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17.彼岸
12.妖花・跋扈
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「おらぁ!!」
『クゥ!?』
「フン!!」
『フェア!!?』
「ゴラァ!!」
『チョッ!!!!?』
怒れる3人の攻撃を、体の大半を犠牲にしながら耐えていた。クイーンアルラウネの横幅5mが今は2.5mになるぐらいには耐えていた。これが耐えているといえるのかは疑問に残るかもしれないが、生きているので耐えているということにしておいてくれ。
攻められすぎて触手で何とか追い払うという考えに至れない。触手は総動員して防御特化だ。
コストイラがクイーンアルラウネの右腕を切り飛ばす。妖花の女王の視線が動き、目玉だけで右腕を見る。衝撃と共に左肩が後退する。視線を移すと、白煙で何も見えなかった。しかし、感覚的にわかる。今、クイーンアルラウネには左腕がない。痛みが凄すぎて叫ぶタイミングを失ってしまった。
アシドが突きを繰り出す。穂先はクイーンアルラウネの胸の谷間を貫いた。
『ヴェア!?』
あまりの早い決着にアレンは呆然としてしまう。
「草花切るのは駄目なのに、これらを切るのは良いんだ」
「魔物だしな」
コストイラが刀を収める。先ほどまでの荒々しさが消えている。今までの怒りは何だったのだろうか。
とりあえずこのまま前に進むことにした。
チェシバルの街に援軍がやって来た。その者は射撃の名手であり、国に期待されてやってきた。まぁ、国に期待されているからといって、この街の住人に期待されているわけではない。
そもそもこれまでに国は信用を得られていない。どうせ何もできずに帰っていくのだろう?
射撃の名手であるキャンパスママリスは弓矢の名手でなければ、魔術の名手でもない。2つのコントロールが王国でも十指に入っている貴族だ。だからこそ、射撃の名手と呼ばれている。
キャンパスママリスはこれまでの騎士達が作り出した調査書に目を通す。しかし、40枚もある調査書のうち、最初の8枚を読んだ時点で、机の上に放った。
「私が自分で調べる」
キャンパスママリスは外套を羽織り、森の中を歩き始めた。
木の虚や陰を調べる。貴族でありながら狩人としても功績を残している射撃の名手は、自分の調べたことからベートの生活リズムを割り出した。
キャンパスママリスの狩りは一人で行う。猟犬や仲間に頼らず、己の技と勘と経験のみで遂行する。明朝に騎士達に知られる前に森に入った。キチンと置手紙は書いている。
森に紛れる用の外套を羽織り、狙いを定める用の20㎝ほどの杖を携え、割り出した生活リズムから、今から通るであろうポイントを陣取る。
そこで初めてキャンパスママリスは凶悪な獣の姿を見た。茶色の毛に、背には薄茶色の縞模様。鋭い牙と爪は軽々と女子供を食い千切ったことを想像させた。
「あれで殺されたなんて」
冥福を祈りながら、杖を凶悪な獣に向ける。まだ獣はこちらに気付いていない。
「来い。人間の恐ろしさを教えてやる」
キャンパスママリスが魔術を獣の顔にぶち込む。魔術は吸い込まれるように獣の眼を貫く。
『グォ!?』
「ヨシ!」
キャンパスママリスはガッツポーズを惜しげもなく晒す。歓喜の表現をしたが、すぐに杖を構える。凶悪な獣は恐れることなく勇猛果敢に立ち向かってくる。
一瞬、その凶悪な面構えに臆してしまう。しかし、狩人の意地で魔術を放つ。魔術は見事に眉間に刺さり、凶悪な獣は動きを止めた。
凶悪な獣はグラリと体を傾け、そのまま倒れた。
キャンパスママリスが体長を計測すると、1.9mだった。仔牛のような体長と想定していたので、きっとこいつがベートなのだろう。
キャンパスママリスは嬉々として獣を担ぎ、街へと戻っていった。
街は歓喜に沸いた。これで、もう被害が出ない、と。
『クゥ!?』
「フン!!」
『フェア!!?』
「ゴラァ!!」
『チョッ!!!!?』
怒れる3人の攻撃を、体の大半を犠牲にしながら耐えていた。クイーンアルラウネの横幅5mが今は2.5mになるぐらいには耐えていた。これが耐えているといえるのかは疑問に残るかもしれないが、生きているので耐えているということにしておいてくれ。
攻められすぎて触手で何とか追い払うという考えに至れない。触手は総動員して防御特化だ。
コストイラがクイーンアルラウネの右腕を切り飛ばす。妖花の女王の視線が動き、目玉だけで右腕を見る。衝撃と共に左肩が後退する。視線を移すと、白煙で何も見えなかった。しかし、感覚的にわかる。今、クイーンアルラウネには左腕がない。痛みが凄すぎて叫ぶタイミングを失ってしまった。
アシドが突きを繰り出す。穂先はクイーンアルラウネの胸の谷間を貫いた。
『ヴェア!?』
あまりの早い決着にアレンは呆然としてしまう。
「草花切るのは駄目なのに、これらを切るのは良いんだ」
「魔物だしな」
コストイラが刀を収める。先ほどまでの荒々しさが消えている。今までの怒りは何だったのだろうか。
とりあえずこのまま前に進むことにした。
チェシバルの街に援軍がやって来た。その者は射撃の名手であり、国に期待されてやってきた。まぁ、国に期待されているからといって、この街の住人に期待されているわけではない。
そもそもこれまでに国は信用を得られていない。どうせ何もできずに帰っていくのだろう?
射撃の名手であるキャンパスママリスは弓矢の名手でなければ、魔術の名手でもない。2つのコントロールが王国でも十指に入っている貴族だ。だからこそ、射撃の名手と呼ばれている。
キャンパスママリスはこれまでの騎士達が作り出した調査書に目を通す。しかし、40枚もある調査書のうち、最初の8枚を読んだ時点で、机の上に放った。
「私が自分で調べる」
キャンパスママリスは外套を羽織り、森の中を歩き始めた。
木の虚や陰を調べる。貴族でありながら狩人としても功績を残している射撃の名手は、自分の調べたことからベートの生活リズムを割り出した。
キャンパスママリスの狩りは一人で行う。猟犬や仲間に頼らず、己の技と勘と経験のみで遂行する。明朝に騎士達に知られる前に森に入った。キチンと置手紙は書いている。
森に紛れる用の外套を羽織り、狙いを定める用の20㎝ほどの杖を携え、割り出した生活リズムから、今から通るであろうポイントを陣取る。
そこで初めてキャンパスママリスは凶悪な獣の姿を見た。茶色の毛に、背には薄茶色の縞模様。鋭い牙と爪は軽々と女子供を食い千切ったことを想像させた。
「あれで殺されたなんて」
冥福を祈りながら、杖を凶悪な獣に向ける。まだ獣はこちらに気付いていない。
「来い。人間の恐ろしさを教えてやる」
キャンパスママリスが魔術を獣の顔にぶち込む。魔術は吸い込まれるように獣の眼を貫く。
『グォ!?』
「ヨシ!」
キャンパスママリスはガッツポーズを惜しげもなく晒す。歓喜の表現をしたが、すぐに杖を構える。凶悪な獣は恐れることなく勇猛果敢に立ち向かってくる。
一瞬、その凶悪な面構えに臆してしまう。しかし、狩人の意地で魔術を放つ。魔術は見事に眉間に刺さり、凶悪な獣は動きを止めた。
凶悪な獣はグラリと体を傾け、そのまま倒れた。
キャンパスママリスが体長を計測すると、1.9mだった。仔牛のような体長と想定していたので、きっとこいつがベートなのだろう。
キャンパスママリスは嬉々として獣を担ぎ、街へと戻っていった。
街は歓喜に沸いた。これで、もう被害が出ない、と。
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