【配信】無能だと追放された僕の『最適化』スキル、実は神級だった件〜落ちぶれた勇者パーティを尻目に、Sランク冒険者になって人生逆転します〜

桃我タロー

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第100話 関係性

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 惑星ガイアを旅立つ前夜。僕たちはリアムが住む超巨大樹『世界樹』の最上階にあるテラスで、ささやかな送別の宴を開いていた。リアムが大地の力でこの夜のために作り出してくれた、美しい光る苔のランタン。その幻想的な光に包まれながら、僕たちはこれまでの冒険やそれぞれの故郷の話で大いに盛り上がっていた。
「それにしてもアルク殿の『最適化』は底が知れんな。戦術指揮から料理、そして星の再生までこなしてしまうとは。もはや神の御業だ」
 ギデオンが心から感心したように言う。
「まあな! アルクは俺たちの最高のリーダーだからな! 頭脳明晰、才色兼備、向かうところ敵なし、だ!」
 カイが自分のことのように胸を張り、なぜか僕が知らない四字熟語まで付け加えている。
 僕はそんな仲間たちの言葉に照れながらも、くすぐったいような嬉しい気持ちになっていた。
 宴が一段落した頃、新しく仲間になったリアムが、ふと僕とリナを交互に見ながら不思議そうな顔で問いかけた。彼はこの数日間、僕たちの何気ないやり取りを観察していたらしかった。
「……一つ聞いてもいいだろうか」
「はい、何でしょう?」
「……君たち二人は、一体どういう関係なのだ?」
 そのあまりにもストレートで核心を突く問いかけに、僕とリナは同時に飲んでいた木の実のジュースを噴き出しそうになった。
「ど、どど、どういうって……。な、仲間だけど……? パートナーだし……」
 リナが顔を真っ赤にしながら答える。その尻尾は正直に困惑と羞恥心を表すように、ぶんぶんと左右に振れていた。
 だがリアムは納得していないようだった。大地の生命の繋がりを感じ取れる彼には、僕たちの魂の繋がりが見えているのだ。
「……いや、違う。私が感じる君たちの魂の繋がりは、ただの『仲間』という言葉では説明できない。それはまるで一つの魂が二つに分かたれたかのようだ。あるいは遥か昔から何度も何度も星々を巡り合い、別れ、そしてまた出会うことを繰り返してきたかのような、深くそして宿命的な結びつきだ。友人とも家族とも違う……。それはもっと根源的な……」
 リアムの詩的で、しかし真理を突いた指摘に、ギデオンとカイも「確かに言われてみれば……」「お前らなんか特別距離が近いもんな!」と興味津々な顔で僕たちを見てくる。
 エリアナさんだけは「あらあら、うふふ」と、すべてをお見通しのように楽しそうに微笑んでいる。
「そ、そんなんじゃ、ない! あんたの気のせいだ!」
 リナがしどろもどろに否定する。その姿はいつもの勝気な戦士の顔ではなく、ただの恋する少女の顔だった。
 僕もどう答えていいか分からず、ただ困ってしまう。
 僕とリナの関係。それは確かにただの「仲間」という言葉では言い表せないものだった。彼女は僕が絶望の底にいた時に出会った最初の光。僕の弱さも情けなさもすべて知った上で、それでも隣にいてくれるかけがえのない存在。それは友人とも違う。恋人ともまだ違う。家族とも少し違う。それらすべての感情が入り混じった、もっと特別で尊い関係。言葉にできないからこそ、エモい、というやつなのだろうか。
≪リアム、グッジョブ! よくぞ聞いてくれた!≫
≪ついに核心を突いてきたな! これは神回!≫
≪アルク! リナ! もう観念して白状しちゃえよ!≫
 コメント欄は今までで一番の盛り上がりを見せている。僕たちの冒険の行方と同じくらい、このじれったい関係の行方を見守ってくれているのだ。
 僕たちが答えに窮していると、エリアナさんが助け舟を出してくれた。
「……まあ、お二人の関係は、この壮大な旅の終わりまで私たち視聴者の、お楽しみ、ということにしておきましょう。……それよりもアルクさん。次の目的地ですが、セラフィムの星図に気になる変化がありました」
 彼女がホログラム・スクリーンを表示する。そこには僕たちが次に向かうべき『光の担い手』と『闇の担い手』がいる星系が映し出されていた。だがその二つの星は双子のように寄り添い、そして互いの引力で激しく反発し合っていた。まるで決して結ばれることのない恋人同士のように。
「……これは?」
「この二つの星は古来より対立を続けている、『永世敵対国家』のようです。光を絶対の善と信仰する神聖王国『ルクシオン』。そして闇にこそ真理があると崇拝する魔導皇国『ノクタリア』。両者は数千年にわたり、血で血を洗う戦争を繰り返している、と……」
「……そんな場所に、二人の担い手たちがいるのか」
 しかも星図によれば『光の担い手』は神聖王国の敬虔な王女。そして『闇の担い手』は魔導皇国の若きカリスマ的な皇子。二人は敵対する国家の指導者そのものなのだ。
 彼らを仲間に引き入れる。それはもはやただの説得では済まない。二つの国家間の数千年にわたる憎しみの歴史に、僕たちが介入することを意味していた。
 僕たちの次の試練はこれまでで最も困難で、そして複雑なものになるだろう。絶対的な正義と正義がぶつかり合う、終わらない戦争。
 僕の『最適化』は、その混沌とした世界にどんな答えを導き出すのか。
 僕たちの星巡りの旅は、新たな謎と困難を提示し、次なる章へと続いていく。
 僕とリナの、この言葉にできない関係の行方と共に。
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