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蒼い虫
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幼い私が雪原を歩いている。私は自分の痛みが透明な水晶のように、行く先々で付いてくることに気がついていた。それはあまりにも長い間、常に付き添ってきた痛みだ。無限の白さが目の前に広がり、終わりのない荒涼とした風景が広がっていた。私の中で何かが蠢き、漠然として、内的な、痛みを伴う何かが、一定のリズムを持って歩みを続けさせる。私の中に言葉では説明できない痛みがあった。雪原には蒼い虫が蔓延っていただろう。群青色の太い塊が、生ける屍のように静かに動き続けている。野原や丘は厚い雪に覆われ、木々の枝に積もり、奇妙な氷の彫刻となった。冬は果てしなく続き、春は遠い幻のように思えた。虫たちは雪の下に隠れた草を食んでいたのだ。私はロゲルトが墓を作ろうとしたことを思い返す。彼の分厚い手は寒さで悴んでおり、逞しい体は疲労で弱っていた。しかし彼が止めることはなかった。私は遠くから見守っていた。彼の苦痛を和らげるために、何も言うことも、することもできないと思った。ただ黙ってそこに立ち、自分の存在を慰めることしかできなかった。墓が埋まるにつれて雪が降り始め、まるで大地が村人たちを懐に抱くかのように、墓を覆い始めた。
埋もれた葉には、小さな穴が点々と開いている。その横で一角兎の屍が横たわっているだろう。雪解け水が死体を溶かし、青白い腐肉が泥のように吸い込まれているだろう。カトブレパスの眼を見た動物たちは永遠に雪の下で眠り続け、その体液は長い時間を掛けて大地に染み込んでいったことだろう。骨が砕け散った痕跡が土埃となって雪の上に残った。ロゲルトは重い気持ちで墓から目をそらし、日が暮れる前に家に戻るために歩き始めた。その足取りは村人たちを見捨てるかのようで、ゆっくりと、躊躇いがちに歩いていた。悲しみで胸を重くしながら、彼の後を追った。
雪の重みに耐えられず、歪んだ頭蓋骨から零れたものを、蒼い虫が啜っているだろう。不意にその虫が焦ったように草の根もとに引っ込んでゆく。鳥たちが群れをなして空を舞っている。奴らは雪に隠れた虫たちを啄もうとしていた。爪や翼が雪原を掠め、白い塵を舞い上げるだろう。ふっと、私から痛みが消え去った。慣れたわけではなかった。許したということもまず有り得ない。それは突然飛び立ったとしか言いようがない。気付けば纏わりついていた殺意が純化されて、私の人格から水と油のように引きはがされ一つの塊を成していた。私の中で混じり合っていた日常的な部分と非日常的な部分が、特殊な道のりを経て引きはがされたようだった。私はそれが何なのか分からなかったが、確かにそれは私の中で形を成そうとしていた。雪原には稀に病んだワイバーンが飛んできた。それは不規則に体を揺らしながら鳥の群れに噛みつくだろう。日々は漫然と過ぎ去る。夜の訪れだけが、この地に唯一何らかの違いを生むものだった。
彼は崩れ去った石工の家の前を通り過ぎた。それは悲しく哀れな光景で、かつての面影は全くない。ロゲルトは家に戻った後も立ち尽くし、記憶の中に建てた石積みの墓を眺めているだろう。目には涙が溢れていたかもしれないが、泣くことはなかったはずだ。葉の落ちた木々の間を風が吹き抜け、雲が月を遮るたびに、辺りは一層暗くなった。彼は夜が来るたびに自分の罪を思い返していたに違いない。忘れるがよい、そして忘れられるがよい。鳥は住処へと帰っていくだろう。歴史の目から些細な出来事を隠すため、白が世界に染み渡る。何事もなかったかのように、蒼い虫たちが雪の中で踊り続けているだろう。
埋もれた葉には、小さな穴が点々と開いている。その横で一角兎の屍が横たわっているだろう。雪解け水が死体を溶かし、青白い腐肉が泥のように吸い込まれているだろう。カトブレパスの眼を見た動物たちは永遠に雪の下で眠り続け、その体液は長い時間を掛けて大地に染み込んでいったことだろう。骨が砕け散った痕跡が土埃となって雪の上に残った。ロゲルトは重い気持ちで墓から目をそらし、日が暮れる前に家に戻るために歩き始めた。その足取りは村人たちを見捨てるかのようで、ゆっくりと、躊躇いがちに歩いていた。悲しみで胸を重くしながら、彼の後を追った。
雪の重みに耐えられず、歪んだ頭蓋骨から零れたものを、蒼い虫が啜っているだろう。不意にその虫が焦ったように草の根もとに引っ込んでゆく。鳥たちが群れをなして空を舞っている。奴らは雪に隠れた虫たちを啄もうとしていた。爪や翼が雪原を掠め、白い塵を舞い上げるだろう。ふっと、私から痛みが消え去った。慣れたわけではなかった。許したということもまず有り得ない。それは突然飛び立ったとしか言いようがない。気付けば纏わりついていた殺意が純化されて、私の人格から水と油のように引きはがされ一つの塊を成していた。私の中で混じり合っていた日常的な部分と非日常的な部分が、特殊な道のりを経て引きはがされたようだった。私はそれが何なのか分からなかったが、確かにそれは私の中で形を成そうとしていた。雪原には稀に病んだワイバーンが飛んできた。それは不規則に体を揺らしながら鳥の群れに噛みつくだろう。日々は漫然と過ぎ去る。夜の訪れだけが、この地に唯一何らかの違いを生むものだった。
彼は崩れ去った石工の家の前を通り過ぎた。それは悲しく哀れな光景で、かつての面影は全くない。ロゲルトは家に戻った後も立ち尽くし、記憶の中に建てた石積みの墓を眺めているだろう。目には涙が溢れていたかもしれないが、泣くことはなかったはずだ。葉の落ちた木々の間を風が吹き抜け、雲が月を遮るたびに、辺りは一層暗くなった。彼は夜が来るたびに自分の罪を思い返していたに違いない。忘れるがよい、そして忘れられるがよい。鳥は住処へと帰っていくだろう。歴史の目から些細な出来事を隠すため、白が世界に染み渡る。何事もなかったかのように、蒼い虫たちが雪の中で踊り続けているだろう。
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