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2.癒院
4.ちょっと一息入れましょう
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久しぶりの宿だ。ここのところ野宿が続いていたので、これだけでも嬉しい。
「アレン。鏡を見てこい。荷物は私が運んでおこう」
「レイドさん。ありがとうございます。行ってきますね」
アレンは部屋の隅に存在している鏡を覗き込む。
「は?何だこれ」
アレンは自分の眼が信じられず、顔を触る。見えている光景は本物のようだ。
アレンの顔は、アシドの言う通り、泥がついていた。蝶のような模様で。一日たっているので、へばりついていた。
「ふっ」
自分でも笑ってしまった。よくこんな風に泥がついたな。
「洗ってきますね」
「あぁ。贅沢に温泉にも浸かってこい」
女子3人組は治癒院内に存在している温泉に来ていた。
美を意識するアストロと思春期であるエンドローゼだけでなく、シキも来ているというのは、やはりシキも女の子だということだろう。
脱衣室で、アストロは恥じらいもなく服を脱ぎ捨てる。エンドローゼは正反対に遅々と肌を晒さぬように脱いでいく。二人の脱ぐ様は肉体の自信の差が出ていた。女性的な肉体に執着しないシキは裸を見られようと何も感じないので、手早く脱いでいく。
「こんな時も遅いのね」
「ご、ごめんなさい」
浴槽の前にしゃがみ、桶に湯を入れ体に掛けていく。アストロは熱湯を浴びて肌を桜色に染める中、誰にも聞こえぬ声量でほぅと吐息を漏らす。いくつもの水滴が艶やかな素肌を滑り、その項や腰の括れ、太腿に伝っていく。
「う、う~ん」
「……唸ってどうしたのよ」
アストロの質問には答えず、自分の胸を見下ろし、今度はアストロの胸を見る。
「ず、ず、ズルいです!」
「……は?」
「わ、わ、わわ、私もそれぐらいほ、欲しいです!し、し、シキさんもそう思いますよね!?」
エンドローゼはその胸囲の格差に一層唸り声を漏らす。
「いや、好きで大きくなったんじゃないんだけど」
「す、す、好きに大きくできない人もいるんです!!」
アストロが自身の乳房を両手で掴み、ムニムニと形を変えさせる。両手で掴んでも零れ出ている大きさに、エンドローゼが絶句する。エンドローゼには効果抜群だ。
一方、巻き込まれる形となったシキはというと。
「大きくては駄目。動きづらくなってしまう」
前衛としても戦うシキと後衛で戦うアストロとエンドローゼでは価値観が違うので、言うことが違った。
エンドローゼは絶望の顔をしている。ここにエンドローゼの味方がいなかった。
「どうしたんだ?こんなところで深酒なんて珍しいな、コストイラ」
治癒院は多くの冒険者が集まる街だ。治癒院はヂドルに次ぐ冒険者の多い街。その分多くの施設がある。温泉が名物であるが、他にもバーがある。
アシドはそのバーのような酒場で酒を飲んでいたコストイラの隣に座る。
「最近、ゴミの捨てるためのルールが変わるらしいぜ」「街道沿いに壺を祀る祠を立ててるらしいぜ」「明日雨だってよ。仕事サボるわ」
酒場は情報収集を行うのに最適な場所だ。酒に酔って、つい口が滑る場所なのだ。
2人の間に沈黙が流れる。カランと氷同士が当たる音の後に、ようやくコストイラが口を開く。
「ヲルクィトゥってさ。どう思うよ?」
「どうって言われてもな?」
アシドは顎に手を当てる。
「ヲル…ってさっきの冒険者だよな。結構な手練れなんじゃねェか?立ち姿がそんな印象を与えてたな。ありゃあ、相当だな」
アシドは言い終えると同時に届いた酒を口に含む。
「誰にも言ったことねェんだけどな」
「んおっ!?何だ?」
「オレさ、小さい時から剣の腕を磨いてさ。剣の頂を目指してたんだ」
コストイラは酔っているのか、今まで幼馴染にも言ったことがなかったことをぽつりぽつりと話し始める。
「この世界にはな、その域に達した人達を”天剣へ至りし者”とか”天之五閃”とかって呼ぶんだ。今まで5人しかいないから五閃な。オレはさその6人目になりたい。あわよくば誰かを倒して五閃に数えられたい」
強いやつに執着するのはそういうことか。
アシドは納得しようとして、新たな疑問が生まれた。
「ヲルクィトゥと何の関係があんだよ」
「アイツさ、本人か一番近い存在だと思ってんだよ。オレはあの立ち姿で実力差を見せつけられた。どう動いても初動で止められるイメージしか湧かない。アイツは相当だよ」
コストイラがこんなことを言うなんて珍しい。
アシドはコストイラの背を軽く叩くと、席を立つ。
「二日酔いすんなよ」
「弁えてるよ」
アシドは静かに酒場を出て行く。勘定を全て押し付けて。
「アレン。鏡を見てこい。荷物は私が運んでおこう」
「レイドさん。ありがとうございます。行ってきますね」
アレンは部屋の隅に存在している鏡を覗き込む。
「は?何だこれ」
アレンは自分の眼が信じられず、顔を触る。見えている光景は本物のようだ。
アレンの顔は、アシドの言う通り、泥がついていた。蝶のような模様で。一日たっているので、へばりついていた。
「ふっ」
自分でも笑ってしまった。よくこんな風に泥がついたな。
「洗ってきますね」
「あぁ。贅沢に温泉にも浸かってこい」
女子3人組は治癒院内に存在している温泉に来ていた。
美を意識するアストロと思春期であるエンドローゼだけでなく、シキも来ているというのは、やはりシキも女の子だということだろう。
脱衣室で、アストロは恥じらいもなく服を脱ぎ捨てる。エンドローゼは正反対に遅々と肌を晒さぬように脱いでいく。二人の脱ぐ様は肉体の自信の差が出ていた。女性的な肉体に執着しないシキは裸を見られようと何も感じないので、手早く脱いでいく。
「こんな時も遅いのね」
「ご、ごめんなさい」
浴槽の前にしゃがみ、桶に湯を入れ体に掛けていく。アストロは熱湯を浴びて肌を桜色に染める中、誰にも聞こえぬ声量でほぅと吐息を漏らす。いくつもの水滴が艶やかな素肌を滑り、その項や腰の括れ、太腿に伝っていく。
「う、う~ん」
「……唸ってどうしたのよ」
アストロの質問には答えず、自分の胸を見下ろし、今度はアストロの胸を見る。
「ず、ず、ズルいです!」
「……は?」
「わ、わ、わわ、私もそれぐらいほ、欲しいです!し、し、シキさんもそう思いますよね!?」
エンドローゼはその胸囲の格差に一層唸り声を漏らす。
「いや、好きで大きくなったんじゃないんだけど」
「す、す、好きに大きくできない人もいるんです!!」
アストロが自身の乳房を両手で掴み、ムニムニと形を変えさせる。両手で掴んでも零れ出ている大きさに、エンドローゼが絶句する。エンドローゼには効果抜群だ。
一方、巻き込まれる形となったシキはというと。
「大きくては駄目。動きづらくなってしまう」
前衛としても戦うシキと後衛で戦うアストロとエンドローゼでは価値観が違うので、言うことが違った。
エンドローゼは絶望の顔をしている。ここにエンドローゼの味方がいなかった。
「どうしたんだ?こんなところで深酒なんて珍しいな、コストイラ」
治癒院は多くの冒険者が集まる街だ。治癒院はヂドルに次ぐ冒険者の多い街。その分多くの施設がある。温泉が名物であるが、他にもバーがある。
アシドはそのバーのような酒場で酒を飲んでいたコストイラの隣に座る。
「最近、ゴミの捨てるためのルールが変わるらしいぜ」「街道沿いに壺を祀る祠を立ててるらしいぜ」「明日雨だってよ。仕事サボるわ」
酒場は情報収集を行うのに最適な場所だ。酒に酔って、つい口が滑る場所なのだ。
2人の間に沈黙が流れる。カランと氷同士が当たる音の後に、ようやくコストイラが口を開く。
「ヲルクィトゥってさ。どう思うよ?」
「どうって言われてもな?」
アシドは顎に手を当てる。
「ヲル…ってさっきの冒険者だよな。結構な手練れなんじゃねェか?立ち姿がそんな印象を与えてたな。ありゃあ、相当だな」
アシドは言い終えると同時に届いた酒を口に含む。
「誰にも言ったことねェんだけどな」
「んおっ!?何だ?」
「オレさ、小さい時から剣の腕を磨いてさ。剣の頂を目指してたんだ」
コストイラは酔っているのか、今まで幼馴染にも言ったことがなかったことをぽつりぽつりと話し始める。
「この世界にはな、その域に達した人達を”天剣へ至りし者”とか”天之五閃”とかって呼ぶんだ。今まで5人しかいないから五閃な。オレはさその6人目になりたい。あわよくば誰かを倒して五閃に数えられたい」
強いやつに執着するのはそういうことか。
アシドは納得しようとして、新たな疑問が生まれた。
「ヲルクィトゥと何の関係があんだよ」
「アイツさ、本人か一番近い存在だと思ってんだよ。オレはあの立ち姿で実力差を見せつけられた。どう動いても初動で止められるイメージしか湧かない。アイツは相当だよ」
コストイラがこんなことを言うなんて珍しい。
アシドはコストイラの背を軽く叩くと、席を立つ。
「二日酔いすんなよ」
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