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第10章 後宮
第393話 義弟の妻
清劉からやってきた皇女はどうやら劉妃と因縁があるらしいと、初めての謁見の際に義弟から簡単に話を聞いて、芙艶は密かに安堵した。
しかし、もしかしたらそれも欺きなのではないかと疑心暗鬼になったのだが、それについては東左が独自に調査をしたらしく、その可能性は薄いという事になった。
頼みの援軍が当てにならなかった劉妃は、東左によって動きが封じられ、こうなったらもう、いつでも簡単にその首をひねる事はできる。
その扱いにも東左はどうやら考えがあるらしく、この件は彼に任せて、自分は素知らぬ体を装う事にした。
毒針の件を翠玉に相談すると、どうやらその方面に彼女は明るいらしかった。
そして、すぐに劉妃に思い当たったようだ。
それを東左に話せば、彼はそれでいいと満足そうに頷いた。
とにかく翠玉をこちら側に引き込めば、劉妃は孤立する。そして、東左が劉妃から仕入れた清劉後宮式の暗殺術が効果を発揮した。
次の狙いは泉妃だった。
東左が幾晩かに分けて、泉妃の宮に侵入して泉妃を怯えさせた。怖がった泉妃は自分か、もしくは最近付き合いの多くなった翠玉に相談するだろう。しばらく多忙のフリをして素知らぬ顔をしていると、狙い通り泉妃は翠玉に相談をしたようだ。芙艶のもとに、皇帝から泉妃を預かって欲しいと要請があった。
狙い通りである。
泉妃とその子供達は、芙艶の手の内に入ったのだ。
一緒に住めば子供達も芙艶を身近な大人と認識する。慣れていれば母と替わってもすぐに馴染むだろう。
しかし不可解な事が起こった。
計画に一役買った翠玉夫妻がその晩何者かの襲撃を受けたのだ。
芙艶もそれは後から知った。
丁度、賊討伐に出る直前だったため、数週間にわたり翠玉の存在が見えずとも何の不思議も無かった。
襲撃をうけて伏せていたと聞いて、なぜ?と疑問が起こった。
東左に聞いてみれば、彼は「あぁ」と報告するのを失念していたとでも言うように口を開いた。
「これも泉妃を脅してこちらに身を寄せさせた犯人を、劉妃になすりつけるためですよ。命までは取るつもりはありません」
そうは言いながらも、一時は毒で生死を彷徨ったと聞いている。殺すつもりがないのならばなぜそんな毒を使わせたのか?
そう問い詰めようと思ったものの東左には、なにやら芙艶には思いつかない考えがあるらしい。
しばらく様子を見よう、そう思った矢先、それはすぐ後に起こった。
皇后宮を訪ねた戻りの道中で、またしても翠玉が襲われたのだ。
これは流石に東左を問い詰め、諫めた。
翠玉はこれから起こる緋堯との戦にとてつもなく重要な役割を持つらしい事は聞いていた。それがどんな事かは女である芙艶には詳しく理解はできなかったが、国益に大きく関わることは分かっていた。
しばらく翠玉に手を出すなと言うと、東左は渋々ながら了承した。
いったいなぜ東左が彼女を2度も狙ったのか……それはずっと不可解だった。
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