うちのメイドは、只者ではありません。

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閑話

アティス・ノーデン

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  アティス伯爵家にノーデンが誕生した日は、とても暖かく色とりどりの綺麗な花が咲き誇る麗らかな日だった。

「世界から祝福された子だ!」と、誰もが喜んだ。

  ノーデンは二人の姉と共に、優しい両親の元すくすくと育った。
  彼がたまにする悪戯さへも、皆が優しく見守っていた。

  彼が眠る時も彼がぐずる時も、少し垂れたその目尻に母はキスをした。
「ノーディ、貴方は神に愛された子」と、優しく呟きながら。

  彼の黄金色に輝く髪と碧い瞳は、幼い頃からその甘いマスクを際立たせていた。加えてその垂れた目尻は、愛くるしさを滲ませていた。

  もちろん彼も自分の愛される容姿を自覚するのに、時間などかからなかった。
  そして末子であることから、無自覚に愛される性格が備わっていた。

  そんな彼は母に連れられて参加した簡単なお茶会で、忘れられない出会いを果たすことになる。

  それが、ミューゼン・ルーベルトである。

  五歳の彼にとってみれば、小高い丘の上にある小さな村が全てであった。
  つまりそれは、伯爵家に生まれた男児であるだったのだ。

  しかし、その考えは僅か五歳で崩れ落ちる。

「明日はルーベルト公爵夫人から誘って頂いた、大切なお茶会なのよ」
  そんな風に言う母に対して、彼は不思議に感じた。
「何故ルーベルト公爵夫人に誘って頂くと、大切なお茶会になるの?」
  この時は流石に、母親であるミシェル・アティスも顔を痙攣ひきつらせた。

  愛しい我が子とは言え、もう少し勉強をさせなくてはいけないと誓った日だった。

「公爵家と言うのは、私たち伯爵家よりも上流階級の方なのよ。同じだと思ってはいけないわ」

  自分たちの上にいるのは、国王様たち王家の方以外にいないと信じていた彼は驚きを隠せなかった。
  お父様は伯爵様と呼ばれているけど、公爵家はその上なのかと驚いた。

  その日はいつも優しい執事から、爵位の意味を厳しく教えられた。それでも貴族である彼にとって、避けては通れない勉強である。

  その中で教えられたルーベルト公爵は、彼が誰よりも興味を惹かれた。
  この小さな村とは違い、大きな領地を与えられた公爵。五歳の彼にとって、惹かれるのは当然だった。
  しかもルーベルト公爵には、彼と同じ歳の息子がいると聞いたから尚更だ。

「公爵の息子は公爵になるの?」
「左様でございます。ノーデン坊ちゃんがいずれ伯爵様になる様に、公爵様の御子息は公爵様になられます」

  公爵様の息子ってどんな子なんだろう、彼は純粋に思っていた。
  自分よりも偉い人になる子に対する、子供ながらの興味だった。

「公爵様の子とも、お茶会で会えるかな?」
「その予定と伺っております」
「友達になれるかな?」

  子供が言った言葉と分かりながらも、爵位の差を物ともせずに言う彼に、執事が驚いたのは一瞬の事だった。

「そうなれますことを、私も願っております」
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