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第72話 海の王と風の乙女
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僕たちの『アークライト号』は、再び、荒れ狂う嵐の中へと、飛び出した。
眼下では、巨大なクラーケンが、最後の都市『アクアポリス』を、破壊しようと、その巨大な触手を、振り回している。
都市を守るエネルギー・ドームは、もはや、風前の灯火だった。
「間に合わせるぞ!」
ギデオンが、船を急加速させ、クラーケンの頭上へと、回り込む。
僕たちは、躊躇なく、船の主砲、エーテル・キャノンを、放った。
純白の光の槍が、クラーケンの、巨大な胴体を、貫く。
だが。
「グオオオオオッ!」
クラーケンは、絶叫を上げたものの、その動きは、止まらなかった。
僕たちの、切り札であるはずの主砲が、致命傷には、至っていない。
「なんて、タフさだ……!」
エリアナさんが、驚愕の声を上げる。
「解析データを、表示します! あのクラーケン、体そのものが、高密度の、水の魔力で、できています! 物理攻撃や、エネルギー攻撃は、そのほとんどが、再生能力によって、無効化されてしまうようです!」
再生能力。厄介極まりない。
ならば、どうする?
僕は『最適化』で、活路を探る。
そして、見つけ出した。
【対象:古代種クラーケン(瘴気汚染型)。最適化分析:弱点は、体内に存在する、唯一の個体核『深海の心臓』。だが、その位置は、常に、体内の魔力の流れと共に、移動している】
弱点が、移動する?
これでは、狙いを、定めることができない。
僕が、打開策を、考えあぐねていると、航法士席に座っていた、リナが、静かに、立ち上がった。
「……アルク。私に、やらせろ」
彼女の瞳には、かつてないほど、真剣な光が、宿っていた。
「あの魔物の、体内の、魔力の『流れ』。私の、この力なら、それを、読むことができる」
「リナさん……!?」
彼女は、『風の担い手』として、風の流れだけでなく、ありとあらゆる、エネルギーの流れを、感じ取ることができるようになっていたのだ。
だが、それは、彼女の精神に、大きな負担を、かけるはずだ。
「無茶だ! 君の体が……!」
「無茶じゃない。私を、信じろ」
彼女は、僕の肩を、力強く、掴んだ。
「あんたは、船から、私を、援護してくれ。私が、弱点の位置を、特定する。攻撃は、私、一人が、やる」
彼女は、有無を言わさぬ口調で、そう言うと、船のハッチへと、向かった。
僕は、彼女の、覚悟を決めた、背中を、見送ることしかできなかった。
リナは、嵐の中へと、飛び出した。
だが、彼女は、落下しない。
彼女の足元には、風が集まり、彼女を、宙に、浮かせている。
彼女は、風に乗り、まるで、舞うように、クラーケンの、巨体の周りを、飛び始めた。
≪リナ、かっけえ……!≫
≪風の乙女、って感じだな≫
≪一人で、あんな化け物と、戦うのか……!≫
リナは、目を閉じ、意識を、集中させる。
クラーケンの、体内で、渦巻く、膨大な魔力の奔流。その流れを、彼女は、読んでいた。
そして、見つけ出した。
無数に流れる、支流の中に、たった一つだけ存在する、本流の源。
弱点、『深海の心臓』の、位置を。
「――そこだッ!」
リナの姿が、消えた。
彼女は、風そのものと、一体化し、音速を超える速度で、クラーケンの、懐へと、突っ込んでいく。
その手には、僕が、ヴォルクスの技術で、改良した、短剣が、青緑色の、光を放っている。
彼女の、渾身の一撃が、クラーケンの、分厚い皮膚を、貫き、そして、その奥にある、弱点を、正確に、破壊した。
「ギ……シャアアアアアアアアアアアッッ!!」
クラーケンが、断末魔の、絶叫を上げた。
その巨大な体は、再生能力を失い、ゆっくりと、泡となって、海の中へと、溶けるように、消えていった。
リナは、たった一人で、この星の、海の王を、打ち破ったのだ。
だが、彼女の体も、限界だった。
彼女は、力を使い果たし、空中から、落下していく。
「リナさん!」
僕は、船を、急降下させ、落ちていく彼女の体を、間一髪で、受け止めた。
僕の腕の中で、彼女は、疲労困憊の、しかし、満足そうな、笑みを浮かべていた。
「……やったぞ、アルク」
「……ええ。最高の、戦いでした」
僕たちは、都市へと、帰還した。
都市の人々は、僕たちの、特に、リナの、神がかり的な戦いぶりを見て、彼女を、「風の乙女」と呼び、英雄として、熱狂的に、迎えてくれた。
僕たちは、この星の、最初の脅威を、退けた。
だが、本当の問題は、まだ、何も、解決してはいない。
この星を、死に至らしめている、根本原因。
僕たちは、その謎を、解き明かさなければならない。
眼下では、巨大なクラーケンが、最後の都市『アクアポリス』を、破壊しようと、その巨大な触手を、振り回している。
都市を守るエネルギー・ドームは、もはや、風前の灯火だった。
「間に合わせるぞ!」
ギデオンが、船を急加速させ、クラーケンの頭上へと、回り込む。
僕たちは、躊躇なく、船の主砲、エーテル・キャノンを、放った。
純白の光の槍が、クラーケンの、巨大な胴体を、貫く。
だが。
「グオオオオオッ!」
クラーケンは、絶叫を上げたものの、その動きは、止まらなかった。
僕たちの、切り札であるはずの主砲が、致命傷には、至っていない。
「なんて、タフさだ……!」
エリアナさんが、驚愕の声を上げる。
「解析データを、表示します! あのクラーケン、体そのものが、高密度の、水の魔力で、できています! 物理攻撃や、エネルギー攻撃は、そのほとんどが、再生能力によって、無効化されてしまうようです!」
再生能力。厄介極まりない。
ならば、どうする?
僕は『最適化』で、活路を探る。
そして、見つけ出した。
【対象:古代種クラーケン(瘴気汚染型)。最適化分析:弱点は、体内に存在する、唯一の個体核『深海の心臓』。だが、その位置は、常に、体内の魔力の流れと共に、移動している】
弱点が、移動する?
これでは、狙いを、定めることができない。
僕が、打開策を、考えあぐねていると、航法士席に座っていた、リナが、静かに、立ち上がった。
「……アルク。私に、やらせろ」
彼女の瞳には、かつてないほど、真剣な光が、宿っていた。
「あの魔物の、体内の、魔力の『流れ』。私の、この力なら、それを、読むことができる」
「リナさん……!?」
彼女は、『風の担い手』として、風の流れだけでなく、ありとあらゆる、エネルギーの流れを、感じ取ることができるようになっていたのだ。
だが、それは、彼女の精神に、大きな負担を、かけるはずだ。
「無茶だ! 君の体が……!」
「無茶じゃない。私を、信じろ」
彼女は、僕の肩を、力強く、掴んだ。
「あんたは、船から、私を、援護してくれ。私が、弱点の位置を、特定する。攻撃は、私、一人が、やる」
彼女は、有無を言わさぬ口調で、そう言うと、船のハッチへと、向かった。
僕は、彼女の、覚悟を決めた、背中を、見送ることしかできなかった。
リナは、嵐の中へと、飛び出した。
だが、彼女は、落下しない。
彼女の足元には、風が集まり、彼女を、宙に、浮かせている。
彼女は、風に乗り、まるで、舞うように、クラーケンの、巨体の周りを、飛び始めた。
≪リナ、かっけえ……!≫
≪風の乙女、って感じだな≫
≪一人で、あんな化け物と、戦うのか……!≫
リナは、目を閉じ、意識を、集中させる。
クラーケンの、体内で、渦巻く、膨大な魔力の奔流。その流れを、彼女は、読んでいた。
そして、見つけ出した。
無数に流れる、支流の中に、たった一つだけ存在する、本流の源。
弱点、『深海の心臓』の、位置を。
「――そこだッ!」
リナの姿が、消えた。
彼女は、風そのものと、一体化し、音速を超える速度で、クラーケンの、懐へと、突っ込んでいく。
その手には、僕が、ヴォルクスの技術で、改良した、短剣が、青緑色の、光を放っている。
彼女の、渾身の一撃が、クラーケンの、分厚い皮膚を、貫き、そして、その奥にある、弱点を、正確に、破壊した。
「ギ……シャアアアアアアアアアアアッッ!!」
クラーケンが、断末魔の、絶叫を上げた。
その巨大な体は、再生能力を失い、ゆっくりと、泡となって、海の中へと、溶けるように、消えていった。
リナは、たった一人で、この星の、海の王を、打ち破ったのだ。
だが、彼女の体も、限界だった。
彼女は、力を使い果たし、空中から、落下していく。
「リナさん!」
僕は、船を、急降下させ、落ちていく彼女の体を、間一髪で、受け止めた。
僕の腕の中で、彼女は、疲労困憊の、しかし、満足そうな、笑みを浮かべていた。
「……やったぞ、アルク」
「……ええ。最高の、戦いでした」
僕たちは、都市へと、帰還した。
都市の人々は、僕たちの、特に、リナの、神がかり的な戦いぶりを見て、彼女を、「風の乙女」と呼び、英雄として、熱狂的に、迎えてくれた。
僕たちは、この星の、最初の脅威を、退けた。
だが、本当の問題は、まだ、何も、解決してはいない。
この星を、死に至らしめている、根本原因。
僕たちは、その謎を、解き明かさなければならない。
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