メグルユメ

パラサイト豚ねぎそば

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32.次元の狭間

26.探求する者

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 少し小高い丘で剣を掲げる騎士は、元サンク国国衛騎士団団長のアズアズルックだ。
 その手にある武器や防具が黄金であることから、金騎士、もしくは狷介孤高と呼ばれている。
 国衛の騎士を任されるだけのことはあり、そのレベルは高く、他の追随を許さなかった。最優の騎士アスタットと強さ議論をよくされていたが、残念なことに生きていた時代がかなり違うため、完全な決着はされなかった。

 だが、アズアズルック本人は分かっていた。自分のレベルがアスタットと比肩するはずがないことを。

 だからこそ、死してなお研鑽を積んだ。

 そんな彼だからこそ分かったのだ、ここに強者がいる、と。




 下から見上げる形で騎士を見る侍は、勇者一行の一人、無謀を冒す特攻隊長コストイラだ。
 その髪の赤色や戦い方から、赤い侍、もしくは赤き悪魔、壊人と呼ばれている。
 特攻隊長を自ら行うだけのことはあり、そのレベルは高く、おおよその相手と一対一で屠ることができる。巷では最優の騎士アスタットとどちらが強いのか、と強さ議論がなされている。しかし、残念なことに両者は生きていた時代が違うため、完全なる決着はされなかった。

 だが、コストイラ本人は分かっている。アスタットはもっと強い。自分はまだその領域にいない。

 だからこそ、常に死と隣り合わせの戦場を駆け回った。

 そんな彼だからこそ分かったのだ、ここにいる者は強者である、と。




 正義を司る者として、アズアズルックは失格だ。自らの強さのために、喧嘩を売り続けた。
 黄金の尾を引きながら、アズアズルックはコストイラに斬りかかった。黄金の剣と刀がぶつかり、火花が大量に散る。
 そこから、剣が高速で振られ、黄金の線が出来上がる。それに対し、刀が同速かそれ以上の速度で振るわれ、銀の線が浮かび上がり、二つが交わることで、さらに大量の火花が散らされる。

 アシドが円周を走り、隙を狙おうとするが、地面から雷が生えた。

「うおっ!?」
「な!?」

 世界から二人が隔離された。剣士二人だけの世界となった。

 コストイラは何も心配していない。ここで売られた決闘を買い、敵を倒せばすべて終わる。

 黄金の剣と刀が交わる。

「ぐっ!?」

 刃と刃が重なった瞬間、鋼を通して電撃が体を走った。コストイラの体が痺れる。

 この一瞬は、命取りの一瞬だ。

 アズアズルックは素早く剣を剥がし、うまく持ち替えて上半身と下半身を切り分けようとする。

 コストイラは今度、上唇を噛み千切る。
 刃と刃を打ち重ねた瞬間、刀から炎が生まれた。

「悪ぃな。オレにも引けねェ部分があるんだ」

 壊人がサメのような笑みを浮かべる。そして、狷介孤高の剣を弾いたかと思うと、肘の部分に切っ先を入れ、半ばから切り飛ばした。

『見事』
「ありがと」
『だが』

 アズアズルックはそこで止まらない。利き腕をなくした程度では止まっては、最強になど成れない。あの竜鱗の刃のように。
 コストイラはすでに振り切った後だ。ここで刀を打ち合わせることはできない。

 咄嗟に半身を引いた。それは本能的な行動であり、そこに知性も理性もない。

 しかし、それだけで、コストイラは狷介孤高の剣を躱した。駿足長阪はここで隙を逃すような男ではない。
 振られる刃は正確に首元へと吸い込まれていき、そして。
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