だった。
「じゃあ、これ、お家デートってこと?」
「たぶん」
佐藤は頷く。家でテレビ見ながらタコパして飲んで食って終わり。
「……いつもと変わんないじゃん。え、私いつも佐藤とデートしてたの?」
その事実にちょっと驚く。
佐藤が難しい顔をした。
「なんだよ不満か?」
「不満って言うか……」
佐藤と付き合ってる状況が、想像ができないだけだ。
「あー……外に飯食い入ったりとか?オシャレなカフェ巡りとかしてみるか?そういうの好きだろ、鈴木」
確かに、カフェに行くのは好きだった。けれど、でっかい図体の佐藤が肩身を狭そうにしながら、サンドイッチをかじる姿は、なかなかに違和感があった。
「佐藤とカフェとか笑っちゃう」
「笑うなよ。変えたいなら、まあ頑張るわ」
そこ、頑張れるんだ。
正直、佐藤に変わって欲しいと思うこともない。
変わりたいと感じているところもない。これが標準すぎて想像がつかないというのもあるけど。
「今のままでいいっす」
答えると、「ふーん」と佐藤が呟いた。
一拍置いて、佐藤がたこ焼きをくるくる回しながら続ける。
「じゃあとりあえず同棲すっか。慣れたら結婚しようぜ」
「……展開が早いんだけど」
「不満あるなら今のうちに言えよ」
「不満じゃないけど……」
言葉を探して黙る。
「俺、そこそこ給料もらってるぞ」
「そうだね」
具体的にいくらかは知らないけど、佐藤がなかなかお金をもってるのは知ってる。
確かに結婚を考えるなら、そこは重要な事だけども。
「あと、母さんも鈴木も、お互いよく知ってるし、嫁姑問題もたぶんないだろ」
「ないね」
佐藤のお母さん。陽子さんとは子供の頃から付き合いがあって、たまに陽子さんと私の二人で宝塚歌劇団を見に行くくらいには仲が良い。
「俺の性格も知ってるだろ?お互い嫌ってほど理解してる」
「だね」
小中高と同じで家も近所だった。もはや、呪いかってレベルで縁がある。
「それで?何が引っかかるんだよ」
「差し当たって問題がなさすぎるのが問題なんだよ」
ほら、上手い話には穴があるって言うじゃないか。メリットしかないところが逆に怖い。
「いいことだろ」
「なんか、詐欺っぽい」
「鈴木相手に詐欺してなんの得になるんだよ。で、どっちの家に住む?」
「会社が近い方がいいかな」
「じゃあ俺ん家だな」
速攻で生活拠点が決まった。こういうのってもっと慎重に決まるものではないんか。
「……なんだろ。なんかモヤるな」
やっぱり何か釈然としない。
佐藤が面倒くさそうに顔をしかめた。
「何がそんなに気になるんだよ」
「話が早すぎるっていうか」
「早くねぇし。とりあえず泊まってくんだろ?」
「あのぅ、話聞いてますか?」
「今日するか?嫌ならしないけど」
佐藤にじっと見つめられて、思わず空気を飲み込んだ。
心臓がぎゅんとなった。
これは、まさか。
「……そ、添い寝のことじゃ、ない、よね?」
「は?セッーー」
「いいです!分かってます!みなまで言わんでください!」
俯いて、両掌を佐藤に向けた。
佐藤の顔が直視できなかった。
腕の間から見えた佐藤は気にする風もなくたこ焼きを頬張っていた。
なんでこいつ、こんなに平常心なんだ。
佐藤がこっちを見て、私は慌てて視線を逸らした。
「あ、いや、その……本気で言ってんの?」
「本気だけど」
あっさり返されて、言葉を失った。
つまり、そういうこと。
変に現実を帯びてきて、背中に嫌な汗をかいた。
「あー……急に色々変わるのは、ちょっと怖いんで……そのすぐには……」
半分嘘だった。
あまりにも距離が近すぎて意識したことなんてなかったから、もうちょっと時間が欲しかった。
「じゃあ、そっちも慣れたらでいいよ」
佐藤はあっさり引いて、またたこ焼き頬張った。
みなまで言わずとも察しているみたいだった。
「あ、はい」私は頷いて、ハイボールを一口飲んだ。妙に口の中が乾いていて、喉を通る炭酸が痛かった。
もっとグイグイこられたらどうしようかと思ったけど、あっさり引いてくれてほっとした。
酔いのせいか、知らない部屋に来たみたいな気持ちになってちょっと居心地が悪かった。
でも、飲み始めたら、微妙な空気なんてすっかり忘れて、食べて飲んで、としていたらあっという間に終電が終わった。
元々泊まる気だったからいいし、以前も泊まったことあったけどなんだろう。
微妙になんか違うんだよな。
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