メグルユメ

パラサイト豚ねぎそば

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5.無縁塚

4.花に囲まれた教祖

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「え?」



 珍しくコストイラが声を出し、眼を見開く。何かあるのだろうか。



 霊が両腕を前に出すと、袖のあたりから魂が飛び出す。アシドとシキが応戦する。コストイラは動かない。刀を摑む右手が震えている。やはり、何か知っているのだろう。しかし、今は戦いに集中しなければならない。



 魂1つは大した強さではない。しかし、数の多さは消耗を生む。



「コストイラ!」



 アストロが叱咤する。コストイラは下唇を噛み千切る。コストイラの中での葛藤が終わったようだ。コストイラは一気にケリをつけようと炎を纏う。しかし、その表情は血涙を流しそうだ。



 霊は目を細め、人魂の供給を辞めた。先の展開を決めたようだ。















 かつて、この地には故人を信仰する宗教が存在していた。なくなってしまった理由は単純に教義を教えられる人が少なくなってしまったからだ。ナカウの地にはいられなくなった。教祖や退治屋など力ある人が亡くなったせいで団体としての力もなくなったと言われている。



 退治屋は魂すら残っていないとされている。



 教祖は死してなおこの地にとどまったと言われている。墓に縛られているとも語られる。亡くなって間もなく、墓の周りには花が咲き始め、一月も経つと花畑と呼べる規模になっていた。教祖の後を追った教徒たちも花畑にとどまった。花畑に集まった幽霊たちは楽しく暮らし、時折街でも見かけることがあるらしい。こればかりは霊感がなければ見えないので結局噂程度だが。















 霊の脇の部分から一対の熊の人形が出る。壺を信仰する宗教の祠を探索する依頼を受けた以来だ。しかし、アシド達は怯むことなく人形に突っ込む。



 黒の熊の人形をアシドが貫き、白の熊の人形をシキが切り裂く。



『うん』



 霊から声が漏れる。刀を振り上げたコストイラが目の前に出てくる。



「    」



 コストイラがぼそりと何かを呟いた。その時の霊の反応はコストイラ以外の誰もが見れなかった。コストイラは刀を振り下ろす。振り下ろした地には花は一本もなかった。















「シラスタ教でしたっけ」



 アレンが調べてきた成果を見せる。これから行くところは最低限勉強しておこうと意気込んだアレンの知識にコストイラが嫌な顔をする。



「残された信者たちはどこに行ったんでしょうね。ナカウにいるんでしょうか」



「……ナカウにいるやつもいるが、大体はクリストロやクレアに移ったよ」



「え?そうなんですね。コストイラさんよく知ってますね」



 コストイラは嫌な顔のまま視線を逸らす。



「オレはシラスタ教なんだ。この場所なら知ってる。けど、5歳くらいの記憶だからな。そのあとどうやってクリストロに行ったのかは覚えてねェけどな」



 そこまでの幼少のコストイラを知らないアストロとアシドも目を細める。



 コストイラはそれ以上話そうとはしなかった。
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