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12.世界樹
8.墓の遺跡
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大穴を繋ぐ地下道と度重なる爆発。他にも様々な要因が重なり、砂の床は抜けた。
砂に呑まれる。デジャヴだ。確か、彼岸へと向かう道の途中で流砂に呑まれたんだ。
砂から抜け、砂丘にぶつかる。斜めになっているのか、転がり滑っていく。
怖い。
光源がなく、真っ暗なので手の先さえも見えない。終わりも見えない。恐い。いつまで滑り落ちればいいんだ?
あぁ、我々はいつも落ちる。
「ごほっ! げは、げー、ハッハッ、ガッ!」
意識が戻るとともに、思い切り咳き込む。落ち着くと、先ほどまでの状況を思い出し、口を塞ぐ。
サンドウォームという音や振動に反応する砂の怪物に襲われていた。アレン達はそのサンドウォームの縄張り内の砂に落ちたのだ。まだ縄張り内の可能性が高い。
「平気だぞ」
コストイラはアレンの手首を掴み、下ろさせる。
「平気?」
「あぁ、ここは砂の中じゃなくて、岩の道の上だ」
「岩の道」
アレン達は呟くと辺りを見渡した。床も壁も天井も岩だ。丁寧に切られ、均され、一定の規格に基づいた人工の岩だ。そして何より気になるのは、
「門」
洞窟を刳り抜いて造られた人工的なスペース。その入り口を縁取る彫刻。
「あぁ、今はアシドとシキとレイドが軽く調査している」
「えぇ、そうねって言っている間に戻ってきたようね」
コストイラが捕捉し、アストロも加える。そういえばどうしてこの2人が残っているのだろう。
「何でコストイラさんが残っているんですか?」
「護衛。アストロがこんなだしな」
「これは私のせいではない」
アストロは顔いっぱいに不機嫌を表現している。アストロの右腕には、エンドローゼが引っ付いた状態で気絶していた。無理矢理引き剥がすことができず、放置しているようだ。
洞窟からアシド達が出てくる。
「軽く中を見てきたけど、結構ボロボロだぜ。戦闘は避けたが、ワ―アメーバがいたよ。湿度が高くなってる証拠だな。この2つのせいで進めない道がたくさんあった。出口は見つかってない。多分オレ達が見れたのはほんの一部だ。迷路みたいになってっから骨が折れるぜ」
「マジかよ」
アシドの報告を聞くと、コストイラは舌を出して不快感を表す。しかし、いくら嫌でも進まなければならない。後ろは砂地、そのサンドウォームの縄張りだ。
「ボロボロ?」
アストロが眉根を寄せる。
「強い衝撃を加えると、崩れる?」
「ひェ」
強い衝撃を与えそうなアストロとコストイラが嫌そうな顔をする。レイドは恐いくらいの真顔だ。
「ん? ウェ? ここは?」
エンドローゼが寝ぼけ眼を擦りながら周りを見る。エンドローゼは寝起きが良く、理解が早い。
「ご、ご、ごめんなさい」
「言葉はいらないから活躍で返しなさい」
「は、はい」
アストロが右手をグーパーさせている。血を通わせている。
「んじゃま、行きますか」
「ええ」
全員が立ち上がり、勇ましく門を抜ける。
確かに言われた通りボロボロだ。触れるのもはばかられる。
「思っていた以上にボロボロで引いてんだけど」
「私本格的にお荷物と化したわ。荷物持ちやりましょうか?」
コストイラは口の端を引く付かせ、アストロは今までにない以上に卑屈になる。
「そんなこと言ってんなよ。ほら、ワ―アメーバだぞ」
『コロロロ』
アシドが指さす先に言葉通りにワ―アメーバがいる。
「ここ狭いし、おまえがやれ」
「おいおい、投げ槍じゃね?」
「槍はお前のもんだろ」
アシドは返答することなく、ワ―アメーバに槍を向ける。一撃で仕留めなければ被害が出てしまう。最速の突きは的確にワ―アメーバの核を貫いた。
「よし、よくやった。先に進むぞ」
「お前は何もしてねェだろ」
アシドは呆れるが、それ以上は何も言わない。アシドの報告通り中は迷路のようになっている。
「どこに行けばいいんだ」
「こっちさっき来なかった?」
「また分かれ道か」
すでに遺跡内で2時間が経過していた。そして、アレン達は少し広いところに着いた。
「ここは綺麗ですね」
「何かの結界が張られてるわね」
「あれ」
皆が周りに注目する中、シキは一つの台座を指さす。台座の上には腕輪やベルトが置いてある。
「何だ? 墓か?」
コストイラは前に出る。コストイラの属するシラスタ教は故人や墓が神聖視されている。祈りを捧げようとするコストイラの前で、腕輪が動き始める。
カシャカシャと音を立てながらそれは浮き、衣服が人の形をし始める。サークレットや冠が頭部を作り、腕輪が腕の長さを示す。ベルトは腰の位置を作成し、緋色のマントが身長を表す。その姿はまるで王族のようで、意匠が整った瞬間、輪郭が生まれ、人が現れる。半透明な体、オレンジの瞳。
これは霊体である。
微妙に5㎝ほど浮いている霊は口を開く。
『なぜここにきた? この凶暴で崩壊した土地を鎮めに来たのか? この土地を清めようと多くの者がやってきたが、ここに暮らした者はすべて呑み込まれてしまった』
男の霊がこちらに手を向ける。
『君達は何しに来た。いや、君達も清めに来たのだろう』
「あの腕輪、テクニカルポイントが詰まっているわ」
掌から魔法陣が出現し、頭上斜め上から隕石が降ってくる。
砂に呑まれる。デジャヴだ。確か、彼岸へと向かう道の途中で流砂に呑まれたんだ。
砂から抜け、砂丘にぶつかる。斜めになっているのか、転がり滑っていく。
怖い。
光源がなく、真っ暗なので手の先さえも見えない。終わりも見えない。恐い。いつまで滑り落ちればいいんだ?
あぁ、我々はいつも落ちる。
「ごほっ! げは、げー、ハッハッ、ガッ!」
意識が戻るとともに、思い切り咳き込む。落ち着くと、先ほどまでの状況を思い出し、口を塞ぐ。
サンドウォームという音や振動に反応する砂の怪物に襲われていた。アレン達はそのサンドウォームの縄張り内の砂に落ちたのだ。まだ縄張り内の可能性が高い。
「平気だぞ」
コストイラはアレンの手首を掴み、下ろさせる。
「平気?」
「あぁ、ここは砂の中じゃなくて、岩の道の上だ」
「岩の道」
アレン達は呟くと辺りを見渡した。床も壁も天井も岩だ。丁寧に切られ、均され、一定の規格に基づいた人工の岩だ。そして何より気になるのは、
「門」
洞窟を刳り抜いて造られた人工的なスペース。その入り口を縁取る彫刻。
「あぁ、今はアシドとシキとレイドが軽く調査している」
「えぇ、そうねって言っている間に戻ってきたようね」
コストイラが捕捉し、アストロも加える。そういえばどうしてこの2人が残っているのだろう。
「何でコストイラさんが残っているんですか?」
「護衛。アストロがこんなだしな」
「これは私のせいではない」
アストロは顔いっぱいに不機嫌を表現している。アストロの右腕には、エンドローゼが引っ付いた状態で気絶していた。無理矢理引き剥がすことができず、放置しているようだ。
洞窟からアシド達が出てくる。
「軽く中を見てきたけど、結構ボロボロだぜ。戦闘は避けたが、ワ―アメーバがいたよ。湿度が高くなってる証拠だな。この2つのせいで進めない道がたくさんあった。出口は見つかってない。多分オレ達が見れたのはほんの一部だ。迷路みたいになってっから骨が折れるぜ」
「マジかよ」
アシドの報告を聞くと、コストイラは舌を出して不快感を表す。しかし、いくら嫌でも進まなければならない。後ろは砂地、そのサンドウォームの縄張りだ。
「ボロボロ?」
アストロが眉根を寄せる。
「強い衝撃を加えると、崩れる?」
「ひェ」
強い衝撃を与えそうなアストロとコストイラが嫌そうな顔をする。レイドは恐いくらいの真顔だ。
「ん? ウェ? ここは?」
エンドローゼが寝ぼけ眼を擦りながら周りを見る。エンドローゼは寝起きが良く、理解が早い。
「ご、ご、ごめんなさい」
「言葉はいらないから活躍で返しなさい」
「は、はい」
アストロが右手をグーパーさせている。血を通わせている。
「んじゃま、行きますか」
「ええ」
全員が立ち上がり、勇ましく門を抜ける。
確かに言われた通りボロボロだ。触れるのもはばかられる。
「思っていた以上にボロボロで引いてんだけど」
「私本格的にお荷物と化したわ。荷物持ちやりましょうか?」
コストイラは口の端を引く付かせ、アストロは今までにない以上に卑屈になる。
「そんなこと言ってんなよ。ほら、ワ―アメーバだぞ」
『コロロロ』
アシドが指さす先に言葉通りにワ―アメーバがいる。
「ここ狭いし、おまえがやれ」
「おいおい、投げ槍じゃね?」
「槍はお前のもんだろ」
アシドは返答することなく、ワ―アメーバに槍を向ける。一撃で仕留めなければ被害が出てしまう。最速の突きは的確にワ―アメーバの核を貫いた。
「よし、よくやった。先に進むぞ」
「お前は何もしてねェだろ」
アシドは呆れるが、それ以上は何も言わない。アシドの報告通り中は迷路のようになっている。
「どこに行けばいいんだ」
「こっちさっき来なかった?」
「また分かれ道か」
すでに遺跡内で2時間が経過していた。そして、アレン達は少し広いところに着いた。
「ここは綺麗ですね」
「何かの結界が張られてるわね」
「あれ」
皆が周りに注目する中、シキは一つの台座を指さす。台座の上には腕輪やベルトが置いてある。
「何だ? 墓か?」
コストイラは前に出る。コストイラの属するシラスタ教は故人や墓が神聖視されている。祈りを捧げようとするコストイラの前で、腕輪が動き始める。
カシャカシャと音を立てながらそれは浮き、衣服が人の形をし始める。サークレットや冠が頭部を作り、腕輪が腕の長さを示す。ベルトは腰の位置を作成し、緋色のマントが身長を表す。その姿はまるで王族のようで、意匠が整った瞬間、輪郭が生まれ、人が現れる。半透明な体、オレンジの瞳。
これは霊体である。
微妙に5㎝ほど浮いている霊は口を開く。
『なぜここにきた? この凶暴で崩壊した土地を鎮めに来たのか? この土地を清めようと多くの者がやってきたが、ここに暮らした者はすべて呑み込まれてしまった』
男の霊がこちらに手を向ける。
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