【配信】無能だと追放された僕の『最適化』スキル、実は神級だった件〜落ちぶれた勇者パーティを尻目に、Sランク冒険者になって人生逆転します〜

桃我タロー

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第105話 アークライトの亀裂

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 ノクトが明かした衝撃の真実。
 それは、僕たち「アークライト」の絆に、はじめて明確な亀裂を生じさせた。

 その夜、アークライト号の作戦室で、僕たちは激しく意見をぶつけ合った。

「……それでも私は、ルクシオンの掲げる理想を信じたい」

 最初に口火を切ったのはギデオンだった。
 彼は騎士として、秩序と規律を何よりも重んじている。

 彼にとってノクタリアの自由で混沌とした在り方は、到底受け入れられるものではなかった。

「確かにルクシオンにも過ちはあったかもしれない。だが、彼らが目指しているのは法と秩序に基づく安定した世界だ。ノクタリアとは違う。欲望と暴力が渦巻く無法地帯ではないか。……大きな善を成すために、犠牲や偽善が必要な時もある」

「綺麗事言ってんじゃねえよ、兄貴!」

 それに噛みついたのはカイだった。

「あんた、ルクシオンがやってきたことを見て、それでも同じことが言えるのか? あいつらは自分たちの正義のために、罪もないノクタリアの民を虐殺したんだぞ! 俺は、そんな偽善者の正義なんて絶対に認めねえ!」

 カイはかつて、一族の中で疎外されていた経験がある。
 だからこそ、ノクタリアの民が受けた苦しみを他人事には思えなかった。

 二人の意見は真っ向から対立する。

「……私も、ノクタリアに同情する」

 静かに、しかし強い意志で口を開いたのはリナだった。

「ルクシオンは、自分たちと違うという理由だけで他者を排除しようとしている。それは私が故郷を追われた時と同じ。どんな理由があっても、他者の自由や尊厳を踏みにじることは許されない」

 彼女の言葉に、リアムも頷く。

「……ああ。私もリナ殿に同意する。異分子を排除し、純粋な世界を作ろうとするその思想。それは、かつてガイアを滅ぼしかけた異星人たちと同じだ。私は決して容認できない」

 ギデオンとカイ。リナとリアム。
 仲間たちの意見は、はっきり二つに分かれてしまった。

 今までどんな強敵を前にしても揺らぐことのなかった僕たちの絆。
 それが、「正義」と「過去」という譲れない想いの前に、いま崩れかけていた。

 船内の空気は重く、誰もが互いに背を向けて沈黙していた。
 僕の言葉も、今は誰にも届かない。

 ≪うわ……最悪の雰囲気だ……≫
 ≪仲間割れだけはやめてくれ……!≫
 ≪アルク、リーダーとしてどうするんだ!?≫

 僕の調整者としての力が、いま試されている。
 力づくでどちらかに統一することもできるかもしれない。
 けれど、それでは意味がない。それでは、ルクシオンやノクタリアと同じだ。

 僕は、自分の無力さを痛感していた。
 仲間たちの心を一つにまとめる最適な方法が見つからない。

『アークライト』は結成以来、最大の危機を迎えていた。
 そして、僕たちの心に生まれた隙を、この星系の闇が見逃すはずもなかった。

 僕たちが内側から崩れかけている、その裏で。
 本当の敵が、静かに、確実に、牙を剥こうとしていた。

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