メグルユメ

パラサイト豚ねぎそば

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4.ナカウへの道

10.海のない地の海賊

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「あん?砂の部隊がやられただと?」



 男の声に合わせ、パチッと松明の火が跳ねた。男は女を1人抱き寄せると先を促す。



「その報告は誰がした」



「砂の部隊の唯一の生き残りです」



「そいつは今どうしてる?」



「今は酒でも飲んでいるのではないですかね」



 ボスと思われる男は胸に収まっている女の顎下を撫でる。女は気持ちよさそうに喉を鳴らす。そして、男は女の報告に、ふむ、と溢しながら酒を呷る。



「チャンスをやれ。最後のチャンスだ。報告にあった我々を倒したものを殺せ。その首をここに持ってこい。いい女なら生け捕りにしろ」



「はい」



 男の発言に深々と頭を下げ、伝えに出て行く。男は酒を空にすると、床に女を連れ込んだ。



「私がいるのにまだ女を囲むの?」



「良いじゃねぇかよ。男はハーレムに憧れるもんさ」



「変わらず愛してくれるならいいけど」



「やっぱお前はいい女だな」



「ふん」



 女が鼻を鳴らすと、男は女に覆い被さった。男が女の体を求めると、女は抵抗することなく受け入れた。



 男は海賊だ。否、海賊だったと言っておいた方が正しいだろう。普段は漁師をしているが、副業として海賊をしていた。敵対組織の船を襲い、物資が届かないようにしていた。さらには海の平和も守っていた。



 しかし、ある時港に異変が起きた。



 魔物が出現し始めたのだ。そのせいで、ただでさえ少なかった船が、通るのを辞めてしまったのだ。さらに魔物は漁場を荒らして回った。結果として男は職を失った。海賊行為どころか漁にすらいけなくなった。



 男は世界を恨んだ。















「止まりな」



 森を抜け、街道を見つけたアレン達の目の前に現れたのは砂漠で取り逃がした男だ。昨日と比べてすごくボロボロになっている。そこまでやった記憶はない。



「囲まれたか」



 アシドの言う通り、辺りには2,30人に囲まれていた。



「悪いな。荷物を置いていくだけじゃ済ませねぇぜ。男どもはじわじわと嬲り殺してやる。女はそうだな。楽しませてもらおうか」



 男は剣を向け脅してくる。おそらく上の存在がおり、何か命令されているのだろう。私怨が含まれているのでほとんどが本音だろうが。



「ひぃやっ!?」



 どう対処したものかと考えていると、アストロが数人を燃やした。好戦的過ぎる。その炎を合図に抗争が始まる。



 基本的には魔物は本能に従い直線的に来ることが多い。相手が人となると話は別だ。人殺しに躊躇するかどうかが鍵となる。いつも魔物を平然と相手しているが、人が相手だとどうなるのかと考えていたが、結果は直感に反した。



 何故か普通に人を殺していた。



 仲間が人殺しになっているという光景にアレンの心は蝕まれていく。あの人たちはなぜ躊躇いなく殺せているのだろうか。



 何かが壊れる音がした。



 自分の中の、ではなく音は頭上から聞こえた。戦場は影に覆われた。上を見ると、大きな岩が落ちてきていた。



「おぉ!?岩だとッ!!?」



「何?!まさかボスはッ!?」



 コストイラが喉が裂けんばかりに叫ぶ。全員が横に跳び難を逃れる。エンドローゼはレイドに抱えられていた。盗賊の男は何かを察したように叫ぶ。



 海賊たちの罠は味方を巻き込みながら成功する。アレン達は散り散りにされた。土煙が晴れると思った時、さらに濃く煙が満ちる。煙玉か。



 ヌッと目の前に人が現れる。



「ウワッ!」



 咄嗟に出た弓が、ナイフの一撃を奇跡的に防ぐ。海賊たちは今までもこのような手を使って倒していったのだろう。アレンは顔を顰める。



 味方も敵も位置が分からない。指示も出せない。
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