162 / 684
8.魔王インサーニアを討て
35.異想の魔王
しおりを挟む
魔王城は7本の塔の中心にあるわけではない。7本の塔を建てるのにあたって、建設の技術力が足りず正七角形の位置に造ることも、魔王城を中心に造ることもできなかった。中心は魔王城から光の塔の方へ3分ほど歩いた位置にある。そこには小さな祠がある。
魔王インサーニアはその祠の前にいた。
『…………まだか』
祠の下の地面が淡く明滅している。完璧な光がそこには存在しておらず、まだ発展途上であることを示していた。目を凝らしてみると、明滅している魔法陣にオレンジと黒の混じった煙が集まっているのが分かった。今は夕方と呼ぶのに相応しい時間帯なので、ほぼ同色な煙だ。
『…………もう少し改良できるのか?』
計画の要である祠の魔法陣の充電の遅さに首を傾げる。早く計画を成就することは魔族全体の悲願である。自分が死ぬまでに叶えなければなるまい。
がさり。後ろの草むらが音を立てる。緩慢な動きで振り返り、原因を探す。赤毛の侍だ。炎のように燃える髪と似つかわしくない静かな眼。あれは狩人の眼だ。
侍の脚に力が入る。
話し合いはない。
戦いの合図もない。
両者が同時に動く。
暗くなっていく森を、コストイラの炎が照らす。目くらましの意味もあったが、魔王には効いているようには見えない。居合に合わせて魔王はイライザと同じ紫の風を発射する。
一度は風を切った。しかし、斬撃は一回、風は流体。一瞬は侍に軍配が上がったが、風は構わず進み、侍を飲み込み押し返す。
バサッ!
左右後ろから何かが飛び出した。
作戦は簡単だ。
コストイラが気を引き、攻撃をした直後にこちらも攻撃を仕掛ける。ただそれだけ。
作戦は成功した。ただし、一部だけ。テクニカルポイントを相手に与えてしまったことが誤算を生んだ。魔王は髪を揺れ浮かせ、範囲攻撃を使ってきた。大気に波紋が生じ、アシド、シキ、レイドを打ち、その場に止める。十字に紫の竜巻を撃ちだし、コストイラも巻き込んで吹き飛ばす。
ダメージを受け流し、少しだけ後ろに下がっただけのレイドが大剣を携え走り出す。インサーニアは鋭い三白眼でレイドを睨み、両手をレイドの少し上に向け、下げる。
レイドの体がガクリと下がった。そのまま膝をついてしまう。急速に重力が増した。いつぞやに食らったディアボロスの重力増加と比べ物にならないほどの重力だ。
自然と頭を垂れさせられる。
ドガンと爆発音がすると、フッと重力が元に戻る。顔を上げると魔王の顔が魔術をぶつけられたことで傾いており、重力増加の魔術の集中力が切れたようだ。三白眼が一瞬紫色の魔術師を捉えるが、射程範囲外であることを察し、レイドに視線を戻す。
構えたままの両手に魔力を溜めるが、テクニカルポイントが足りていない。紫の竜巻がレイドを叩き、後ろに押し返す。
アシド、シキが飛び出す。両手をそれぞれに向ける時間はない。魔王は体の向きを変える。アシドを背にし、シキの左腕を右腕で叩く。背中に槍で押される感覚があるが、刺さっていない。カオスドラゴンの皮を鞣し加工した、刃物が刺さらず、魔法の魔術は軽減するマントがある。シキのナイフが右腕に刺さるが、構わずシキの左手を折り飛ばす。アシドは背からでは攻撃が通らないことを察し、即座に離脱する。シキは折れた腕をかばいながら、叢に消えていく。
魔王は深追いしない。下手に追って不利を背負うのはまずい。ただでさえ巨体のため、相手から見れば的が大きい。相手を追って、こちらから見えない位置に連れていかれたら終わりだ。
だから魔王の作戦は迎え撃ち。
三白眼がぎょろぎょろと辺りを見渡す。
望遠鏡という道具がある。
円筒状の道具で中には月天石という300万リラもする石を削って作ったレンズという部品が使われている、遠くを見るための道具だ。片側が細くなっており、そこから覗くと遠方が見える。冒険者は持っておきたい道具の一つだが、お値段がなんと500万リラと初心者には買えないので滅多に見られない。アレン達は現在100万リラほどしか稼げていないのでまだまだである。
アレンはその望遠鏡を覗いていた。持ち主はアレンではない。魔王城の倉庫にあったものを少し拝借したのだ。アレンはもう戦闘の場から少し離れていた。木の上に待機しながら弓矢を用意しておく。
この場にいるのはアレンの他にはエンドローゼだけだ。戦闘を観察し、必要に応じて出撃してしてもらうことにしたからだ。本人は皆と一緒に行きたそうにしていたが、6人で説得した。護りながらはきついというコストイラの一言が決め手になった。
ちらりとエンドローゼを見ると、杖をしっかりと抱きしめ拗ねているようにも見える。ちゃんとフォローしなければいけないのだが、何と言えばいいのか分からない。
「エンドローゼさん。シキさんのところに行きますよ」
「は、はい」
アレンは木から下り、エンドローゼを連れてばれないように走り出す。木の上はアレンには恐怖の対象だったが、いざとなれば気にしないこともできるのだなとエンドローゼは秘かに思っていた。
「当分は走れないな。いや、走れるけど傷が開いちゃうな」
カレトワは自分の脚に巻かれた包帯を擦りながら憂う。
「しゃーねーだろ。お前の傷つき具合が強かったんだから。嘆くんなら実力不足を嘆け」
ロッドが後始末しながらカレトワに言い返す。カレトワはムッとした。
「正論風に言われてもアタシ知らなーい」
「別にお前を説得しようとしてねェからな」
他方、コウガイはイライザを止めていた。
「駄目です」
『何でいけないのっ!?私はあの方の妻よっ!?夫を護るのも妻の役目よ!!』
「駄目です。妻ならば夫を信じてみても良いのではないですか!?」
『それでもっ!!』
イライザはヒステリック気味にコウガイの方を掴み、叫ぶ。
「それでも?」
『それでも、私はあの人の、支えになり、たい…………の…………』
涙目になり訴えるイライザにインサーニアを彷彿させる鋭い目つきを向ける。
「アスミン」
「ぅふぇっ!?」
コウガイに名を呼ばれアスミンは変な声が出て、恥ずかしそうに顔を赤くする。
「隠れている棚。上から2段目」
「え?」
「早く」
「うん」
アスミンは兄の指示通り棚の上から2段目を開ける。中には少し大きめの望遠鏡が入っていた。アスミンは恐る恐る望遠鏡を掴み、兄の元にまで持っていく。
「兄さん」
「ん」
コウガイはありがとうとアスミンに言い、望遠鏡をイライザに渡す。
「それでもインサーニア様が心配ならば、ここから見ていてください。貴方様は魔術師です。ここからでも狙い放てるでしょう。後援ができるでしょう。テクニカルポイントが必要ならば私を攻撃してください。ちょっとやそっとではやられたりは致しません」
『っ!?』
イライザは望遠鏡を受け取った。
魔王インサーニアはその祠の前にいた。
『…………まだか』
祠の下の地面が淡く明滅している。完璧な光がそこには存在しておらず、まだ発展途上であることを示していた。目を凝らしてみると、明滅している魔法陣にオレンジと黒の混じった煙が集まっているのが分かった。今は夕方と呼ぶのに相応しい時間帯なので、ほぼ同色な煙だ。
『…………もう少し改良できるのか?』
計画の要である祠の魔法陣の充電の遅さに首を傾げる。早く計画を成就することは魔族全体の悲願である。自分が死ぬまでに叶えなければなるまい。
がさり。後ろの草むらが音を立てる。緩慢な動きで振り返り、原因を探す。赤毛の侍だ。炎のように燃える髪と似つかわしくない静かな眼。あれは狩人の眼だ。
侍の脚に力が入る。
話し合いはない。
戦いの合図もない。
両者が同時に動く。
暗くなっていく森を、コストイラの炎が照らす。目くらましの意味もあったが、魔王には効いているようには見えない。居合に合わせて魔王はイライザと同じ紫の風を発射する。
一度は風を切った。しかし、斬撃は一回、風は流体。一瞬は侍に軍配が上がったが、風は構わず進み、侍を飲み込み押し返す。
バサッ!
左右後ろから何かが飛び出した。
作戦は簡単だ。
コストイラが気を引き、攻撃をした直後にこちらも攻撃を仕掛ける。ただそれだけ。
作戦は成功した。ただし、一部だけ。テクニカルポイントを相手に与えてしまったことが誤算を生んだ。魔王は髪を揺れ浮かせ、範囲攻撃を使ってきた。大気に波紋が生じ、アシド、シキ、レイドを打ち、その場に止める。十字に紫の竜巻を撃ちだし、コストイラも巻き込んで吹き飛ばす。
ダメージを受け流し、少しだけ後ろに下がっただけのレイドが大剣を携え走り出す。インサーニアは鋭い三白眼でレイドを睨み、両手をレイドの少し上に向け、下げる。
レイドの体がガクリと下がった。そのまま膝をついてしまう。急速に重力が増した。いつぞやに食らったディアボロスの重力増加と比べ物にならないほどの重力だ。
自然と頭を垂れさせられる。
ドガンと爆発音がすると、フッと重力が元に戻る。顔を上げると魔王の顔が魔術をぶつけられたことで傾いており、重力増加の魔術の集中力が切れたようだ。三白眼が一瞬紫色の魔術師を捉えるが、射程範囲外であることを察し、レイドに視線を戻す。
構えたままの両手に魔力を溜めるが、テクニカルポイントが足りていない。紫の竜巻がレイドを叩き、後ろに押し返す。
アシド、シキが飛び出す。両手をそれぞれに向ける時間はない。魔王は体の向きを変える。アシドを背にし、シキの左腕を右腕で叩く。背中に槍で押される感覚があるが、刺さっていない。カオスドラゴンの皮を鞣し加工した、刃物が刺さらず、魔法の魔術は軽減するマントがある。シキのナイフが右腕に刺さるが、構わずシキの左手を折り飛ばす。アシドは背からでは攻撃が通らないことを察し、即座に離脱する。シキは折れた腕をかばいながら、叢に消えていく。
魔王は深追いしない。下手に追って不利を背負うのはまずい。ただでさえ巨体のため、相手から見れば的が大きい。相手を追って、こちらから見えない位置に連れていかれたら終わりだ。
だから魔王の作戦は迎え撃ち。
三白眼がぎょろぎょろと辺りを見渡す。
望遠鏡という道具がある。
円筒状の道具で中には月天石という300万リラもする石を削って作ったレンズという部品が使われている、遠くを見るための道具だ。片側が細くなっており、そこから覗くと遠方が見える。冒険者は持っておきたい道具の一つだが、お値段がなんと500万リラと初心者には買えないので滅多に見られない。アレン達は現在100万リラほどしか稼げていないのでまだまだである。
アレンはその望遠鏡を覗いていた。持ち主はアレンではない。魔王城の倉庫にあったものを少し拝借したのだ。アレンはもう戦闘の場から少し離れていた。木の上に待機しながら弓矢を用意しておく。
この場にいるのはアレンの他にはエンドローゼだけだ。戦闘を観察し、必要に応じて出撃してしてもらうことにしたからだ。本人は皆と一緒に行きたそうにしていたが、6人で説得した。護りながらはきついというコストイラの一言が決め手になった。
ちらりとエンドローゼを見ると、杖をしっかりと抱きしめ拗ねているようにも見える。ちゃんとフォローしなければいけないのだが、何と言えばいいのか分からない。
「エンドローゼさん。シキさんのところに行きますよ」
「は、はい」
アレンは木から下り、エンドローゼを連れてばれないように走り出す。木の上はアレンには恐怖の対象だったが、いざとなれば気にしないこともできるのだなとエンドローゼは秘かに思っていた。
「当分は走れないな。いや、走れるけど傷が開いちゃうな」
カレトワは自分の脚に巻かれた包帯を擦りながら憂う。
「しゃーねーだろ。お前の傷つき具合が強かったんだから。嘆くんなら実力不足を嘆け」
ロッドが後始末しながらカレトワに言い返す。カレトワはムッとした。
「正論風に言われてもアタシ知らなーい」
「別にお前を説得しようとしてねェからな」
他方、コウガイはイライザを止めていた。
「駄目です」
『何でいけないのっ!?私はあの方の妻よっ!?夫を護るのも妻の役目よ!!』
「駄目です。妻ならば夫を信じてみても良いのではないですか!?」
『それでもっ!!』
イライザはヒステリック気味にコウガイの方を掴み、叫ぶ。
「それでも?」
『それでも、私はあの人の、支えになり、たい…………の…………』
涙目になり訴えるイライザにインサーニアを彷彿させる鋭い目つきを向ける。
「アスミン」
「ぅふぇっ!?」
コウガイに名を呼ばれアスミンは変な声が出て、恥ずかしそうに顔を赤くする。
「隠れている棚。上から2段目」
「え?」
「早く」
「うん」
アスミンは兄の指示通り棚の上から2段目を開ける。中には少し大きめの望遠鏡が入っていた。アスミンは恐る恐る望遠鏡を掴み、兄の元にまで持っていく。
「兄さん」
「ん」
コウガイはありがとうとアスミンに言い、望遠鏡をイライザに渡す。
「それでもインサーニア様が心配ならば、ここから見ていてください。貴方様は魔術師です。ここからでも狙い放てるでしょう。後援ができるでしょう。テクニカルポイントが必要ならば私を攻撃してください。ちょっとやそっとではやられたりは致しません」
『っ!?』
イライザは望遠鏡を受け取った。
0
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
少し冷めた村人少年の冒険記 2
mizuno sei
ファンタジー
地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。
不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。
旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!
ninjin
ファンタジー
病弱だった少女は14歳の若さで命を失ってしまった・・・かに思えたが、実は異世界に転移していた。異世界に転移した少女は病弱だった頃になりたかった元気な体を手に入れた。しかし、異世界に転移して手いれた体は想像以上に頑丈で怪力だった。魔法が全ての異世界で、魔法が使えない少女は頑丈な体と超絶な怪力で無双する。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
エレンディア王国記
火燈スズ
ファンタジー
不慮の事故で命を落とした小学校教師・大河は、
「選ばれた魂」として、奇妙な小部屋で目を覚ます。
導かれるように辿り着いたのは、
魔法と貴族が支配する、どこか現実とは異なる世界。
王家の十八男として生まれ、誰からも期待されず辺境送り――
だが、彼は諦めない。かつての教え子たちに向けて語った言葉を胸に。
「なんとかなるさ。生きてればな」
手にしたのは、心を視る目と、なかなか花開かぬ“器”。
教師として、王子として、そして何者かとして。
これは、“教える者”が世界を変えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる