孤児が皇后陛下と呼ばれるまで

香月みまり

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2章

15

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「っ、、びっくりさせんな!!バカ!!」

乱暴ですごく焦った周の声と、ギュウッと体を締め上げられる感覚に、苓はあぁ助かったのだと理解した。それと共に喉の奥から苦しさがせりあがってきて、激しくむせた。

新鮮な空気が肺に入ってきて喉がヒリヒリと痛む。


「大丈夫か?」

周に抱えられるようにされながら、岸に上げられる。

こくりと頷くと彼の身体からも少し力が抜ける。


「マジで寿命縮んだぞ、、、どうしてくれるんだ」

とんとんと咳き込む背を叩きながら、周の声は本当にまいったような声音だった。

「ごめっ」

ゆっくり呼吸を整えながら謝る。

「なんだってあんな深いところまで入ったんだ」

「ちがうの、、、浅瀬だったのが急に足場が崩れて、、、足引っ張られて」

「崩れたぁ?穴でもあったのか」

「分かんないけど、ポコポコ空気が出てたから気になって」

「あぁ、、、じゃあ本当に穴でもあったんだなこの辺は鍾乳洞とかも多い地域だし、、、とにかく沈む前に気づけて良かった。」


「うぅっ、、、ありがとう」

とにかく、周が早めに気づいてくれてよかった。そう安堵の息を吐いて、はたりと今の状況に気が付く。

水浴びをしていた苓は全裸で、苓を抱き上げている周も、上半身には着衣を付けてはいない。


素肌と素肌が触れ合っていて、夕の薄暗い時間とは言え、見えてしまうわけで


「っ、、、」

身を固くした苓に、どうやら同じことに周も気づいたらしい。

彼の身体が緊張で硬くなったのが分かる。

「と、とりあえず、そこにある布!布取って!!」


「こ、、、これか?」

そう言って周が手を伸ばして布を引いて苓に手渡す。

それほど大きくない布ではあるが、簡単に体を巻いて何とか見られてはまずい部分を隠す。

そうすると、耳元で周がほっと息を吐いたのを感じる。

「立てるか?」

「う、、うん」

ゆっくりと苓を抱いたまま立ち上がった、周は苓の足を降ろす。

足に砂利の感覚を感じて、苓はそれを踏みしめた、、、つもりだったのだが

カクンと膝から力が抜けた。

「あぶね!」

寸でのところで、周が体を支えて崩れ落ちるのは回避されたものの、またしても周の腕の中に体を収められて、しかも今のでせっかく体を隠した布がはらりと落ちた。

慌てて咄嗟に体を隠すために周の身体にしがみついた。

「ご、、ごめぇん!!腰抜けちゃったみたいで」

「や、、仕方ない。怖かっただろうし」

はぁ~っと大きな息を吐いた周はそう言うと、苓の膝裏に手を入れて横抱きにする。

み、見えちゃう!!

慌ててさらにギュウっと周に体を寄せる。

「苓、それ逆効果、、、はぁ」

もう一度大きく息を吐かれて、周が腰を下ろすと手を伸ばして落ちた布を引き寄せる。


ポンと布を投げられて慌てて先ほどと同じように体を隠す。


「ごめんっ」

「もういいって。とにかく無事でよかった」

濡れた頭を撫でられて、そこでようやく顔を上げて周を見ることができた。


「周は大丈夫?あの、泳いだのよね?」


そう首を傾ければ、周がぽかんと苓を見下ろす。


「あ、確かに、、、本当だ、、、何でだろう。必死でそんなこと考えてる暇なかった。」

そう言って彼はもう一度自分が先ほどまで浸かっていた水辺に視線を向ける。


「泳いだな、、、俺」


「よかった、、、ね?」

「まぁ、そうだなあ、、うん」


噛みしめるように頷いた周は、水面をぼんやり見つめていた。


何かを思い出しているのだろうか、しばらく話しかけずにそっとしていたのだが。



「クシュンッ!」

流石に生理現象を止めることはかなわなかった。

ハッとした周が一度苓を抱きなおす。


「ちょっと、寒ぃな」

そろそろ大丈夫だろうと体を降ろされるのかと思い、身じろぎをしようとしたところを

うわわわ

なぜか反対にぎゅうっと抱き込まれてしまう。

「濡れてるからな、、、冷えちまう」


言い訳のように言って、体を引き寄せられて苓はコクコクと頷く。

ここで騒いで、変に意識していることが周にばれてしまうのも恥ずかしい。

「ご、、、ごめん」

「いや、、、気にするな」

何だかお互いにぎこちなくなってしまって、トクトクと互いの身体から伝わる早い調子の鼓動はどちらのものなのだろうか?と考えて、余計に意識してしまいそうで

考えるのやめよう。

自分に言い聞かせた。


何か!何か話題を!!そうでないとこの空間に心が持たない!!

頭の中をフル回転させて、何か聞こうとしていたことがなかっただろうかと考えた。


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