詠み人知らず、言わずと知れて。

立花伊作

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目頭が熱い

狼少年は羊になりたい

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僕は、ひとり。

いつでも、ひとり。

ずっと、ひとり_________…。



ぼうっとして、実感する。


ふと、思い出す。


僕は、そういえば、ずっと、
一匹狼だったこと。



いや、ちょっと違う。



僕は、そういえば、ずっと、
一匹狼だってこと。



幸せな錯覚に、惑わされそうになる。


幸福な夢に、飲み込まれそうになる。



そしてまた、思い出す。



「嗚呼…ひとりだ……。」



忘れてはいけない。



僕は、みんなのようになれないこと。



「お前も、ひとりぼっちなのか?」


「…………。」


「………おいで。」



ずっと、ずっと、永遠に。


僕は、ひとりぼっちのままだ。



どうして僕は、
羊になれないのだろう。

どうして僕は、
狼になってしまったのだろう。



「……僕は
   みんなのいう神は信じないけれど、 
   僕の中の神は信じているよ。

   みんなに平等で、
   みんなを見ている神じゃない。

   僕だけに優しくて、
   僕のことだけ考えてくれる神を。」



だから僕は、羊になれない。


僕は、一匹狼。



「……お前は、僕に似ているね。
   人が怖い?
   それとも、己が怖い?」


「………。」


「…そうだね。僕もだ。
   やっぱり、僕達は似ているね。」



似た者同士が寄り添い合う。


それが、普通だと、思っていた。


でも………………。



「バイバイ。」



似た者同士でも、
似ていないところはある。


気に食わないところだってある。


だから、一緒にはいられない。


これ以上一緒にいたら、
お前は僕から離れていくから。


僕は、それが怖い。


それがいつか、
現実に起こることが怖い。


そして、取り残される僕が
安易に想像できてしまうことが怖い。



だから、僕は一匹狼のままだ。



人とは、ひとりとは、心とは、
なんだ?



「人の心は、
   いつか変わってしまうものだから。」



変わらないものなんてない。


人は進化する。


その進化に比例して、
人の心も進化する。


でも、
僕がひとりなのに変わりはない。



可笑しいね。



「どうせお前も、変わってしまう。」



ぼうっとして、ふらふらして、
立ち止まる。


振り返ると、跡には、なにも残らない。



笑っちゃうくらい、跡形もない。



ふと、思い知る。



「嗚呼…ひとりだ…。」



僕はいつになっても、羊になれない。


ずっと、狼のままだ。
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