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2.癒院
11.神前の祠
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「祠前だってのにな。大丈夫かよこれ」
コストイラはエンドローゼから回復魔法を受けながらそんなことを言い始めた。
確かにこのままでは戦力としては心許無い。討伐ができるかどうか分からない。
しかし、アシドは軽そうな態度で頭を掻く。
「大丈夫だろ。倒さなくていいんだし」
アシドは今回の依頼が調査だけで良いことを思い出し、返答する。
「お、終わりました」
「よし、行こうぜ」
コストイラは自身の膝を叩きながら立ち上がる。
コストイラは己の無力さを痛感しながら前を向く。
今までと同じように。
森の中はさらに不気味そのものだった。吊るされた死体で道が誘導されている。凄惨な光景にエンドローゼは口元を押さえ、背を丸めてしまう。アレンもエンドローゼと同じように背を丸めたい衝動に駆られるが、我慢する。アレンはエンドローゼと違い、守ってくれる楯がいない。悲しい。
「気味が悪いわね」
「ウェ」
アストロは眉根を寄せ感想を述べ、エンドローゼはついに吐き始めてしまう。レイドが背をさすっている。アレンも吐いているが誰も介抱してくれない。涙が出てきちゃう。だってボッチ何だもん。
『何をしている。キサマラ』
杖にローブ。
いつぞやに見たあの魔物と同じ様相。ゴブリンウィザードだ。鉤のように曲がった先端をアレン達に向け拳大の魔術を発射する。危険性のあるものは何かをする前に排除する。そんな心理だったのだろう。アシドとコストイラは軽々と躱し、肉薄していく。
ゴブリンウィザードは杖で槍を往なし、その回転の力を活かし、刀を躱しコストイラの顔を殴る。
『ホリャッ!』
ゴブリンウィザードの杖から紫色の霧が出る。ガーゴイルの時と同じだ。ゴブリンウィザードは周りに魔術を展開する。すべてが魔方陣に変わり、拳大の魔力の塊が出現する。
『死ね!!』
順番など関係ない。本物の乱射。シキはするりするりと間を抜けて行き、ゴブリンウィザードの前まで駆ける。
シキは何の躊躇もなく目を狙う。アレンであれば相手が喋っているので躊躇してしまうかもしれない。ゴブリンウィザードは驚いた顔をするが、すぐに笑みを浮かべる。
まずい。罠か?
そう思ったが、急にシキを止める手段がない。ナイフがピッチフォークによって止められる。足のない、角の生えた真っ黒な悪魔がそこにいた。思わずシキは飛び退く。その隙をミニデーモンは逃がさない。一気に距離を詰める。シキは表情を変えずに首を傾ける。先程までシキの頭があった場所を拳大の魔力塊が通り過ぎる。
シキはナイフを閃かせ、ミニデーモンの首を斬る。ミニデーモンの切り傷からオレンジと黒を混ぜたような煙が噴き出す。その後ミニデーモンは動かなくなる。
その光景を目撃し、ゴブリンウィザードは一目散に逃げだす。
「なっ!逃げたっ!?」
「追うぞ!」
様々な獣や魔物で彩られ、装飾された道を必死に走る。あの恐怖の人間達から逃げるために必死で。十分に時間を稼いだ。山道に慣れているこちらが有利だ。
『お助けクダサイ。オオ壺サマッ!』
ゴブリンウィザードは眼前の祠に祀られている壺に祈りを捧げ、願いを叫ぶ。
壺は、その願いを―――――――。
コストイラはエンドローゼから回復魔法を受けながらそんなことを言い始めた。
確かにこのままでは戦力としては心許無い。討伐ができるかどうか分からない。
しかし、アシドは軽そうな態度で頭を掻く。
「大丈夫だろ。倒さなくていいんだし」
アシドは今回の依頼が調査だけで良いことを思い出し、返答する。
「お、終わりました」
「よし、行こうぜ」
コストイラは自身の膝を叩きながら立ち上がる。
コストイラは己の無力さを痛感しながら前を向く。
今までと同じように。
森の中はさらに不気味そのものだった。吊るされた死体で道が誘導されている。凄惨な光景にエンドローゼは口元を押さえ、背を丸めてしまう。アレンもエンドローゼと同じように背を丸めたい衝動に駆られるが、我慢する。アレンはエンドローゼと違い、守ってくれる楯がいない。悲しい。
「気味が悪いわね」
「ウェ」
アストロは眉根を寄せ感想を述べ、エンドローゼはついに吐き始めてしまう。レイドが背をさすっている。アレンも吐いているが誰も介抱してくれない。涙が出てきちゃう。だってボッチ何だもん。
『何をしている。キサマラ』
杖にローブ。
いつぞやに見たあの魔物と同じ様相。ゴブリンウィザードだ。鉤のように曲がった先端をアレン達に向け拳大の魔術を発射する。危険性のあるものは何かをする前に排除する。そんな心理だったのだろう。アシドとコストイラは軽々と躱し、肉薄していく。
ゴブリンウィザードは杖で槍を往なし、その回転の力を活かし、刀を躱しコストイラの顔を殴る。
『ホリャッ!』
ゴブリンウィザードの杖から紫色の霧が出る。ガーゴイルの時と同じだ。ゴブリンウィザードは周りに魔術を展開する。すべてが魔方陣に変わり、拳大の魔力の塊が出現する。
『死ね!!』
順番など関係ない。本物の乱射。シキはするりするりと間を抜けて行き、ゴブリンウィザードの前まで駆ける。
シキは何の躊躇もなく目を狙う。アレンであれば相手が喋っているので躊躇してしまうかもしれない。ゴブリンウィザードは驚いた顔をするが、すぐに笑みを浮かべる。
まずい。罠か?
そう思ったが、急にシキを止める手段がない。ナイフがピッチフォークによって止められる。足のない、角の生えた真っ黒な悪魔がそこにいた。思わずシキは飛び退く。その隙をミニデーモンは逃がさない。一気に距離を詰める。シキは表情を変えずに首を傾ける。先程までシキの頭があった場所を拳大の魔力塊が通り過ぎる。
シキはナイフを閃かせ、ミニデーモンの首を斬る。ミニデーモンの切り傷からオレンジと黒を混ぜたような煙が噴き出す。その後ミニデーモンは動かなくなる。
その光景を目撃し、ゴブリンウィザードは一目散に逃げだす。
「なっ!逃げたっ!?」
「追うぞ!」
様々な獣や魔物で彩られ、装飾された道を必死に走る。あの恐怖の人間達から逃げるために必死で。十分に時間を稼いだ。山道に慣れているこちらが有利だ。
『お助けクダサイ。オオ壺サマッ!』
ゴブリンウィザードは眼前の祠に祀られている壺に祈りを捧げ、願いを叫ぶ。
壺は、その願いを―――――――。
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