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031 三日目の朝、学校にて

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 翌朝、美優は陰鬱とした気分で木造の通路を歩いていた。

 昨夜は寝るのに苦労した。
 悠人と葵が性行為に耽っていると考えたら気が立ったものだ。
 しかもそれが自分の勝手な想像でないことは明らかだった。
 葵の喘ぎ声が里に響き渡っていたからだ。

「おーい、朝だよー」

 二人のいる家の扉をノックする美優。
 しかし、反応はなかった。

「入るよ」

 扉を開ける。
 その途端、汗と精液の臭いに全身を襲われる。

 そんな中で、二人は気持ちよさそうに眠っていた。
 悠人は大の字で仰向け、葵は悠人の体に抱きついている。
 当然ながらどちらも全裸だ。

「もう朝だぞ! 起きろこの淫乱ども!」

 美優は深呼吸してから掛け布団を引っ剥がす。

「うぅぅ、なんだよぉ、美優じゃねぇかぁ」

「もう朝なのぉ? でももう少し寝ていてもいいよねぇ……」

 二人は鬱陶しそうな顔で目を覚ました。

「昨夜はずいぶんとお楽しみだったようねぇ」

 美優にとっては嫌味のつもりだった。
 けれど、この発言が悠人がハッとさせてしまう。

「そうなんだよ。昨日は凄かったぜ!」

 悠人は目をぱっちり開けてベッドを出た。
 脇に手を当て、全裸の仁王立ちを決める。
 意味が分からず美優が首を傾げていると――。

「昨日の成果を見せてやろう。葵、おすわり!」

「え、美優さんがいるんだけど……?」

 戸惑う葵。

「だからどうした? コイツがほしくないのか?」

 悠人のペニスがぶらんぶらんと上下に動く。
 まるで意志を持っているかのようだ。
 既にそれなりの大きさに仕上がっている。

「うぅ……」

 葵は美優を一瞥したあと、悠人の前に跪いた。
 両手を床につき、ペニスの裏筋を鼻に当てて臭いを嗅いでいる。
 たちまち恍惚とした表情に変わっていく。

「待て、まだだぞ……!」

 悠人は右手でペニスを掴み、亀頭で葵の顔を撫でる。
 顎のラインに沿って右から左に。
 最後に彼女の唇をペチペチと叩いた。

「いいぞ! しゃぶれ!」

 次の瞬間、葵はペニスに飛びついた。
 目をハートにして、無心になって咥えている。

 なんてこった!
 悠人は一夜にして葵を調教してしまったのだ!

「ウソでしょ……」

 愕然とする美優。

「どうだ葵、美味しいか?」

「うん! ゆうくんのおちんぽ、美味しい……!」

 メスの顔で答える葵。

「ゆうくん!? ていうか、葵先輩のこと呼び捨てにしてるし!」

「ふっふっふ、すごいだろ? 清楚な家庭科部の部長も今や俺の性奴隷だ」

「いや、キモ過ぎてドン引きなんだけど」

 顔を引きつらせる美優。
 そんな彼女には気にも留めず、葵のフェラは激しさを増していく。
 ジュポジュポ、ジュポジュポ、淫らな音を部屋に響かせる。

「ふーん、つまり美優は俺の性癖が気に食わないわけか?」

「ていうか、そういうのは人に見せるもんじゃないっしょ! 見せられた私がどう思うか分からない?」

「嬉しい?」

「んなわけあるか! 不快だよ! 不快!」

「そうか……」

 悠人はすごく残念そうな顔をした。

「性癖が合わないのなら仕方ないな。だったら今後は葵とだけセックスしよう」

「それはダメ!」

 美優は頬を膨らませるのだった。

 ◇

 悠人たちはエルフの里で朝食を堪能した。
 料理はエルフが作ったもので、献立はスッポン鍋とマムシのスープ。
 精力の増強を目的としているのは明らかだった。

「この里ともついにお別れだな」

 朝食後、悠人たちはエルフの里を発つことにした。
 シエラは長居してもいいと言ったがそうもいかない。
 悠人と美優はともかく、葵の失踪は問題になっているはずだ。

「悠人、今後も何かあればいつでも里に来てくれ」

 シエラが別れの挨拶をする。
 彼女だけでなく、全てのエルフが集まっていた。

「ありがとう。ところで、どうやって里に入ればいいんだ? この里は異次元型の結界に覆われているんだろ?」

「結界の付近で適当に呼びかけてくれればいい。それで誰かしらが迎えに行く」

「異次元型の結界だと外の様子が分からないんじゃなかったか?」

「普通はな。だが、エルフにはそれを可能にする術がある」

「へぇ、便利なものなんだなー」

「伊達に世界大戦を生き抜いてはいないということだ」

 話を終えるとシエラは握手を求めた。
 悠人は応じるが、それだけでは物足りなくてハグをする。
 その際、さも当たり前のように尻を撫で、彼女の耳元で囁いた。

「今度さぁ、身分を忘れてこっそり一発ヤろうぜ」

「ふふ、却下だ」

「ケチ女!」

 ◇

 里を出た悠人たちは、その足で学校に向かった。

「この世界ってさー、濃すぎだよねー」

 美優はすぐ傍に生っていたバナナを採った
 慣れた手つきで皮を剥いて食べる。
 精力満点の朝ご飯だけでは足りなかったようだ。

「濃すぎってどういうこと?」

 葵は釣り竿とクーラーボックスを持っている。
 それらは川に忘れられていたが、昨日の内に悠人が回収していた。
 メデューサ戦を終えて戻る道中のことだ。

「だってまだ三日目が始まったばかりですよ? なのに色々ありすぎだと思いません?」

「まぁねぇ。エルフにメデューサに結界って、完全にファンタジーの世界だよね」

「そうそう!」

「あと俺たちは全員が大人の階段を上った。俺は童貞を卒業し、美優と葵は処女を喪失した」

「私はゆうくんのペットにされっちゃったぁ♪」

 うっとりする葵。
 そんな彼女を睨みながら美優は言った。

「昨日は先輩に譲りましたけど、今後は私だってぐいぐい行きますからね!」

「うふふ、お互いに頑張ろうね」

「負けませんよ!」

 美優はバナナの皮を思いっきり投げ捨てた。

「美優、お前、そんなに俺とヤりたいのか」

「ちが……わないけど! そういうこと言わないで! 恥ずかしい!」

「俺は別に3Pでもいいぜ。というか3Pがいいな。戻ったら皆でヤろう」

「はぁ!? そんなの絶対に嫌なんだけど!」

「私はいいよー」

「ちょ! 先輩、本気ですか!?」

「だって楽しそうじゃない? 美優さんの感じている顔も見てみたいし」

「うわぁ……。完全に調教されちゃってるよ……」

「美優さんもすぐにこうなるよ」

「やだー! なりたくなーい!」

 楽しく話していると、三人は学校に到着した。
 結界を抜けて正門から運動場へ。

「ん? なんだ?」

 悠人が目を細める。

 運動場に大勢の生徒が集まっていた。
 円形に広がっている。

「なにかを囲んでいるみたいね」と葵。

「どうする? 裏門に回ってこっそり入る?」

 美優が尋ねると、悠人は首を振った。

「別にかまわないだろう。後ろめたいことがあるわけでもない」

 ということで、三人は人だかりに近づいていく。

「あ、転校生じゃん! どこに行ってたんだよお前!」

 外側にいた二年の男子が悠人に気づいた。
 敵意などは感じられない。

「ちょっとメデューサを狩っていた」

「メデューサ? まぁなんでもいいや。それよか、いいところにきたな!」

「そうなのか? どうしたんだ?」

「ちょうど今、悪党に制裁を加えているところだ! 来いよ!」

 男子は悠人の手を取ると、人だかりを掻き分けて中央に向かう。

「え、なにこれ……」

 美優は愕然とした。
 一方、悠人は無表情で言う。

「思ったより早く始まったな」

 中央にいたのは東谷だ。
 縄で全身をグルグル巻きにされている。
 その状態で、彼は皆から殴る蹴るの暴行を受けていた。
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