星が降りそうな港町

Yonekoto8484

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総会の不思議な参加者

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時期が年度末になり,国際交流組織の総会を開くことになった。

出席者は,少しみすぼらしい格好をした一人のおじいさんを除けば,いつもの顔ぶれだった。例のおじいさんは,イベントにも交流広場にも参加したことがなく,見覚えがなかった。

しかし,田舎だから,常連さんの中には,彼のことを知っている人が数人いて,すぐに声をかけた。
「赤木さん,最近どうです?」

「僕は,もう癌だと思うわ。」
即答だった

「え?病院行った?」

「いいえ。」

「じゃ,なんでそう思うの?」

「周りは,みんな癌だから。十人に一人が癌らしいよ。」

すると,よく機転が効く奏が言った。
「なら,あなたは,大丈夫じゃない?周りはみんな癌だから。」

おじいさんは,これに反論するのが難しいようで,黙り込んだ。

年度の事業報告や会計報告が済んでから,親睦会を開いた。例のおじいさんも,参加した。

「赤木さん,あなたは,この組織に何を期待しているの?」
赤木さんは,組織の賛助会員になっていたようだ。つまり,お金だけ払って,行事に参加しない会員だ。

「何もない。」
また即答だった。

「え?でも,会員になってくれているよね?」

「うん,とりあえず応援しているから。」

「でも,何も期待していない?」

「うん,何もない。」

このおじいさんに,後一回だけ会ったことがある。都会の眼科へ通うために,電車に乗っている時のことだった。

総会で出会ったことを覚えていたようで,突然名前で呼ばれたのだ。
「お仕事は?」
平日の昼間に電車に乗っているのは,確かに怪しい。

「今日は,通院で,ちょっと都会へ。」
私が説明した。

「通院?どこが悪いの?」

「目がちょっと…。」

「そうか。僕は,頭が悪い。」

「そんなことないでしょう?」

「唐さんは,まだ中国には帰らないの?」

「まだ契約は終わっていないので,まだです。」

「帰るときは,言ってね。送別会をしてあげるから。」

「…ありがとうございます。」
よく知らない人に,送別会をしてもらっても…と思ったのだが,何も言わないことにした。
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