メグルユメ

パラサイト豚ねぎそば

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3.魔法の森

6.暗い洞窟に張られた網

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 レイドが地に伏せる。顔を強打したのか鼻血を出していた。その背中には白い糸が張り付いていた。それは強靭な張力を誇る糸であり、アレンがナイフで切ろうとしても全く切れない。アレンが非力であることも作用しているだろう。



「お前、非力すぎじゃね?」



 コストイラはアレンに呆れながら、糸を軽々とまではいかないが切ってみせる。アレンは己の無力さに肩を落とした。



『シャアア』



 奥の暗闇から魔物が出てくる。シールドリザードの咆哮でも聞いてきたのだろうか。なんだか少し機嫌が悪そうだ。その姿は蜘蛛の形をしている。レイドと同じサイズの蜘蛛だ。完全に化け物であり、近付かれたら発狂するかもしれない。アレンは度胸も勇気もない。



 その蜘蛛は威嚇しながら近付いてくる。



「ひっ」



 小さく悲鳴が出てしまった。エンドローゼですら悲鳴を上げていない。アレンは地味にショックを受けてしまった。



 蜘蛛はこちらに尻の穴を向けると、糸を網のようにして飛ばす。網はアレンの右腕を巻き込んで壁に張り付く。アレンは必死に抵抗するが剥がれる気配がない。アストロとエンドローゼはアレンよりも非力だ。頼っても剥がれないだろう。レイドとコストイラは蜘蛛に向かって行ってしまった。アシドはどうするかこちらをちらちらと見ている。見ているなら助けてください。お願いします。シキはこちらに関心を示さない。自力で脱出しろというのか?力を入れてみるが網は剥がれない。



「後で助けてやるよ」



 コストイラはそう言うと蜘蛛の方に駆け寄っていく。あとで?腕持つかな?



 蜘蛛はカシャカシャと足を動かし、洞窟の天井に移動する。そして、前脚に糸を括り付け、糸の先に石を糸で包み込んだものを取り付け、簡易的なモーニングスターを作り、構える。蜘蛛はくるくると石を回すと、投げつけてくる。



 アシドは石を躱し、その奥に繋がっている糸を斬ろうとする。しかし、糸がゴムのように伸び、切れない。そのまま糸は槍をくるみ、絡めとる。蜘蛛が石を戻そうと引っ張ると、アシドは咄嗟に手を離し、抵抗しない。つんのめって持っていかれないようにするためだろう。



「なーに盗られてんだよ」



「悪ィ」



 蜘蛛の糸が絶ちにくく、切ることを断念した。何か弱点を見つけられれば一気に逆転ができる。



「やっぱこういう時は燃やすだろ」



 コストイラはその候補の一つ、火を糸に移した。未だ泥にまみれていたコストイラの体から、泥がバリバリと剥がれていく。コストイラが纏った炎が泥を固めてしまった。これで泥まみれなのはアレンだけになった。



 蜘蛛が再び石を放つ。コストイラは真正面から石を斬り分かち、その奥の糸を燃やす。蜘蛛の糸が燃えている。炎は糸を伝い蜘蛛の尻が少し燃える。



「ウオッシャアッ!」



 コストイラは炎を纏わせた刀を振り上げ、蜘蛛を狙う。蜘蛛の左前脚を自分で犠牲にした。わざと斬らせ、逃げる時間を生み出した。蜘蛛は早々に退散する。判断が速い。



「深追いはリスクがでかいな」



「あぁ、寝床を借りよう」



 コストイラは炎を纏った状態でアレンに近付く。結局、救出されたのは良かったが、右手が火傷した。コストイラはもう少し器用だと思っていた。火傷はエンドローゼが治してくれたが、痕は残っていた。
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