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4.ナカウへの道
11.異能の神眼
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海賊はいつも真正面から戦ってきたわけではない。海賊たちにとっては敵はいつでも格上だった。格上に正々堂々に挑むなど勝てるわけがない。海賊たちはいつでも策を弄した。そもそもが漁師だった者たちだ。戦闘の訓練などまともにやったことがない。そんな中でも一流の訓練を受けた騎士を相手どらなければならないこともある。小細工を使うのは必然だった。
ゆえに海賊たちは敵は常に格上であることを想定して動いていた。海でも陸でも同じである。
常に策は弄してきた。
無論、今回も。
「煙玉とあと香も用意しておけ」
「煙玉は分かりますが、香もですか?」
ボスの命令に女が聞き返す。聞き返されたことにムッとしながらもボスは丁寧に説明してくれる。
「あぁ、眼もそうだが、鼻を潰すためだ。耳に関しては数人で木や石を叩いたり足踏みしたりで惑わせる」
「御意に」
ボスの計画に賛同した女は塒の外に出て行き、部下を走らせる。
念には念を。
今回は特に大物の匂いがする。
集中しろ。
もちろん戦いにもそうだが、特に盤面に対してだ。現状を把握し、的確な指示を飛ばさなければならない。それがアレンの役目だ。弓で活躍できない分、ここで挽回しなければならない。しかし、それも叶わない。そんな現状に臍を噛む。
音は聞こえる。幽かにだが、歩く音が聞こえる。したがって、位置の把握ができる可能性は残されている。
「ん?」
今、一瞬だが戦場が俯瞰で見えた気がした。
「なんだ、今のは?もう一度見たい。どうすればいいんだ?」
もう一度似たような集中力を発揮する。見えた。戦場が見える。敵が見える。味方の位置も見える。
青と赤の点が敵味方を表している。丸の中に少し尖った部分がある。どっちを向いているかを表しているのだろう。だとしたら。
「レイドさん。後ろから」
「おう」
声に反応したレイドが大剣を振るい、敵を上下に分かつ。アシド、シキ、コストイラは指示がなくても反応できている。必要ないのだろう。アストロは命令されるのを嫌う。出すべきかどうか迷う。
アストロに海賊が迫り、指示を出そうとすると、アシドが動いた。アストロの後ろから現れた男をアシドは刺し殺す。
「何なんだ、こいつら」
ボスが呟く。すでに死した仲間を考えれば戦いに勝ったとしても勝負で負けてしまう。退却を命じようと息を吸いながら手を挙げると、指先から感覚がなくなった。
「あ?」
ボスは挙げた手を見ると、、いや、見れなかった。そこに、手は見えなかった。意識した途端に激痛が走る。
「ぐぁああああああああ!!!!?」
腕から血が噴き出て、止まらない。目がチカチカしてくる。なぜ?
「よォ」
首筋に冷たいものが触れる。分からない、まだ何も。だが、はっきりと一つだけわかっていることがある。この首筋に当てられているもので手を斬られた。
「把握できねェよな」
また一つ青い点が消えた。
煙玉の部隊がちらりとボスの方を見る。合図はない。このままでは煙が晴れてしまう。しかし、自分達の勝手な判断で後から罰則を受けてしまうのは勘弁願いたい。ここは我慢か。
待つ。ただひたすらに待つ。
キラリと光が見えた。
合図か。
そう思った時には、視界に赤い青年が目に映った。
煙が晴れていく。海賊たちは戸惑いが隠せない。
「取ったぜ!」
コストイラがボスの首を掲げる。大将がいなくなり海賊たちは戦う気力がなくなった。海賊たちのうちもう賊以外に生きる道がないものは自ら命を絶った。
ゆえに海賊たちは敵は常に格上であることを想定して動いていた。海でも陸でも同じである。
常に策は弄してきた。
無論、今回も。
「煙玉とあと香も用意しておけ」
「煙玉は分かりますが、香もですか?」
ボスの命令に女が聞き返す。聞き返されたことにムッとしながらもボスは丁寧に説明してくれる。
「あぁ、眼もそうだが、鼻を潰すためだ。耳に関しては数人で木や石を叩いたり足踏みしたりで惑わせる」
「御意に」
ボスの計画に賛同した女は塒の外に出て行き、部下を走らせる。
念には念を。
今回は特に大物の匂いがする。
集中しろ。
もちろん戦いにもそうだが、特に盤面に対してだ。現状を把握し、的確な指示を飛ばさなければならない。それがアレンの役目だ。弓で活躍できない分、ここで挽回しなければならない。しかし、それも叶わない。そんな現状に臍を噛む。
音は聞こえる。幽かにだが、歩く音が聞こえる。したがって、位置の把握ができる可能性は残されている。
「ん?」
今、一瞬だが戦場が俯瞰で見えた気がした。
「なんだ、今のは?もう一度見たい。どうすればいいんだ?」
もう一度似たような集中力を発揮する。見えた。戦場が見える。敵が見える。味方の位置も見える。
青と赤の点が敵味方を表している。丸の中に少し尖った部分がある。どっちを向いているかを表しているのだろう。だとしたら。
「レイドさん。後ろから」
「おう」
声に反応したレイドが大剣を振るい、敵を上下に分かつ。アシド、シキ、コストイラは指示がなくても反応できている。必要ないのだろう。アストロは命令されるのを嫌う。出すべきかどうか迷う。
アストロに海賊が迫り、指示を出そうとすると、アシドが動いた。アストロの後ろから現れた男をアシドは刺し殺す。
「何なんだ、こいつら」
ボスが呟く。すでに死した仲間を考えれば戦いに勝ったとしても勝負で負けてしまう。退却を命じようと息を吸いながら手を挙げると、指先から感覚がなくなった。
「あ?」
ボスは挙げた手を見ると、、いや、見れなかった。そこに、手は見えなかった。意識した途端に激痛が走る。
「ぐぁああああああああ!!!!?」
腕から血が噴き出て、止まらない。目がチカチカしてくる。なぜ?
「よォ」
首筋に冷たいものが触れる。分からない、まだ何も。だが、はっきりと一つだけわかっていることがある。この首筋に当てられているもので手を斬られた。
「把握できねェよな」
また一つ青い点が消えた。
煙玉の部隊がちらりとボスの方を見る。合図はない。このままでは煙が晴れてしまう。しかし、自分達の勝手な判断で後から罰則を受けてしまうのは勘弁願いたい。ここは我慢か。
待つ。ただひたすらに待つ。
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煙が晴れていく。海賊たちは戸惑いが隠せない。
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