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17.彼岸
15.是か非か
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川を渡り、もう一度森の中へと入っていった。
コストイラが鬱陶しそうに葉を払う。
「これってどこに向かっているんだ?」
先頭を歩いているコストイラがポツリと呟いた。レイドとアレンとエンドローゼがぽかんと口を開ける。アストロがアレンの肩を叩いて前に出た。
「奈落の二の舞か!」
ツッコミと共に頭を叩いた。コストイラが頭を抱えて蹲った。痛そうにしているが自業自得な気がする。シキがアストロの服を引っ張った。
「…………何?」
「建物がある」
顰めていた片眉が上がる。アストロがシキの頬を挟んでしっかりと目を見る。
「建物?」
「ん」
「じゃあ、行くしかねェな」
さっきまでのことがなかったのかのようにコストイラがガッツポーズをする。露骨なまでに話を終わらそうとするコストイラに、アストロは特大の溜息を吐いた。
「どうせ面倒事ですよ。その建物」
「そ、そ、そうですよ」
アレンとエンドローゼが拳を振り上げ、止めさせようとする。
「楽しいから。絶対楽しいから」
「レベルが上がるよ。お前達二人はレベルが低いからなァ、うん?」
コストイラとアシドがチクチクと嫌なところを突いてくる。常に魔物の嫌なところを突いているからか、突く場所が絶妙すぎる。
「お前は行きたいよなァ、アストロ!?」
「こ、こ、こ、断ってください! アストロさん!?」
「え~~。私ぃ?」
コストイラとエンドローゼに是か非かを詰め寄られ、あのアストロがたじたじになっている。いつも気丈に振舞っているアストロには珍しい反応だ。
「私、どっちかって言うとコストイラ側なのよね。昔っから一緒にいるし、何度も冒険したし」
「しぃ!」
「ピィ!?」
アストロが片手を頬に当て、エンドローゼに申し訳なさそうに言っている。コストイラとアシドはガッツポーズをして、エンドローゼは短く悲鳴を上げた。二の足を踏みながらレイドに抱き着き、袖を掴んだ。
「れ、レイドさん」
「うむ。私は勇者の楯だ。皆を危険から守るのが役目だ。それに危険に陥る前に防ぐのも役目だと思っている。ゆえに、言おう。私は行きたくない」
涙目上目遣いで堕ちたレイドが、エンドローゼを庇うように味方した。
「じゃあ、どこを目的地に据えるんだよ」
コストイラとアシドがレイドの周りをぴょこぴょこ動いてダル絡みしている。ウザさが最高潮に達してレイドとアストロから脳天に拳を貰っていた。
「で、シキは?」
未だ拳を開かないままのアストロがシキを見る。シキは体の向きを変えずに目だけを動かし、悩む。
「行く? 行かない?」
アストロが念押しで質問すると、瞳を一点に止めた。
「行く」
4対3で”行く”に天秤が傾いてしまった。謎の建物に向かうことになってしまった。
シキが先導して建物の元まで歩く。アレンは行きたくないので、少し嫌そうにしている。レイドが肩を叩く。
「諦めろ。行くと決めたら止まらないからな。どうすれば被害が小さくなるかを考えろ」
「一番は行かないことですけど」
アレンはものすごく根に持って引き摺っていた。そんなことを考えていると、いつの間にか建物に着いていた。建物の裏側は見えず、その後ろには何があるのかも見えない。
「よし、入ろ……」
バンとコストイラの言葉の途中で建物の扉が開いた。斧を持った犀の頭の魔物。突然の襲撃を仕掛けてきたダークマージを、真正面にいたシキが一切の驚きもなく対処する。硬いはずの犀の皮膚を易々と貫き、喉を切り裂く。
これ以上出て来られると困るので、シキが対処するために建物の中に入っていく。アレン達はつられて中に入っていった。
中にはいつかに見た事がある、大きめな壺が存在していた。確かに魔物を生み出すことができる魔物だったはずだ。コストイラが壺を持ち上げ、思い切り床に叩きつけた。分かりやすくシャンと音を立てて破壊された。
コストイラが鬱陶しそうに葉を払う。
「これってどこに向かっているんだ?」
先頭を歩いているコストイラがポツリと呟いた。レイドとアレンとエンドローゼがぽかんと口を開ける。アストロがアレンの肩を叩いて前に出た。
「奈落の二の舞か!」
ツッコミと共に頭を叩いた。コストイラが頭を抱えて蹲った。痛そうにしているが自業自得な気がする。シキがアストロの服を引っ張った。
「…………何?」
「建物がある」
顰めていた片眉が上がる。アストロがシキの頬を挟んでしっかりと目を見る。
「建物?」
「ん」
「じゃあ、行くしかねェな」
さっきまでのことがなかったのかのようにコストイラがガッツポーズをする。露骨なまでに話を終わらそうとするコストイラに、アストロは特大の溜息を吐いた。
「どうせ面倒事ですよ。その建物」
「そ、そ、そうですよ」
アレンとエンドローゼが拳を振り上げ、止めさせようとする。
「楽しいから。絶対楽しいから」
「レベルが上がるよ。お前達二人はレベルが低いからなァ、うん?」
コストイラとアシドがチクチクと嫌なところを突いてくる。常に魔物の嫌なところを突いているからか、突く場所が絶妙すぎる。
「お前は行きたいよなァ、アストロ!?」
「こ、こ、こ、断ってください! アストロさん!?」
「え~~。私ぃ?」
コストイラとエンドローゼに是か非かを詰め寄られ、あのアストロがたじたじになっている。いつも気丈に振舞っているアストロには珍しい反応だ。
「私、どっちかって言うとコストイラ側なのよね。昔っから一緒にいるし、何度も冒険したし」
「しぃ!」
「ピィ!?」
アストロが片手を頬に当て、エンドローゼに申し訳なさそうに言っている。コストイラとアシドはガッツポーズをして、エンドローゼは短く悲鳴を上げた。二の足を踏みながらレイドに抱き着き、袖を掴んだ。
「れ、レイドさん」
「うむ。私は勇者の楯だ。皆を危険から守るのが役目だ。それに危険に陥る前に防ぐのも役目だと思っている。ゆえに、言おう。私は行きたくない」
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「じゃあ、どこを目的地に据えるんだよ」
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「で、シキは?」
未だ拳を開かないままのアストロがシキを見る。シキは体の向きを変えずに目だけを動かし、悩む。
「行く? 行かない?」
アストロが念押しで質問すると、瞳を一点に止めた。
「行く」
4対3で”行く”に天秤が傾いてしまった。謎の建物に向かうことになってしまった。
シキが先導して建物の元まで歩く。アレンは行きたくないので、少し嫌そうにしている。レイドが肩を叩く。
「諦めろ。行くと決めたら止まらないからな。どうすれば被害が小さくなるかを考えろ」
「一番は行かないことですけど」
アレンはものすごく根に持って引き摺っていた。そんなことを考えていると、いつの間にか建物に着いていた。建物の裏側は見えず、その後ろには何があるのかも見えない。
「よし、入ろ……」
バンとコストイラの言葉の途中で建物の扉が開いた。斧を持った犀の頭の魔物。突然の襲撃を仕掛けてきたダークマージを、真正面にいたシキが一切の驚きもなく対処する。硬いはずの犀の皮膚を易々と貫き、喉を切り裂く。
これ以上出て来られると困るので、シキが対処するために建物の中に入っていく。アレン達はつられて中に入っていった。
中にはいつかに見た事がある、大きめな壺が存在していた。確かに魔物を生み出すことができる魔物だったはずだ。コストイラが壺を持ち上げ、思い切り床に叩きつけた。分かりやすくシャンと音を立てて破壊された。
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