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第108話 偽りの戦争と仕組まれた憎しみ
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すべての真実を掴んだ僕は、静かに作戦室を見回した。
そこには、かつては決して一枚岩ではなかった仲間たちがいた。だが今や、共通の敵を前に、皆が同じ烈火の怒りを燃やしている。
彼らの魂が、一つの目的のもとに再び共鳴し始めているのを、僕は肌で感じていた。
沈黙を破ったのは、僕だった。
「……もう、分かったよね。僕たちが、ここで争っている場合じゃないってこと」
その一言に、誰もが深く頷いた。ギデオンが、自らの未熟さを恥じるように、重い口を開く。
「……すまなかった、アルク殿。そして、皆。私は騎士として秩序という言葉に囚われ、大局を見失っていた。民を守るべき騎士が、民を苦しめる巨大な悪意に気づけなかった。誇り高き騎士として、これ以上の恥はない」
「俺もだ……。正義だとかカッコつけたことを言いながら、ノクタリアの民が背負ってきた苦しみに、目を向けようともしなかった。本当に、悪かったな。リナ、リアム」
カイの心からの悔恨に、リナとリアムも静かに応えた。
「……私たちも、冷静さを失っていた。自分の過去の傷と、この星の悲劇を重ねすぎていたのかもしれない。でも、もういい。今度こそ、このくだらない憎しみの連鎖を、私たちの手で終わらせよう」
「ああ。我らが討つべき敵は、すでに明らかだ。この星系をあざ笑う影――『ウロボロス』。そして、その背後に潜む、古き悪意。我ら担い手の真の使命は、それらを打ち破ることにある」
バラバラだった歯車が、音もなく、そして完璧に噛み合い始める。
僕たち『アークライト』は、一度砕けたからこそ、以前よりもはるかに強く、そして確かな絆で結び直された。
だが、僕たちの前には、なお巨大な壁が立ちふさがっていた。
この真実を、どうやってルクシオンとノクタリアの両国に伝えるか。
セレスティアとノクトに、どう信じさせるか。
数千年にわたってウロボロスによって植え付けられ、育まれてきた怨念を、どう解きほぐすか。
ホログラム通信の向こうで、エリアナさんが静かに、だが鋭く口を開いた。
「……正面から真実を告げても、おそらく両国の指導者は耳を貸さないでしょう。特にルクシオン側は、すでにウロボロスの影響が深く浸透している可能性があります。あなた方の提示する証拠すら握りつぶし、逆に、あなた方を“両国を混乱させる共通の敵”として断罪するかもしれません」
言葉は冷静だったが、その瞳には、最悪のシナリオへの憂いが宿っていた。
でも、僕には覚悟がある。そして――最適解も、すでに見えていた。
「……だからこそ、僕たちが“火種”になるんです」
「火種、だと?」ギデオンが眉をひそめる。
「うん。僕たちが、ルクシオンにとってもノクタリアにとっても、そしてウロボロスにとっても無視できない“第三の脅威”になる。そして、三者すべてを僕たちと向き合わざるを得ない状況に、強制的に引きずり出すんです」
「……強硬策だな。だが理解した。今のこの泥沼を動かすには、それほどの力業が必要ということか。まさに、劇薬だ」
作戦は、単純明快で、大胆不敵だった。
まず、『アークライト号』の存在を、堂々と全世界に示す。
そして、民間人に一切被害が及ばない、純粋な軍事的要所――両国の無人兵器工場や補給基地を、僕たちの圧倒的な力で同時に叩き潰す。
両国の戦争継続能力を、一時的に完全に麻痺させる。
その上で、僕たちは両国に向けて、こう宣言する。
「――この仕組まれた茶番は、我々が終わらせる。真の平和を望むのなら、両国の指導者は、我々が指定する聖地へ来られたし」
それは、まるで神の視点から下された最後通牒にも等しい、傲慢な宣言だ。
だが、この偽りに満ちた歴史を終わらせるには、それほどの絶対的な強さが必要だった。
もはや、僕たちはただの仲介者ではない。
この星々の命運をその手に握る、“第三の意思”として、歴史の表舞台に立つのだ。
僕の覚悟を聞いた仲間たちの顔に、再び闘志の炎が灯った。
僕たちは、エリアナさんが特定した両国の軍事目標リストを確認し、入念な作戦計画の立案に取りかかった。
――僕たちの反撃が、今、始まろうとしていた。
それは、偽りの戦争の歴史に終止符を打つための、壮大な協奏曲の始まりだった。
そこには、かつては決して一枚岩ではなかった仲間たちがいた。だが今や、共通の敵を前に、皆が同じ烈火の怒りを燃やしている。
彼らの魂が、一つの目的のもとに再び共鳴し始めているのを、僕は肌で感じていた。
沈黙を破ったのは、僕だった。
「……もう、分かったよね。僕たちが、ここで争っている場合じゃないってこと」
その一言に、誰もが深く頷いた。ギデオンが、自らの未熟さを恥じるように、重い口を開く。
「……すまなかった、アルク殿。そして、皆。私は騎士として秩序という言葉に囚われ、大局を見失っていた。民を守るべき騎士が、民を苦しめる巨大な悪意に気づけなかった。誇り高き騎士として、これ以上の恥はない」
「俺もだ……。正義だとかカッコつけたことを言いながら、ノクタリアの民が背負ってきた苦しみに、目を向けようともしなかった。本当に、悪かったな。リナ、リアム」
カイの心からの悔恨に、リナとリアムも静かに応えた。
「……私たちも、冷静さを失っていた。自分の過去の傷と、この星の悲劇を重ねすぎていたのかもしれない。でも、もういい。今度こそ、このくだらない憎しみの連鎖を、私たちの手で終わらせよう」
「ああ。我らが討つべき敵は、すでに明らかだ。この星系をあざ笑う影――『ウロボロス』。そして、その背後に潜む、古き悪意。我ら担い手の真の使命は、それらを打ち破ることにある」
バラバラだった歯車が、音もなく、そして完璧に噛み合い始める。
僕たち『アークライト』は、一度砕けたからこそ、以前よりもはるかに強く、そして確かな絆で結び直された。
だが、僕たちの前には、なお巨大な壁が立ちふさがっていた。
この真実を、どうやってルクシオンとノクタリアの両国に伝えるか。
セレスティアとノクトに、どう信じさせるか。
数千年にわたってウロボロスによって植え付けられ、育まれてきた怨念を、どう解きほぐすか。
ホログラム通信の向こうで、エリアナさんが静かに、だが鋭く口を開いた。
「……正面から真実を告げても、おそらく両国の指導者は耳を貸さないでしょう。特にルクシオン側は、すでにウロボロスの影響が深く浸透している可能性があります。あなた方の提示する証拠すら握りつぶし、逆に、あなた方を“両国を混乱させる共通の敵”として断罪するかもしれません」
言葉は冷静だったが、その瞳には、最悪のシナリオへの憂いが宿っていた。
でも、僕には覚悟がある。そして――最適解も、すでに見えていた。
「……だからこそ、僕たちが“火種”になるんです」
「火種、だと?」ギデオンが眉をひそめる。
「うん。僕たちが、ルクシオンにとってもノクタリアにとっても、そしてウロボロスにとっても無視できない“第三の脅威”になる。そして、三者すべてを僕たちと向き合わざるを得ない状況に、強制的に引きずり出すんです」
「……強硬策だな。だが理解した。今のこの泥沼を動かすには、それほどの力業が必要ということか。まさに、劇薬だ」
作戦は、単純明快で、大胆不敵だった。
まず、『アークライト号』の存在を、堂々と全世界に示す。
そして、民間人に一切被害が及ばない、純粋な軍事的要所――両国の無人兵器工場や補給基地を、僕たちの圧倒的な力で同時に叩き潰す。
両国の戦争継続能力を、一時的に完全に麻痺させる。
その上で、僕たちは両国に向けて、こう宣言する。
「――この仕組まれた茶番は、我々が終わらせる。真の平和を望むのなら、両国の指導者は、我々が指定する聖地へ来られたし」
それは、まるで神の視点から下された最後通牒にも等しい、傲慢な宣言だ。
だが、この偽りに満ちた歴史を終わらせるには、それほどの絶対的な強さが必要だった。
もはや、僕たちはただの仲介者ではない。
この星々の命運をその手に握る、“第三の意思”として、歴史の表舞台に立つのだ。
僕の覚悟を聞いた仲間たちの顔に、再び闘志の炎が灯った。
僕たちは、エリアナさんが特定した両国の軍事目標リストを確認し、入念な作戦計画の立案に取りかかった。
――僕たちの反撃が、今、始まろうとしていた。
それは、偽りの戦争の歴史に終止符を打つための、壮大な協奏曲の始まりだった。
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