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32.次元の狭間
11.堕ちた竜
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「え、え、エンドローゼ!?」
アストロが叫ぶほどに驚愕した。声は出ないものの、レイドやコストイラも驚いた。先程のものを超えるオーバーリアクションをした。
「ちょっと、追いかけるわよ!」
「お、おう!」
「ったりめぇだ!」
『お、お待ちください!!』
――チョット待てい!
「ふわッ!?」
追いかけようとした一行をメザパは止めようと両腕を大きく広げた。それに加え、アストロの脳に直接フォンの声が響いた。
アストロのみに訪れた現象のため、コストイラ達が不思議そうな顔をした。
「な、何で私だけ」
――だって、全体に発信すると、聞こえづらくなっちゃうんだもん。グレイソレアちゃんに頼んで繋いでもらいました。話が通じそうなアストロちゃんを指名したってのはある。
「ふ、フォンから連絡が来たんだけど」
「え?」
「ちょっと待って、まだ、話が続いている」
アストロが周りを制止させ、フォンの言葉に集中して聞く。
――ここは貴族の屋敷。勝手に入ると、普通に侵入の罪で裁かれるよ。まぁ、ロランドはチョー優しいから処刑はされないだろうけど。
「エンドローゼは大丈夫なの?」
――……まぁ、ある意味で大変な目に合っているかな? キスされたり、着せ替え人形にされたり、キスされたり、高価なものを押し付けられたり、キスされたり、キスされたり、キスされたりしているけど、無事だよ。
「キ、キス? それは無事なの?」
状況が分からず、アストロが困惑してしまう。それは本当に大丈夫なのだろうか。
――とりあえず、今は感動の再開中だからさ。ちょっとゆっくり迎えに行ってあげてほしいな。まずは入館の許可取りからだね。
「ねぇ、レイド」
「ん?」
こめかみ辺りに片手を当てながら、アストロはレイドを見る。レイドはアストロを見返した。
「これ、入るのに、やっぱり許可が必要よね」
「ん、まぁ、それはそうだろうな」
アストロがメザパのことを見る。メザパは不思議そうな顔をする。
「とりあえず、許可を取りたいんだけど、いいかしら」
『はい、では、ロランド様にお伝えさせていただきます』
メザパが少し小走りで主人の元へと向かった。
残された一行がアストロを見る。
「いいのか? 早くエンドローゼの元に行かなくて」
「大丈夫よ。むしろゆっくり行きましょ。エンドローゼのために」
どのあたりが大丈夫で、どうしてエンドローゼのためになるのかが分からず、レイドの眉に深く皺が刻まれる。
「あの娘は今、感動の再開中なんだって。少しでも長い時間、楽しませてあげたいじゃない」
「それはそうだな」
「じゃあ、のんびり待つか」
アストロの論理を聞き、レイドは納得して、コストイラは地面に座った。
『おい、何だお前等。屋敷の前で何をしている』
メザパを待っていると、屋敷から男が出てきた。男はアシドと同じくらいの身長があり、顔も体も左半分が硬そうな鱗で覆われている。
『その荒くれ者のような顔。その中に滲み出る家族思いのオーラ。貴公、レイドだな?』
「そのよく分からない迂遠な物言い。貴方はゴール家次期当主、ジル様ですね」
『フム。余所余所しい。いつかの年前はともに身体を鍛えていたというのに。我々の関係性が初対面の頃へと戻っているのか?』
「私は伍長、貴方は曹長ですよ」
異様な雰囲気を放ち続けるジルが目を剥いて、レイドを真正面から見つめる。
「その鱗は」
『頑強であり、耐久のある、竜の鱗である。私はすでに半分ほど魔物となってしまっている。ところで、貴公はなぜここに?』
ジルが自身の鱗に触れながら、レイドの顔を覗き込む。
『確か貴公は正義へと従事し、己が役割をこなし、国民問わず助く、勇者の一人となっていたな。息災か?』
「会話の順序がおかしな気がしますが、私共は仲間の一人が連れてゆかれてしまった次第でして。現在は入館の許可をロランド様に申請しております」
『なれば入るとよい。私が許可を出そう。ところで、私に会いに来たのではないのだな』
なぜかシュンとされてしまい、レイドは焦るばかりだ。
『まぁ、よい。仲間の名を聞いても?』
レイドが皆のことを見る。話すか否かの確認だろう。アストロが顎をしゃくり、許可を出す。どうせ後で知られてしまうのだろうから、問題はあまりない。
「名はエンドローゼだ」
『何!? エンドローゼだと!?』
ジルの顔が豹変した。アストロがやってしまった風の顔をしている。もしかして、話さない方がよかったのか?
アストロが叫ぶほどに驚愕した。声は出ないものの、レイドやコストイラも驚いた。先程のものを超えるオーバーリアクションをした。
「ちょっと、追いかけるわよ!」
「お、おう!」
「ったりめぇだ!」
『お、お待ちください!!』
――チョット待てい!
「ふわッ!?」
追いかけようとした一行をメザパは止めようと両腕を大きく広げた。それに加え、アストロの脳に直接フォンの声が響いた。
アストロのみに訪れた現象のため、コストイラ達が不思議そうな顔をした。
「な、何で私だけ」
――だって、全体に発信すると、聞こえづらくなっちゃうんだもん。グレイソレアちゃんに頼んで繋いでもらいました。話が通じそうなアストロちゃんを指名したってのはある。
「ふ、フォンから連絡が来たんだけど」
「え?」
「ちょっと待って、まだ、話が続いている」
アストロが周りを制止させ、フォンの言葉に集中して聞く。
――ここは貴族の屋敷。勝手に入ると、普通に侵入の罪で裁かれるよ。まぁ、ロランドはチョー優しいから処刑はされないだろうけど。
「エンドローゼは大丈夫なの?」
――……まぁ、ある意味で大変な目に合っているかな? キスされたり、着せ替え人形にされたり、キスされたり、高価なものを押し付けられたり、キスされたり、キスされたり、キスされたりしているけど、無事だよ。
「キ、キス? それは無事なの?」
状況が分からず、アストロが困惑してしまう。それは本当に大丈夫なのだろうか。
――とりあえず、今は感動の再開中だからさ。ちょっとゆっくり迎えに行ってあげてほしいな。まずは入館の許可取りからだね。
「ねぇ、レイド」
「ん?」
こめかみ辺りに片手を当てながら、アストロはレイドを見る。レイドはアストロを見返した。
「これ、入るのに、やっぱり許可が必要よね」
「ん、まぁ、それはそうだろうな」
アストロがメザパのことを見る。メザパは不思議そうな顔をする。
「とりあえず、許可を取りたいんだけど、いいかしら」
『はい、では、ロランド様にお伝えさせていただきます』
メザパが少し小走りで主人の元へと向かった。
残された一行がアストロを見る。
「いいのか? 早くエンドローゼの元に行かなくて」
「大丈夫よ。むしろゆっくり行きましょ。エンドローゼのために」
どのあたりが大丈夫で、どうしてエンドローゼのためになるのかが分からず、レイドの眉に深く皺が刻まれる。
「あの娘は今、感動の再開中なんだって。少しでも長い時間、楽しませてあげたいじゃない」
「それはそうだな」
「じゃあ、のんびり待つか」
アストロの論理を聞き、レイドは納得して、コストイラは地面に座った。
『おい、何だお前等。屋敷の前で何をしている』
メザパを待っていると、屋敷から男が出てきた。男はアシドと同じくらいの身長があり、顔も体も左半分が硬そうな鱗で覆われている。
『その荒くれ者のような顔。その中に滲み出る家族思いのオーラ。貴公、レイドだな?』
「そのよく分からない迂遠な物言い。貴方はゴール家次期当主、ジル様ですね」
『フム。余所余所しい。いつかの年前はともに身体を鍛えていたというのに。我々の関係性が初対面の頃へと戻っているのか?』
「私は伍長、貴方は曹長ですよ」
異様な雰囲気を放ち続けるジルが目を剥いて、レイドを真正面から見つめる。
「その鱗は」
『頑強であり、耐久のある、竜の鱗である。私はすでに半分ほど魔物となってしまっている。ところで、貴公はなぜここに?』
ジルが自身の鱗に触れながら、レイドの顔を覗き込む。
『確か貴公は正義へと従事し、己が役割をこなし、国民問わず助く、勇者の一人となっていたな。息災か?』
「会話の順序がおかしな気がしますが、私共は仲間の一人が連れてゆかれてしまった次第でして。現在は入館の許可をロランド様に申請しております」
『なれば入るとよい。私が許可を出そう。ところで、私に会いに来たのではないのだな』
なぜかシュンとされてしまい、レイドは焦るばかりだ。
『まぁ、よい。仲間の名を聞いても?』
レイドが皆のことを見る。話すか否かの確認だろう。アストロが顎をしゃくり、許可を出す。どうせ後で知られてしまうのだろうから、問題はあまりない。
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