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6.紅い館
2.霧がかった湖
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エキドナと戦っている間に馬車は行ってしまった。これ以上追っても馬の脚には追い付けないだろう。さらに、硬い地面のせいで車輪の跡が見えない。馬車はどこに行ったのか。休める場所はどこにあるのか。目の前に見える湖は何も答えてくれない。ただその澄み切った青がこちらを照らしていた。
「この蒼さは綺麗で心が休まるが、左右のどっちに進むのかを決めないとな」
アシドは岩の上から石を投げ込み、湖の波紋を眺めながら溜め息を吐く。
「右側とかどうですかね」
アレンは頭を触りながら首を傾げる。
「疑問形かよ」
「違ってたら殴る」
コストイラはアレンの語尾を気にし、アストロはアストロで物騒なことを言ってくる。
一行が右に体を向けると、何かが水面を破り出てくる音が響く。出てきたのはヴァイパー。アシドが投げ込んだ石が当たったのか額に今作ったばかりの傷が目立つ。一番近くにいたアシドは驚きに動きを固めることなく、難なく槍で引き裂く。くるくると回りながら2つの体が湖に戻っていく。湖に血の波紋が広がっていく。その血の匂いにつられてもう1匹やってくる。
ヴァイパーと比べ物にならない凶悪な鮫が水面を割る。胸鰭を羽のように動かし噛みつきにかかる。アシドは岩から降りると、先程までアシドのいた岩に牙を立てる。そして、軽々と岩を噛み砕いてみせる。
鮫は胸鰭を動かし、方向転換をすると再び口を開く。目の前には鮫のような笑みを浮かべた青年が一人。鞘に収められたままの武器を振り、キラーシャークの横っ面を叩く。鮫の顔面はひしゃげ、目玉が飛び出す。
白髪の男は岩の上に腰を下ろしていた。
ふぅとこれまで歩いてきた道のりを眺めながら息を吐く。そしてその赤色の眼を閉じ、これまでの自分の道筋を振り返る。
サクラの名を見た。姿を見てはいないがどこかに懐かしさを感じた。どこかで見たことがあるのか、何かで読んだことがあるのか、見当もつかない。
だが、サクラについての知識があることは確かだ。
何かもやもやとした気分になるが、何も覚えていないのだからしょうがない。諦めるしかない。
男は目を開けると佩いていた刀を両手に執り、整備を始める。
「この蒼さは綺麗で心が休まるが、左右のどっちに進むのかを決めないとな」
アシドは岩の上から石を投げ込み、湖の波紋を眺めながら溜め息を吐く。
「右側とかどうですかね」
アレンは頭を触りながら首を傾げる。
「疑問形かよ」
「違ってたら殴る」
コストイラはアレンの語尾を気にし、アストロはアストロで物騒なことを言ってくる。
一行が右に体を向けると、何かが水面を破り出てくる音が響く。出てきたのはヴァイパー。アシドが投げ込んだ石が当たったのか額に今作ったばかりの傷が目立つ。一番近くにいたアシドは驚きに動きを固めることなく、難なく槍で引き裂く。くるくると回りながら2つの体が湖に戻っていく。湖に血の波紋が広がっていく。その血の匂いにつられてもう1匹やってくる。
ヴァイパーと比べ物にならない凶悪な鮫が水面を割る。胸鰭を羽のように動かし噛みつきにかかる。アシドは岩から降りると、先程までアシドのいた岩に牙を立てる。そして、軽々と岩を噛み砕いてみせる。
鮫は胸鰭を動かし、方向転換をすると再び口を開く。目の前には鮫のような笑みを浮かべた青年が一人。鞘に収められたままの武器を振り、キラーシャークの横っ面を叩く。鮫の顔面はひしゃげ、目玉が飛び出す。
白髪の男は岩の上に腰を下ろしていた。
ふぅとこれまで歩いてきた道のりを眺めながら息を吐く。そしてその赤色の眼を閉じ、これまでの自分の道筋を振り返る。
サクラの名を見た。姿を見てはいないがどこかに懐かしさを感じた。どこかで見たことがあるのか、何かで読んだことがあるのか、見当もつかない。
だが、サクラについての知識があることは確かだ。
何かもやもやとした気分になるが、何も覚えていないのだからしょうがない。諦めるしかない。
男は目を開けると佩いていた刀を両手に執り、整備を始める。
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