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彼のいない二週間の間、私は自分で張形を使って拡張することにした。エルドレッドは自分がすると言っていたのだが、彼にそんなことはさせたくなかった。
使用人たちが寝静まるのを待って、私は一番小さな張形にオイルを垂らした。手に持って、穴にあてがう。
無機質なその冷たい感触に思わず震える。
私は、ゆっくりとそれを押し込んだ。
「くっ……はっ……はあっ……」
奥までゆっくりと、休み休み進めていく。
太さはそうでもないが、指で届かなかったところを広げられ、違和感が強い。
私は、慣れるのを待った。
違和感も薄れたころ、エルドレッドの指の感触を思い出しながら慎重に張形を動かしてみた。
「んっ……うっ……」
徐々に、エルドレッドによって目覚めさせられた直腸内の快感がわずかばかり蘇ってくる。
「エルドレッド、エルドレッド……」
私は、彼のことを思いながら、必死に快感を拾い集め、繋ぎ合わせていった。
彼は、約束の日に帰ってきた。
帰るなり私にキスをして、抱きしめて、耳元で言った。
「君のいい匂いがするよ。早く、寝室に行こう」
私は昨日、ようやく一番大きい張形を受け入れることに成功していた。
と言っても、ぎりぎり、なんとか、と言ったところで、快感を拾うというところまではたどり着かなかった。
それでも、入れることはできた。果てしない異物感と不快感に苛まれてではあっても。
それを彼に告げると、彼は小さく叫んだ。
「僕がしてあげたかったのに」
彼の声は、わずかに非難めいている。
脂汗を流し、弱音を吐き、歯を食いしばり、唸りながら、張形を使ったのだ。彼にはそんな姿は見せたくない。
「あなたと、早く、したかったから」
考えていた言い訳を言うと、彼はふうと息をついてから、私にキスをしてくれた。
深いキスをしながら、互いの長衣のボタンを外しあった。肩からばさりと長衣を落とし、彼が私をベッドに横たえた。
「エメリー、君が煽るのがいけないよ」
彼は私の足を開かせ、性急にそこに触れた。
「すごい濡れ方だ……」
一本の指は、たやすく侵入を果たした。
すぐに指が増やされて、三本の指が私の感じるところを刺激する。ぐちゅぐちゅと卑猥な水音が私の耳を犯す。
「ふっ、あっ……ああッッ!! んっ! んんーーッッ!!」
発情期のために、おそろしいほど感じる。すぐに達して、ぎゅうと彼の指を食いしめてしまう。
「もう、挿れて、ください」
「もう少し」
「やっ、はうっ! もう、大丈夫、ですから!」
「君に、怪我をさせたくない」
よく解したほうがいいに決まっているのに、彼の優しさをもどかしく感じた。
私も怪我はしたくないし、私が怪我をするようなら彼の劣等感は強化されてしまうかもしれないのだ。
しかし、発情して分別をなくしつつある私は、彼の巨大なペニスに対する恐れも薄れて、早く早くと彼を急かした。
「指ばっかり、嫌です! お願い、もう……!」
「……念の為、オイルを足しておこう」
すでに解れきったそこを、オイルでさらにぐずぐずにした。長い指が掻き回す。
「んんっ……! もう、指、いや……」
「本当に、大丈夫だろうか?」
「大丈夫です、から、早く」
彼は私の足を開かせ、いきり立ったペニスにもオイルをまぶした。彼が、私に興奮してくれているのが嬉しい。
亀頭を穴にあてがい、彼がゆっくりと力を掛けていくと、穴が開いていく。充実した亀頭が徐々にめり込んで行く。
「くっ……! ふっ……!!」
やはり、大きい。穴は限界まで引き伸ばされ、めりめりと音がするようだった。
しかし、相手は冷たい金属の張形ではない。私の愛する血の通った男だ。
彼を受け入れたい。そして、彼の苦い失敗の記憶を書き換えたい。彼のものを受け入れる苦しみならば、苦痛も喜びに変わる。
ぐぽ、と一番太い部分である亀頭を飲み込めた。
彼の腰が、わずかに私を突いた。
「あうっ……!」
「す、すまない」
「だい、丈夫……」
私は息を荒げながら、奥へと進む彼を飲み込んでいった。
息をするのもままならない。脂汗が滲む。
ぎちぎちに限界まで彼が私を押し広げている。痛いと言うよりも、ひたすらに苦しい。
「ひっ……! うっ……!!」
「痛いか? やめようか?」
「だめっ……! 少し、待って、大丈夫、だから」
彼は、難しいだろうに、途中で腰の動きを止め、歯を食いしばって私を待ってくれる。
エルドレッドが好きだ。
「くうっ……うぐっ……! ううっ……」
それなのに、苦しさに勝手にぽろぽろと涙がこぼれる。
「もう、いいんだ。やめよう、エメリー」
「ごめんな、さい、大、丈夫だから、お願い、やめないで……!」
私の呼吸が落ち着くのを待って、エルドレッドが再開する。
「はっ……くっ……んんっ……!」
少しずつだが、確かに入っていっている。
そして、最奥の子宮口にたどりついた彼の亀頭がぐうと子宮を押し上げ続ける。
「ん゛んっ……! ぐっ……」
動きを止めた彼が、大きく息を吐き出した。
「入った……」
彼が、ひとり言のように呟いた。
私は彼を根本まで受け入れることができたのだ。
「大丈夫か?」
私は、脂汗をにじませ、荒く息を吐きながら、小さくうなずいた。
「ありがとう、エメリー」
彼は、私を抱きしめてキスをしてくれた。
直腸を埋める質量に慣れてくると、見知った感覚がよみがえってきた。
直腸がうねり、彼を締め付ける。
「はうっ……!? な、んで!? ああーッッ!!」
彼は少しも動いていないのに、私は達してしまった。
彼が、小さく腰を使う。彼が少し動くだけで、凄まじい激感が襲う。
「お゛ッッ……!! うっ、はひっ、あ゛あ゛ーーッッ!!」
エルドレッドの亀頭に押し上げられた子宮が疼き、直腸が大きくうねる。彼を締め付けるたび、快感が増していく。
狂おしい快楽に、私は彼の首にしがみついた。
「エル、ド、レッド……!!」
「エメリー、愛してる」
「エルド、レッド、好き……! 好、き、好き!!」
彼がキスをしてくれる。
私たちの境界は完全に溶けあい、ひとつになった。
エルドレッドが果てたのを感じると、私も、目も眩む絶頂へと登りつめた。
おわり
初出:2025/03/21
彼のいない二週間の間、私は自分で張形を使って拡張することにした。エルドレッドは自分がすると言っていたのだが、彼にそんなことはさせたくなかった。
使用人たちが寝静まるのを待って、私は一番小さな張形にオイルを垂らした。手に持って、穴にあてがう。
無機質なその冷たい感触に思わず震える。
私は、ゆっくりとそれを押し込んだ。
「くっ……はっ……はあっ……」
奥までゆっくりと、休み休み進めていく。
太さはそうでもないが、指で届かなかったところを広げられ、違和感が強い。
私は、慣れるのを待った。
違和感も薄れたころ、エルドレッドの指の感触を思い出しながら慎重に張形を動かしてみた。
「んっ……うっ……」
徐々に、エルドレッドによって目覚めさせられた直腸内の快感がわずかばかり蘇ってくる。
「エルドレッド、エルドレッド……」
私は、彼のことを思いながら、必死に快感を拾い集め、繋ぎ合わせていった。
彼は、約束の日に帰ってきた。
帰るなり私にキスをして、抱きしめて、耳元で言った。
「君のいい匂いがするよ。早く、寝室に行こう」
私は昨日、ようやく一番大きい張形を受け入れることに成功していた。
と言っても、ぎりぎり、なんとか、と言ったところで、快感を拾うというところまではたどり着かなかった。
それでも、入れることはできた。果てしない異物感と不快感に苛まれてではあっても。
それを彼に告げると、彼は小さく叫んだ。
「僕がしてあげたかったのに」
彼の声は、わずかに非難めいている。
脂汗を流し、弱音を吐き、歯を食いしばり、唸りながら、張形を使ったのだ。彼にはそんな姿は見せたくない。
「あなたと、早く、したかったから」
考えていた言い訳を言うと、彼はふうと息をついてから、私にキスをしてくれた。
深いキスをしながら、互いの長衣のボタンを外しあった。肩からばさりと長衣を落とし、彼が私をベッドに横たえた。
「エメリー、君が煽るのがいけないよ」
彼は私の足を開かせ、性急にそこに触れた。
「すごい濡れ方だ……」
一本の指は、たやすく侵入を果たした。
すぐに指が増やされて、三本の指が私の感じるところを刺激する。ぐちゅぐちゅと卑猥な水音が私の耳を犯す。
「ふっ、あっ……ああッッ!! んっ! んんーーッッ!!」
発情期のために、おそろしいほど感じる。すぐに達して、ぎゅうと彼の指を食いしめてしまう。
「もう、挿れて、ください」
「もう少し」
「やっ、はうっ! もう、大丈夫、ですから!」
「君に、怪我をさせたくない」
よく解したほうがいいに決まっているのに、彼の優しさをもどかしく感じた。
私も怪我はしたくないし、私が怪我をするようなら彼の劣等感は強化されてしまうかもしれないのだ。
しかし、発情して分別をなくしつつある私は、彼の巨大なペニスに対する恐れも薄れて、早く早くと彼を急かした。
「指ばっかり、嫌です! お願い、もう……!」
「……念の為、オイルを足しておこう」
すでに解れきったそこを、オイルでさらにぐずぐずにした。長い指が掻き回す。
「んんっ……! もう、指、いや……」
「本当に、大丈夫だろうか?」
「大丈夫です、から、早く」
彼は私の足を開かせ、いきり立ったペニスにもオイルをまぶした。彼が、私に興奮してくれているのが嬉しい。
亀頭を穴にあてがい、彼がゆっくりと力を掛けていくと、穴が開いていく。充実した亀頭が徐々にめり込んで行く。
「くっ……! ふっ……!!」
やはり、大きい。穴は限界まで引き伸ばされ、めりめりと音がするようだった。
しかし、相手は冷たい金属の張形ではない。私の愛する血の通った男だ。
彼を受け入れたい。そして、彼の苦い失敗の記憶を書き換えたい。彼のものを受け入れる苦しみならば、苦痛も喜びに変わる。
ぐぽ、と一番太い部分である亀頭を飲み込めた。
彼の腰が、わずかに私を突いた。
「あうっ……!」
「す、すまない」
「だい、丈夫……」
私は息を荒げながら、奥へと進む彼を飲み込んでいった。
息をするのもままならない。脂汗が滲む。
ぎちぎちに限界まで彼が私を押し広げている。痛いと言うよりも、ひたすらに苦しい。
「ひっ……! うっ……!!」
「痛いか? やめようか?」
「だめっ……! 少し、待って、大丈夫、だから」
彼は、難しいだろうに、途中で腰の動きを止め、歯を食いしばって私を待ってくれる。
エルドレッドが好きだ。
「くうっ……うぐっ……! ううっ……」
それなのに、苦しさに勝手にぽろぽろと涙がこぼれる。
「もう、いいんだ。やめよう、エメリー」
「ごめんな、さい、大、丈夫だから、お願い、やめないで……!」
私の呼吸が落ち着くのを待って、エルドレッドが再開する。
「はっ……くっ……んんっ……!」
少しずつだが、確かに入っていっている。
そして、最奥の子宮口にたどりついた彼の亀頭がぐうと子宮を押し上げ続ける。
「ん゛んっ……! ぐっ……」
動きを止めた彼が、大きく息を吐き出した。
「入った……」
彼が、ひとり言のように呟いた。
私は彼を根本まで受け入れることができたのだ。
「大丈夫か?」
私は、脂汗をにじませ、荒く息を吐きながら、小さくうなずいた。
「ありがとう、エメリー」
彼は、私を抱きしめてキスをしてくれた。
直腸を埋める質量に慣れてくると、見知った感覚がよみがえってきた。
直腸がうねり、彼を締め付ける。
「はうっ……!? な、んで!? ああーッッ!!」
彼は少しも動いていないのに、私は達してしまった。
彼が、小さく腰を使う。彼が少し動くだけで、凄まじい激感が襲う。
「お゛ッッ……!! うっ、はひっ、あ゛あ゛ーーッッ!!」
エルドレッドの亀頭に押し上げられた子宮が疼き、直腸が大きくうねる。彼を締め付けるたび、快感が増していく。
狂おしい快楽に、私は彼の首にしがみついた。
「エル、ド、レッド……!!」
「エメリー、愛してる」
「エルド、レッド、好き……! 好、き、好き!!」
彼がキスをしてくれる。
私たちの境界は完全に溶けあい、ひとつになった。
エルドレッドが果てたのを感じると、私も、目も眩む絶頂へと登りつめた。
おわり
初出:2025/03/21
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