詠み人知らず、言わずと知れて。

立花伊作

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帰巣本能

失いたくない

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好きだよ。

うん、好きだ。


大好きなんだ。




大好きだからこそ、
僕はそこにはいてはいけない
気がしてならない。


僕は自分を制御出来ない。

だから、いつの間にか
皆を傷付けてしまっていると思う。

不快にさせてしまっていると思う。


昔からそうだ。

僕は大切なものを
大切にする仕方が分からない。


小学生の時も、
中学の時も、
高校になっても、
僕は大切なものを失ってばかりだ。


始めて僕を信じてくれる人に、
嘘を付いてしまった。

一つの嘘に嘘を積み重ねて、
罪悪感に耐えられなくなった時、
その嘘を告白した。

勿論、
その人からの僕への信頼は
跡形もなく消えた。

信じていたものに裏切られて
ショックだったと思う。





大好きな人に素直になれない。

つまらない意地を張って、
何でも分かったようなフリをして、
格好つけて、
その人に意地悪ばかりしていた。

寂しい思いをさせたと思う。



そうして、また僕は、
大切なものを失おうとしている。

また、繰り返すのか…?

同じ誤ちを…。


大切なもの程、僕には遠い。

大切なもの程、手に入らない。

大切なもの程、壊れてしまう。


壊してしまう。

自分の手で…。


どうやったら、
大切なものを大切にする事が
出来るんだろう。

周りの人はどうやって、
大切なものを
大切にしているんだろう。



「嘘つきだよな、お前。」




「何で普通に言えないかな。」




「他人の気持ちとか、
    分からない訳?」




「意味わかんねぇ。」






じゃあどうしたらいいのかなんて、

誰も教えてくれなかったじゃないか。
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