詠み人知らず、言わずと知れて。

立花伊作

文字の大きさ
135 / 148
戯言はお言葉

あの人には

しおりを挟む
尊敬って、2種類あると思う。

ひとつは天才。

自分には到底持ちえない才能が、
あの人にはあって、
難なくこなしてしまうところに憧れる。


ひとつは秀才。

自分には到底でき得ない努力を、
あの人には出来て、
苦しみを乗り越えている姿に魅了される。

僕は、前者に尊敬の念を抱きやすい。

自分には持ちえない才能を持っていて、
しかもそれを飄々と乗り越えていってしまうあの人に、憧れる。

なんでも難なくこなせてしまう人って、そうそういないと思うんだ。

それは確かに才能であって、
努力ではない。

それゆえ自由奔放で、
自分勝手で、
周りの手に負えないほど。

それでも、それが許されてしまう。

だって、あの人にはそれを許されるほどの才能がある。

なんでも思うように行くことが羨ましいのではなく、
周りを納得させ、認めざるを得ないと思わせられるくらいの才能を持っていることが、すごく羨ましいのだ。

才のない僕が反抗したところで、それはただの言い訳だと言われてしまうだろう。

「自分にはあの人には適わない」と、
もう尊敬するしかないじゃないか、と思わせる。



アニメやマンガの主人公にも、
これと似たようなところがあると思う。

ひとつは天才。

ひとつは秀才。

物語の主人公像は、どうもこの二者どちらかに当てはまる。

天才に憧れる視聴者、
秀才に励まされる視聴者。


秀才は努力を惜しまない。

時間をかけて努力して、目標を達成する。

その姿に、「努力は必ず報われる」と、励まされるのではないか。

天才は限らているが、
秀才には、誰しもがなり得る。

「自分ももっと頑張れば、いつか」

なんて、思わせてくれるのが秀才なのだろう。

僕だって、憧れやすいのは天才だとしても、秀才には、いつも励まされる。

自分の不甲斐なさを思い知った時とか、力不足に断念しそうになった時。

その秀才に、背中を押されることもある。

「まだやれる」と。

これだから、物語は面白い。

感情を揺さぶられ、勇気をもらう。

それに作者の思いを垣間見て、
その作品を好きになる。

その作者もまた、尊敬する。

ちょっとした事でも、人を尊敬しやすくなることは、悪いことじゃない。

それが自分にとってプラスになるなら、尚更。


嗚呼僕は、誰かに尊敬されるような人間になれるだろうか。

なれたらいいな。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

盗み聞き

凛子
恋愛
あ、そういうこと。

処理中です...