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第十一話 せいなる ひかり▼
しおりを挟む「ぐっ……!」
衝撃。グリフォンの翼が弾け飛ぶのと同時に、ギデオンの体は小石のように吹き飛ばされた。空気を切り裂き、大樹に背中が強く叩きつけられる。呼吸ができない。視界が暗く、ぼやける。骨が悲鳴を上げていた。
(終わった……か)
地面に転がったまま、ギデオンは空を仰いだ。グリフォンが、傷ついた翼を引きずりながらも、自分に向かって歩み寄ってくる。片目から血を流しながら、それでも鋭い爪を振り上げる。
でも、どうだろうな。俺にしては、善戦した方じゃないか?
その瞬間――
闇の森に、突如として光が降った。まるで夜を裂くかのような純白の輝きが視界を満たし、ギデオンは思わず目を覆う。
「――聖剣、解放」
透き通る声が光の中心から響いた。それは前世で幾度となく聞いたあの声。夜の森に満ちる眩さの中に浮かび上がる細いシルエット。その手には、聖剣が静かに現れ、瞬く間に光を纏う。
次の瞬間――
グリフォンの咆哮が途切れた。聖剣が放つ閃光がその巨体を貫き、鮮血が夜に散った。
「エリス……?」
光が消えた後に立っていたのは――エリスだった。
聖剣を握るその細い手は血に濡れ、かすかに震えている。しかし、顔には恍惚とした笑みが浮かんでいた。
その瞳はどこか空ろで、けれど底知れぬ狂気が揺らめいていた。まるで自分の内側から何かが崩れ落ちていくことに気づきながら、それを受け入れてしまったかのような――そんな微笑みだった。
「大丈夫ですか、ギデオンさん?」
エリスの体からは、溢れ出す魔力。圧倒的な力。しかし彼女の声に微かな震えを感じた。彼女は近づいてくる。血に濡れた剣を持ったまま。
「これで……少しは、恩を返せたのでしょうか?」
エリスは血まみれの手でギデオンを抱きしめた。少しの幼さを残す美貌は、血に濡れてなおあまりにも美しい。
「――わたくしは、勇者エリス・サンライト」
そっと、血に濡れた手がギデオンの頬を撫でる。細く、小さく、そして柔らかい手の感触。
呆然と彼女を見つめる。
「――あなたの剣であり、鎧です」
何かがおかしい――。意識を失う直前、口からこぼれたのは冗談のような一言だった。
――なんか俺、とんでもない子を助けちゃったんじゃないか?
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