星が降りそうな港町

Yonekoto8484

文字の大きさ
13 / 48

目の病

しおりを挟む
ある時から目に違和感を感じるようになっていた。外を歩いていると,晴れや曇り関係なく,いつも眩しくて,あまりの辛さに目を開けていられなくなっていたのだ。

町の眼科クリニックに行ってみたのだが,いろんな目薬を使っても,治らず,「助けられなくて,すみません。」とクリニックの先生に頭を下げられ,大きな病院への紹介状を渡された。

大きな病院でも,診断ができず,大学病院で精密検査を受けることになった。検査結果は,特殊な角膜炎だった。治療するためにこの病院に通い続ける必要があると言われた。最後に,角膜を削られ,眼帯をつけられて,痛み止めを渡され,帰された。

角膜を削られた痛みで,一人で家まで帰るのはおろか,短時間,目を開けることすら,困難だった。

ところが,大学病院は,私が住む町から電車で二時間以上離れた場所だったし,私は,一人だった。一人で電車に乗り,帰るしかなかった。

幸いなことに,大学病院は,私が留学した町にあったので,よく知っている場所だった。この町から,現在住んでいる町までの路線図や電車乗り継ぎ情報は,何度も通った道なので,頭にしっかり入っていた。

そのおかげか,ホームに降り立ち,次どの電車に乗れば良いか確認する時だけ,無理やり目を開け,あとは,目をつぶったまま状態で,何とか無事に自分のアパートまで帰られた。

しかし,痛み止めを飲んでも,ほとんど効かず,とても耐え難い痛みに煩わされた。

目を開けて過ごすのは,まず無理だったし,アパートの電気をつけると,耐えられない痛みを感じる。電気を全て消し,暗がりの中で過ごすしかない。

この状態じゃ,料理も何も出来ない。そう判断し,歌子と奏に助けを求めた。気がついたら恋人になり,交際をしていた三十代の教師も,助けると言ってくれた。

次の日から,奏と歌子が毎日お弁当を届け,暗がりの中,一緒にお昼ご飯を食べてくれた。

夕方は,交際相手の男性が来て,ご飯を作ってくれた。

また目を開けて過ごせるようになるまで,この生活を一週間以上続けた。電気をつけて過ごせるようになるまで,もっとかかった。

症状が改善し,久しぶりに外に出て,陽射しを浴びた時の感動を一生忘れない。涙が出るほど,嬉しかったのだ。

また外出できるようになると,最初に足を運んだのは,奏の家だった。奏の歌子のジャズ練習を久しぶりに聴けた感動も,大きかった。

全快するまで,数ヶ月大学病院へ通い続け,治療を続けることになったが,無事に回復出来た。

今では,歌子と奏と今の旦那さんと一緒に暗がりの中,お弁当を食べたのは,とても良い思い出だ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。 その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。 そこで待っていたのは、最悪の出来事―― けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。 夫は愛人と共に好きに生きればいい。 今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。 でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。 妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。 過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

烏の王と宵の花嫁

水川サキ
キャラ文芸
吸血鬼の末裔として生まれた華族の娘、月夜は家族から虐げられ孤独に生きていた。 唯一の慰めは、年に一度届く〈からす〉からの手紙。 その送り主は太陽の化身と称される上級華族、縁樹だった。 ある日、姉の縁談相手を誤って傷つけた月夜は、父に遊郭へ売られそうになり屋敷を脱出するが、陽の下で倒れてしまう。 死を覚悟した瞬間〈からす〉の正体である縁樹が現れ、互いの思惑から契約結婚を結ぶことになる。 ※初出2024年7月

書籍化の打診が来ています -出版までの遠い道のり-

ダイスケ
エッセイ・ノンフィクション
ある日、私は「書籍化の打診」というメールを運営から受け取りました。 しかしそれは、書籍化へと続く遠い道のりの一歩目に過ぎなかったのです・・・。 ※注:だいたいフィクションです、お察しください。 このエッセイは、拙作「異世界コンサル株式会社(7月12日に電子書籍も同時発売)」の書籍化の際に私が聞いた、経験した、知ったことの諸々を整理するために書き始めたものです。 最初は活動報告に書いていたのですが「エッセイに投稿したほうが良い」とのご意見をいただいて投稿することにしました。 上記のような経緯ですので文章は短いかもしれませんが、頻度高く更新していきますのでよろしくおねがいします。

処理中です...