メグルユメ

パラサイト豚ねぎそば

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12.世界樹

3.単眼の巨人

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 レイドは楯に頭を付き、押し込んでくるロックドラゴンの顔を殴り、距離をつくる。レイドは大剣を取り出し、片手で振るう。背中から抜き去る勢いのまま、ロックドラゴンに振り下ろす。

『オオ!』

 下から岩が迫りくる。しかし、レイドはその岩ごと斬り伏せる。岩を砕き、大剣の先はロックドラゴンの頭を捉え、地面に叩きつける。ロックドラゴンはそのまま脳漿をぶちまける。それを目撃してしまったエンドローゼはうむ、と口を押さえる。まだグロいものには慣れていないようだ。ちなみにアレンも慣れていないので、口を押えている。

 アシドは空中で回転して、着地する。左の脇腹を押さえながら、ロックドラゴンとの距離を詰める。ぐんぐんと速度を上げるロックドラゴンに蒼き稲妻が迫る。近づいてくるアシドに迎撃を決意する。ロックドラゴンは急激に方向転換する。反転してくるロックドラゴンに、目を見開きながら口角を上げる。

 ロックドラゴンは唾液を撒き散らしながら牙を剥く。アシドはトップスピードのまま槍をくるくる回し握りなおす。左肩に照準を合わせ疾走するロックドラゴンに、アシドは下顎を狙う。ロックドラゴンの噛みつきは空を切る。アシドは通り抜け様にロックドラゴンの下顎を切る。ロックドラゴンの下顎は皮一枚だけ切り取られず、ぶらぶらとしている。噛みつきはもうできない。喉もゴポゴポと鳴っており、声は出ない。

 アシドは反転してロックドラゴンを向くと、迫り出てくる岩が顔面に当たる。バク転して、ロックドラゴンを見る。ロックドラゴンはボタボタと血を流しながら、ふらふらと小走りしている。

 声は出せずとも魔力は溜められるようだ。ロックドラゴンが急に止まる。アシドはあっという間に追いつき、止めを刺す。どうやらアレンの弓が役に立ったらしい。中ってはいないが。アレンは肩を落としており、エンドローゼに慰められていた。今度特訓にでも付き合ってやろうかな。

 司令塔のロックドラゴンは守られながらも、守っていく。しかし、怒涛の攻撃により、注意が向けられず、2匹を犠牲にしてしまう。

『オオ!』

 悲しむ暇もなく攻撃が来るため、対処を余儀なくされてしまう。
 コストイラは迫り出す岩に掴まり、越える。そのまま岩に着地すると、一気に加速する。

『『オオ!』』

 二重になる声。複数個所から岩が迫り出し、コストイラを狙う。コストイラが身を屈めると、その上を魔力の塊が通る。それは岩を破砕し、道を作る。

 コストイラが嬉々としてその道を通ろうとすると、その先に敵はいなかった。

「あ?」

 コストイラは刀を向ける先を失い、気持ちが中途半端になる。

「なんかスゲェ見たことのある光景だな。おい」
「ん?」

 言われたシキはロックドラゴンからナイフを抜き、血を拭い取っていた。

「ん?」
「ま、良いんだけどよ」

 可愛らしく小首を傾げられ、コストイラはガリガリと頭を掻きながら眉根を寄せる。

「イテテ」

 アシドが左の脇腹を擦りながら歩いてくる。

「か、回復します」
「ありがとよ」
「い、いえ。わ、私にはこ、こ、これしかできないので」

 もっとできることだってあるし、それができるだけでもすごいと思うのでアストロはエンドローゼを小突く。エンドローゼは頭を押さえながら、涙目でアストロを見上げる。フンと鼻を鳴らし、エンドローゼの頭を下げさせる。

 コストイラは刀を収めずにプラプラとさせ、洞窟の奥を見る。体が火照ってしまっている。早く何かと戦いたい。次、敵が出てきたら誰にも言わずに戦ってしまおうか。そんなことを考えていると、念願の敵が出てきた。

 5mほどの身長に一つ目、一本角。見るからに鬼の一種だ。数は1匹。ならばいけるだろう。

 コストイラは平然と近づいていく。サイクロプスは手にしている棍棒を強く握り、コストイラを見つめる。

『ゴォアッ!』

 サイクロプスは急に動きだし、棍棒を振り上げる。その声にアレン達も気づくが、すでに戦いは始まっていた。

 振り下ろされる棍棒をわざと刀で受け、往なす。コストイラは刀を振るい、刃を右肩に入れる。鎖骨は断つが、その後の分厚い筋肉に阻まれる。サイクロプスは痛みを顔を滲ませるが、口角を上げる。一つ目鬼はコストイラを掴もうとするが、コストイラはあっさりと刀から手を離す。
 左手を躱すとまた距離を詰め、下から柄を掴み、抜き取る。そのままサイクロプスの顔面を蹴る。

『ゴァ!』

 サイクロプスは怒りに棍棒を振るう。コストイラは刀を側面に当て、軌道をずらし、回転しながら棍棒に乗る。そのまま回転しながら一つ目鬼の顔を切る。

 サイクロプスは傷口からオレンジと黒の混じった煙を上げながら倒れる。

「うぇ~~」

 コストイラが左手を上に突き上げ、勝利を喜ぶ。

「何も告げず」
「昂ってたんだろ」
「若さゆえのやつよ。見逃しなさい」

 アレンが呟くと幼馴染2人が庇う。いや、庇っているのではなく諦めているのかもしれない。尻拭いに慣れている。

 もしかして旅が終わるころには僕も慣れているのだろうか。毒されているみたいだな。でも、そっちの方が仲間っぽいのか?
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