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32.次元の狭間
21.悪戯の主
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コストイラが尻を天に突き上げた体勢で倒れている。こめかみから煙が出ているような光景が錯覚できる。
「ウメボシとか久し振りすぎる」
『あぁ、ようやくできたわ。私も魔物化したから、パワーがかなり上がったけど、コストイラにはちょうどよかったようね』
シスターは満足したようで、拳に息を吹きかけながらコストイラを見下ろしている。コストイラは少女二人に馬乗りにされ、玩具になっていた。
「ほぉ、アンタがスカート捲りをこんな小さな子に教えたのね」
アストロは尻をゲシゲシと踏みながら、詰っている。
別に教えたわけではないが、きっとやっているのを見て育ったのだろう。結局、その元凶はコストイラのため、悪いのはコストイラか。
「というか、そんなに悪戯をしていたのか」
『まぁ、悪ガキでしたね。毎日のように悪戯を繰り返して。スカート捲りのみならず、草結びや塩と白砂を入れ替えたり、まぁ、悪戯っ子でしたね』
シスターの無情な視線を浴びながら、コストイラは顔を伏せた。
「で? 片割れは?」
『セルンですか? 相変わらず、引き籠っていますよ』
「そうか」
シスターが片目を瞑り、コストイラを観察する。
『あの子、仮面を見ながら、熊のぬいぐるみを抱いているわよ。……また、あの時みたいに連れ出してくれないかしら』
「切羽詰まっているな。シスタールチア」
『えぇ、かなり詰まっているわ。あの子、コストイラの言うことなら、きっと聞いてくれるわ』
「そんなもんか」
『えぇ』
それって……とアストロが何かを察した。本来鈍い側に属するアレンも気付いた。
「おい、下りろ! エリス! リトール!」
『はーい』
『ちぇ。ま、でもセルンとも一緒に遊びたいし』
『『絶対連れてこいよ!』』
少女二人がコストイラから下りて、尻を叩いた。
「おう、当たり前だ」
カッコイイことを言っているのだが、格好が格好なだけに、あまり入ってこない。
コストイラが立ち上がり、伸びをする。パキパキと腕や背から骨が鳴った。そのまま横に倒すと、肩からも鳴った。自分の髪をわしゃわしゃとすると、草がパラパラと落ちる。
「セルンってどんな子なの?」
「気弱、引き籠り、自分から動くタイプじゃないが、かなり頑固」
「何か、面倒そうなタイプね」
「まぁ、な。でも、エンドローゼっぽくね?」
――あ!?
何か頭に声が響いた。
――駄目ですよ。怒りっぽい人は嫌われますよ。
――むぐ。
――いいんですか? エンドローゼちゃんに嫌われても。
――むぐぐ。
どこか天罰が落ちてきそうな雰囲気がしていたが、何か宥められたらしく、天罰を回避した。どうやら運が味方してくれたらしい。コストイラはシラスタ教だが、感謝の祈りを捧げたいと思える。
「入っていいか?」
『ここで断るとお思いで?』
「シスタールチアなら」
『クスッ。さ、どうぞお入りください』
少し沈黙が流れる。何か警戒しているのだろうか。
シキがそわそわしながら、アストロの袖を引っ張った。コストイラに知らせた方がいいのかどうかを委ねているのだろう。
コストイラは首を振った。知らせなくていいという意味だろう。
「はぁ、しゃあねェ。今までのツケだ。食らってやるよ」
コストイラが扉を開けると、何かが起動したような装置音がした。シスタールチアが半身を傾けた。何が起きるのか知っているのだろう。
バシャッと泥水が発射された。正直、コストイラの実力があれば簡単に躱すことができたであろう。しかし、これはツケだ。きちんと喰らってやろう。
そして、コストイラは泥を被った。
『お帰り、コストイラ』
「ウメボシとか久し振りすぎる」
『あぁ、ようやくできたわ。私も魔物化したから、パワーがかなり上がったけど、コストイラにはちょうどよかったようね』
シスターは満足したようで、拳に息を吹きかけながらコストイラを見下ろしている。コストイラは少女二人に馬乗りにされ、玩具になっていた。
「ほぉ、アンタがスカート捲りをこんな小さな子に教えたのね」
アストロは尻をゲシゲシと踏みながら、詰っている。
別に教えたわけではないが、きっとやっているのを見て育ったのだろう。結局、その元凶はコストイラのため、悪いのはコストイラか。
「というか、そんなに悪戯をしていたのか」
『まぁ、悪ガキでしたね。毎日のように悪戯を繰り返して。スカート捲りのみならず、草結びや塩と白砂を入れ替えたり、まぁ、悪戯っ子でしたね』
シスターの無情な視線を浴びながら、コストイラは顔を伏せた。
「で? 片割れは?」
『セルンですか? 相変わらず、引き籠っていますよ』
「そうか」
シスターが片目を瞑り、コストイラを観察する。
『あの子、仮面を見ながら、熊のぬいぐるみを抱いているわよ。……また、あの時みたいに連れ出してくれないかしら』
「切羽詰まっているな。シスタールチア」
『えぇ、かなり詰まっているわ。あの子、コストイラの言うことなら、きっと聞いてくれるわ』
「そんなもんか」
『えぇ』
それって……とアストロが何かを察した。本来鈍い側に属するアレンも気付いた。
「おい、下りろ! エリス! リトール!」
『はーい』
『ちぇ。ま、でもセルンとも一緒に遊びたいし』
『『絶対連れてこいよ!』』
少女二人がコストイラから下りて、尻を叩いた。
「おう、当たり前だ」
カッコイイことを言っているのだが、格好が格好なだけに、あまり入ってこない。
コストイラが立ち上がり、伸びをする。パキパキと腕や背から骨が鳴った。そのまま横に倒すと、肩からも鳴った。自分の髪をわしゃわしゃとすると、草がパラパラと落ちる。
「セルンってどんな子なの?」
「気弱、引き籠り、自分から動くタイプじゃないが、かなり頑固」
「何か、面倒そうなタイプね」
「まぁ、な。でも、エンドローゼっぽくね?」
――あ!?
何か頭に声が響いた。
――駄目ですよ。怒りっぽい人は嫌われますよ。
――むぐ。
――いいんですか? エンドローゼちゃんに嫌われても。
――むぐぐ。
どこか天罰が落ちてきそうな雰囲気がしていたが、何か宥められたらしく、天罰を回避した。どうやら運が味方してくれたらしい。コストイラはシラスタ教だが、感謝の祈りを捧げたいと思える。
「入っていいか?」
『ここで断るとお思いで?』
「シスタールチアなら」
『クスッ。さ、どうぞお入りください』
少し沈黙が流れる。何か警戒しているのだろうか。
シキがそわそわしながら、アストロの袖を引っ張った。コストイラに知らせた方がいいのかどうかを委ねているのだろう。
コストイラは首を振った。知らせなくていいという意味だろう。
「はぁ、しゃあねェ。今までのツケだ。食らってやるよ」
コストイラが扉を開けると、何かが起動したような装置音がした。シスタールチアが半身を傾けた。何が起きるのか知っているのだろう。
バシャッと泥水が発射された。正直、コストイラの実力があれば簡単に躱すことができたであろう。しかし、これはツケだ。きちんと喰らってやろう。
そして、コストイラは泥を被った。
『お帰り、コストイラ』
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