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番外編
姉妹⑧追求の先
華南が1度目の結婚で柵州に嫁いで、隆蒼は迷わず彼女のそばにいるために異動願いを出して、柵州の州軍へ配属となった。そこには数人の同期もいて、相変わらずあきらめの悪い隆蒼を見かねた彼らが「お前にお勧めの妓女がいる」と隆蒼をその歓楽街の見世に連れて行ったのが事の発端だった。
当時華南が結婚して流石に手が届かなくなってしまって、ここらが潮時かと思っていた隆蒼もなんとなくその誘いに乗ったのだ。しかし正直、女を抱く気分でもなかったから少し遊んで来よう、くらいのつもりだったのだ。
それなのに、同僚が指名してやってきた妓女を見て、隆蒼は固まった。
「え、何? そんな美人だったの?」
少しだけ眉を寄せて見上げてきた華南に、隆蒼は薄く笑って首を振る。
「いや…正直に話すから引くなよ?」
そう前おいて、華南の前髪をさらりと掻き上げる。
「うん、まぁ事にもよるけど……頑張るわ」
頑張るのか…そこは「何があっても受け止める!」であってほしいのだが、まぁどこまでも正直な華南である仕方ない。
「その妓女が……お前によく似ていたんだ」
意を決して言い放った。
あーこれは引かれる……流石にどこまで追いかけていたのだと呆れられるに決まっているのだ。
それなのに……
「は?」
華南から帰ってきたのは、どこか驚いたような、切ないようなそんな反応だった。
妓女は杏と名乗った。
年は少し上のようで、厚い化粧を施していても、背格好や顔つきがどことなく華南に似ていて、隆蒼は彼女から目が離せなくなった。
華南によく似ているが、華南ではない女に目を奪われているうちに、隆蒼はあれよあれよと床に誘われた。
こんな見世に来るのも初めてであったし、女を抱くのも初めてで、しかも相手が想い人と似ているとあって隆蒼は困惑していたし緊張もした。
そんな彼に杏は「大丈夫よ」と優しく笑った。
「好きな方でも想像したらいいのよ?」
そう笑って彼女は隆蒼の服を脱がせにかかった。
「ねぇ……かなんって人が隆蒼様の想い人の名前?」
一通りのコトが終わって、服を整えていると上掛けを羽織った杏が首を傾けた。
その問いに隆蒼は気まずい思いで頷いた。
杏が好きな女とでも思えと言ったせいか、もしくはあまりにも杏が華南に似ていたせいか、隆蒼は行為の最中に何度か華南の名を呼んでしまったのだ。
杏にとっては失礼な事だろうと罪悪感でいっぱいで、詫びると共に言い訳のように身の上話をしてしまったのだ。
「その華南って子、私と似てるの?」
話を聞いて杏が深刻な顔で確認してくるので隆蒼はしっかりと頷いた。
そうすると彼女はしばらく考えて、そう……と呟いた。
「ならまた、その彼女が恋しくなったら、いらっしゃいな。私が代わりになるから」
気が向かなければ、別に寝る必要もないのだし、酒の相手だけでもいいのよ? もしお望みなら女を気持ちよくさせる方法なんかも教えるわよ? と彼女は妖艶に笑ったのだ。
それからしばらく、隆蒼は杏のもとに通うようになった。
多くの時間、隆蒼は杏と身体を重ねず、彼女の酌で酒を飲みながら話をした。そうしていると以前のように華南と二人で飲み歩いているような気分になったのだ。杏はよく華南の話を聞きたがって、隆蒼の並々ならぬ執着にも「そんなに想われてその子は幸せねぇ」と笑ってくれた。
全てが仮初であった。杏という女性に華南を重ねていること、それに杏を利用していることに罪悪感を覚えることもあったが、杏はいつも「それが私の仕事なのだから気にしないでいいのよ」と笑い飛ばした。
そしてしばらくそんなことが続いていると、ある日杏から突拍子もない提案を受けた。
「私、隆蒼には幸せになってもらいたいの!だから私にできる事をさせてほしい」
そういった彼女は、隆蒼の手を取って床に引きずりこんだ。いつもと違う彼女にあっけにとられていると、彼女は女の身体を喜ばせる方法を隆蒼に教え始めた。
杏の意図がわからず戸惑いながらも隆蒼は彼女に教えられるままにそれを覚えた。
もともと隆蒼は様々な暗器の使い方や戦法を身体を使って覚えるのが得意だった。だからそれくらいの事を覚えるのは容易い事だった。
「なんで急にこんな事を?」
不思議に思ってそう聞いてみると、
「貴方と、貴方が思う人が幸せな時間を過ごせるように……私に出来ることはこういう事しかないから」
と杏は寂しそうに笑ったのだった。
当時華南が結婚して流石に手が届かなくなってしまって、ここらが潮時かと思っていた隆蒼もなんとなくその誘いに乗ったのだ。しかし正直、女を抱く気分でもなかったから少し遊んで来よう、くらいのつもりだったのだ。
それなのに、同僚が指名してやってきた妓女を見て、隆蒼は固まった。
「え、何? そんな美人だったの?」
少しだけ眉を寄せて見上げてきた華南に、隆蒼は薄く笑って首を振る。
「いや…正直に話すから引くなよ?」
そう前おいて、華南の前髪をさらりと掻き上げる。
「うん、まぁ事にもよるけど……頑張るわ」
頑張るのか…そこは「何があっても受け止める!」であってほしいのだが、まぁどこまでも正直な華南である仕方ない。
「その妓女が……お前によく似ていたんだ」
意を決して言い放った。
あーこれは引かれる……流石にどこまで追いかけていたのだと呆れられるに決まっているのだ。
それなのに……
「は?」
華南から帰ってきたのは、どこか驚いたような、切ないようなそんな反応だった。
妓女は杏と名乗った。
年は少し上のようで、厚い化粧を施していても、背格好や顔つきがどことなく華南に似ていて、隆蒼は彼女から目が離せなくなった。
華南によく似ているが、華南ではない女に目を奪われているうちに、隆蒼はあれよあれよと床に誘われた。
こんな見世に来るのも初めてであったし、女を抱くのも初めてで、しかも相手が想い人と似ているとあって隆蒼は困惑していたし緊張もした。
そんな彼に杏は「大丈夫よ」と優しく笑った。
「好きな方でも想像したらいいのよ?」
そう笑って彼女は隆蒼の服を脱がせにかかった。
「ねぇ……かなんって人が隆蒼様の想い人の名前?」
一通りのコトが終わって、服を整えていると上掛けを羽織った杏が首を傾けた。
その問いに隆蒼は気まずい思いで頷いた。
杏が好きな女とでも思えと言ったせいか、もしくはあまりにも杏が華南に似ていたせいか、隆蒼は行為の最中に何度か華南の名を呼んでしまったのだ。
杏にとっては失礼な事だろうと罪悪感でいっぱいで、詫びると共に言い訳のように身の上話をしてしまったのだ。
「その華南って子、私と似てるの?」
話を聞いて杏が深刻な顔で確認してくるので隆蒼はしっかりと頷いた。
そうすると彼女はしばらく考えて、そう……と呟いた。
「ならまた、その彼女が恋しくなったら、いらっしゃいな。私が代わりになるから」
気が向かなければ、別に寝る必要もないのだし、酒の相手だけでもいいのよ? もしお望みなら女を気持ちよくさせる方法なんかも教えるわよ? と彼女は妖艶に笑ったのだ。
それからしばらく、隆蒼は杏のもとに通うようになった。
多くの時間、隆蒼は杏と身体を重ねず、彼女の酌で酒を飲みながら話をした。そうしていると以前のように華南と二人で飲み歩いているような気分になったのだ。杏はよく華南の話を聞きたがって、隆蒼の並々ならぬ執着にも「そんなに想われてその子は幸せねぇ」と笑ってくれた。
全てが仮初であった。杏という女性に華南を重ねていること、それに杏を利用していることに罪悪感を覚えることもあったが、杏はいつも「それが私の仕事なのだから気にしないでいいのよ」と笑い飛ばした。
そしてしばらくそんなことが続いていると、ある日杏から突拍子もない提案を受けた。
「私、隆蒼には幸せになってもらいたいの!だから私にできる事をさせてほしい」
そういった彼女は、隆蒼の手を取って床に引きずりこんだ。いつもと違う彼女にあっけにとられていると、彼女は女の身体を喜ばせる方法を隆蒼に教え始めた。
杏の意図がわからず戸惑いながらも隆蒼は彼女に教えられるままにそれを覚えた。
もともと隆蒼は様々な暗器の使い方や戦法を身体を使って覚えるのが得意だった。だからそれくらいの事を覚えるのは容易い事だった。
「なんで急にこんな事を?」
不思議に思ってそう聞いてみると、
「貴方と、貴方が思う人が幸せな時間を過ごせるように……私に出来ることはこういう事しかないから」
と杏は寂しそうに笑ったのだった。
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