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17.彼岸
22.粘着質な湿地
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扉の向こうで世界が変わった。アレン達がいるのは彼岸で間違いない。景色も森の部分や崖の部分は鏡合わせかと思えるほど同じだ。しかし、他が違った。
まず、森が粘液塗れだ。正直この森の中に入るのは嫌だ。どうせ強敵がいて、またコストイラがぬるぬるになるのだろう?分かるんだよ、そんなことぐらい。
次に、森奥部が発行している。まるでチョウチンアンコウの疑似餌のようにこちらを誘っている。これに引っかかる奴なんて、と言いたいところだが、アレンは気になってしょうがない。
「絶対この先になんかある。じゃなきゃ門で区切ったりしないだろ」
「その通りね」
口には出さずとも、コストイラの意見に同意した。門などという人工的な物が自然豊かなこの地にあるはずがない。
先に出会った太陽信者達が扉を取り付けたのかもしれない。その場合は今から向かおうとしている方に、隔離した何かがあるということ。凶悪な魔物か、絶望的な自然現象か、何かは分からないが、何かがあったのだ。
今から向かう先にいる何かが、太陽信者との間に壁を隔てたのか。どちらにしろ、向こう側には何かある。
それにコストイラが目を輝かせている。アレンの発言力はかなり低い。このままでは危険地帯に挑むことになるが、止める手立てがない。
エンドローゼは相手を立てるために意見しない。回復以外の場面ではほとんど意見しない。
アストロは行く気満々だ。説得は不可能だろう。
コストイラとアシドも行く気満々だ。もう手首や足首のストレッチをしている。
レイドは説得を諦めている。もうすでに思考を、言ってもどうすれば怪我しないかしか考えていない。
シキは無関心だ。行くか行かないかという次元の話ではない。今から何するの?という状態だ。
「分かりました。行きましょう」
明らかにトーンが落ちているが、誰も何もしない。アレンが考えていることなんて単純明快なので皆分かっている。そしてそれが叶わないことなんて分かっているので、無駄なフォローもしないのだ。
そのことをアレンも分かっているのがツラい。
森に足を踏み入れると、靴の裏が取られてしまいそうになり、転びそうになってしまう。転ぶのを予想できていたコストイラは、歩幅を調整していた。案外こういうところは器用である。
グチャグチャと粘液を踏み潰す音が聞こえた。明らかにこちらに何かが来ているが、隠れる気が微塵もない。出てきた瞬間に切るつもりだ。
ぬるりと音もなくブラックドラゴンが現れた。粘液にすべての音が吸収されたようだ。
凡庸なアレンは、目と耳で敵を判断しようとした。目で見えない角度から、耳に届かない大きさの音を出した現れた。
気付いたとき、アレンは驚いた。嘘、いつの間に、などと思っていると、すでにコストイラの刀がブラックドラゴンの首に当たっていた
コストイラはアレンと同じ方向を見ていたはずなのに、どうしてそこまで早く反応できたのか。成長が著しく、アレンは置いてけぼりだ。
粘液で刀が滑りそうになるが、力でねじ込んでいく。刀は首の鱗を砕き、切り落とした。
『ヤア、アァ』
『どうされましたか?』
8枚の翅を持つ蝶のような魔物が天を仰ぎ、涙を流している。脚のない蝶の魔物が心配して話しかける。
『我々の領地に異分子が入り込みました』
『何と!? 排除してまいりましょうか?』
『いえ、あそこにはゼラチナスキューブがいます。様子見しましょう』
『そうですね』
八枚翅の魔物が空を見つめて、もともと細い目がさらに細まり、空の向こうを見続けた。
まず、森が粘液塗れだ。正直この森の中に入るのは嫌だ。どうせ強敵がいて、またコストイラがぬるぬるになるのだろう?分かるんだよ、そんなことぐらい。
次に、森奥部が発行している。まるでチョウチンアンコウの疑似餌のようにこちらを誘っている。これに引っかかる奴なんて、と言いたいところだが、アレンは気になってしょうがない。
「絶対この先になんかある。じゃなきゃ門で区切ったりしないだろ」
「その通りね」
口には出さずとも、コストイラの意見に同意した。門などという人工的な物が自然豊かなこの地にあるはずがない。
先に出会った太陽信者達が扉を取り付けたのかもしれない。その場合は今から向かおうとしている方に、隔離した何かがあるということ。凶悪な魔物か、絶望的な自然現象か、何かは分からないが、何かがあったのだ。
今から向かう先にいる何かが、太陽信者との間に壁を隔てたのか。どちらにしろ、向こう側には何かある。
それにコストイラが目を輝かせている。アレンの発言力はかなり低い。このままでは危険地帯に挑むことになるが、止める手立てがない。
エンドローゼは相手を立てるために意見しない。回復以外の場面ではほとんど意見しない。
アストロは行く気満々だ。説得は不可能だろう。
コストイラとアシドも行く気満々だ。もう手首や足首のストレッチをしている。
レイドは説得を諦めている。もうすでに思考を、言ってもどうすれば怪我しないかしか考えていない。
シキは無関心だ。行くか行かないかという次元の話ではない。今から何するの?という状態だ。
「分かりました。行きましょう」
明らかにトーンが落ちているが、誰も何もしない。アレンが考えていることなんて単純明快なので皆分かっている。そしてそれが叶わないことなんて分かっているので、無駄なフォローもしないのだ。
そのことをアレンも分かっているのがツラい。
森に足を踏み入れると、靴の裏が取られてしまいそうになり、転びそうになってしまう。転ぶのを予想できていたコストイラは、歩幅を調整していた。案外こういうところは器用である。
グチャグチャと粘液を踏み潰す音が聞こえた。明らかにこちらに何かが来ているが、隠れる気が微塵もない。出てきた瞬間に切るつもりだ。
ぬるりと音もなくブラックドラゴンが現れた。粘液にすべての音が吸収されたようだ。
凡庸なアレンは、目と耳で敵を判断しようとした。目で見えない角度から、耳に届かない大きさの音を出した現れた。
気付いたとき、アレンは驚いた。嘘、いつの間に、などと思っていると、すでにコストイラの刀がブラックドラゴンの首に当たっていた
コストイラはアレンと同じ方向を見ていたはずなのに、どうしてそこまで早く反応できたのか。成長が著しく、アレンは置いてけぼりだ。
粘液で刀が滑りそうになるが、力でねじ込んでいく。刀は首の鱗を砕き、切り落とした。
『ヤア、アァ』
『どうされましたか?』
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『我々の領地に異分子が入り込みました』
『何と!? 排除してまいりましょうか?』
『いえ、あそこにはゼラチナスキューブがいます。様子見しましょう』
『そうですね』
八枚翅の魔物が空を見つめて、もともと細い目がさらに細まり、空の向こうを見続けた。
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