詠み人知らず、言わずと知れて。

立花伊作

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あなたのことを

分からないものが、そこにある。

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きっと、わからなくていいことって、あると思う。

例えば、行き場のないこの気持ちとか、
彼に対して抱く感情とか、
彼女のどんなところが気になっているだとか、
あの子にとって自分はどんな存在なのかとか、
周りの人に、自分はどう思われているのだろうかとか。

知らぬが仏、とは、よく言ったものだ。

知らなくていいかもしれないけれど、
気になって気になって仕方がないことだってある。

それが、この世の中にはごまんとある。

矛盾だらけの世界。

気づきたくなかった。

能天気の鈍感な人でいたかった。

あれこれ思考を巡らせて、周りを勘ぐって、疑って、思い込んで。

こんな自分が嫌いだ。

なんでもっと素直に、相手の言葉を受け入れてやれないんだろう。

褒められたって、どうせお世辞だろうとか、
好きだと言われたって、何も知らないくせにとか、ひねくれまくって腐ってる。

素直に「ありがとう」と、受け取っておけばいいものを。

「そんなの」と、投げ捨ててしまう。

そして後になって後悔して、落ち込んで、
自分の価値を自ら下げて言ってしまうのだ。

世界にひとりぼっちになったような気になって、「見つけてほしい」と泣きわめく。

でもそれを表に出したところで、迷惑なやつとしか思われないことも知っているから。

「気づいてほしい」なんて我儘を、聞いてくれる人なんていないから。

酷く寂しくなって、寒くて。

凍え死んでしまいそう。

誰からも愛されないことが寂しくて、
このまま一人ぼっちになってしまうことが恐ろしくて、
そんな時に、どこぞの誰かが言っていたことをふと思い出す。

「自分を自分が愛さなければ、
                    誰が自分を愛してくれるの?」

とてもとても、悲しい台詞。

でも、確かに、その通りなのかもしれない。

誰からも愛されないならせめて、そんな自分を、自分が愛してやるしかないのかもしれない。
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