詠み人知らず、言わずと知れて。

はじまりの唄

憧れに俯く。

SNSで唯一、
一般(？)の赤の他人をフォローしているんだけど、
その人の価値観、世界観が好きだからなんだよね。

自分にはない発想とか、少し近しいものとか、
遠い人なのに何故か親近感が湧く感じ。

不幸論的なところがあるんだけど、それはそれで、


「ああそんな風に考えるのか」


みたいな予想外の言葉をもってくる。

そしてその人はとても美しい言葉を使うんだ。
言い回しとか表現の仕方とか、
自分にすごく合ってて読みやすくて。

不幸を謳って、世界を呪っているのに、
どうしてあんなに美しく見えるんだろう？

あんな美しい言葉を使えるようになれたらなぁなんて、
凡人ながら思うわけです。

自分は元来、マイナスな思考をあまり良しとする人間ではなく、
マイナスな己に対して嫌悪することもしばしば。

人生プラスに生きている人を、
普段はとても羨むばかりなのであります。

しかし時に、
マイナスにも様々な考え方があって、
自分の思考の異なる人を見つけた時、
またその人が素敵な言葉を操る人であった時、
自分は酷く舞い上がったしまうんだ。

同じくこの世界を呪い、
人を憎んできた自分と同じ思いを持っているのに、
どうしてそんなに美しいのか、と。

友人達に、

「あなたはとても明るく、プラス思考ですよね」

とよくいわれるけれど、
それはそうあろうとしているから。

マイナスの己を嫌い、
プラスの己を愛そうとしているから。

常に善い人であろうと、
清い人であろうとしているから。

しかしそれはまた自分の創り上げた虚像であり、本物の自分ではない。

そんな自分を愛してもらったところで、
虚しいだけなのだとは、分かっているのに。

自分にも、周りにも、
幻滅されたくないから、また新たな自分を形成する。

そんなことの繰り返し。

だから、本当の気持ちを言葉にして、その思いをさらけ出せるような人に、すごく憧れる。

と言いつつも、そんな正直で真っ直ぐな人と目を合わせられない自分がいて、
つい目を逸らし、
その人たちの前では俯いてしまうのだけれどね。