メグルユメ

パラサイト豚ねぎそば

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17.彼岸

23.彼岸を覆う粘体

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 ブチャリと音を立てて着地する。コストイラは刀についた血と粘液を拭いとる。

「よく分かりましたね」
「魔物を察知する感覚が滅茶苦茶鋭くなってきている」

 コストイラが自分の左手の掌を見ながら答えた。

「行きましょ、あの光の下に」
「闇を抱えていそうな一行が光に向かうなんて、皮肉が効いているな。行こうぜ」

 アストロが手首をほぐしながら光を眺め、アシドが軽そうにニヤニヤしながら返答した。

 コストイラとアシドとシキが森の中に入り、他4人もこれから森の中に入ろうとした時、ブチャリと粘液の潰れた音が聞こえた。
 アレン達の横の木々の隙間に何かが見える。木々の隙間のせいで何かの全体が見えない。しかし、何かは灰色が少し入っている透明な体であり、核が見えている。この特徴はスライムのものだ。

「危ねェ!」

 アシドが最高速でアレン達の元まで戻る。その勢いのままレイドと目を配せ、アストロと近くにいたエンドローゼを回収する。早すぎてアストロもエンドローゼも胃の中身が出てきそうになる。

 レイドは楯を構えながら、アレンの腕を掴んで投げた。急激な速度の変化に吐きそうになるし、腕が抜けそうになる。
 スライムのような魔物から放出される嵐の日でも見たことない水の量によって、レイドの体が軽々と持っていかれる。

「オレ達が引き受ける。お前等はレイドの回収を」

 コストイラが水の通った跡に立つ。アレン達はすぐに立ち上がり、レイドの方に走った。
 それは10mはあるスライムだった。その巨大なスライムの周りを1~2mほどのスライムが囲っていた。中の核は稲妻のようにギザギザした神経が窺えた。

「オラァ!!」

 アシドが核を狙って槍を振るうが、スライムのボディが攻撃を弾く。続いてコストイラとシキが攻撃を加えると、小さなスライムが弾けた。

 コストイラが炎を纏いながらスライムボディを叩く。炎がスライム内にある水分を蒸発させる。シキが爆弾として白瓏石投げつけると。石がポヨンと跳ねた。

「ん?」

 予想外の挙動に思わず声が出る。石は地面に落ちて不発に終わる。
 ゼラチナスキューブが水圧の強いビームのようなものを発射する。早すぎて咄嗟に対応するが、避けきれない。コストイラの頬が斬れて血が垂れる。
 少し距離のある所から、アストロが魔力を一点に集中させて放つ。魔力は中の方まで掘ることができたが、核まで届かない。最近出会う相手が強すぎて舌を打つ。コストイラの考えにコストイラも同意するが、それは一部だ。

 コストイラはどちらかといえば戦闘民族なので、相手が強いことは自身の成長に繋がるので、むしろ嬉しい。
 小さいスライムを足場に跳んだコストイラは、炎を纏いながら回転斬りを繰り出す。刃がプルプルのスライムボディを斬るが、核まで届かない。
 シキが発動しなかった白瓏石を拾い上げ、アストロが作った穴に投げ入れた。神がかったコントロールに驚嘆した。その直後、白瓏石が大質量のスライムに押し潰され爆発した。

 ゼラチナスキューブが内部から破裂し、核までの距離が短くなる。

 アストロが魔力を同じように一点集中で放った。
 スライムの体が剥がれ、核部分が露出する。核が少し削られるが、まだ死に至らない。そこにアシドが槍を振るう。アシドの槍が核を砕いた。
 角柱の姿を保っていたスライムの体が崩れ、周りのスライムも溶けた。

「急いで来たが、結局間に合わなかったな」

 後ろを見ると、レイドが頭をガリガリと掻いていた。コストイラはニヤリと笑いながら刀を収めた。

「ずいぶん遅かったな」
「あぁ、私はもっと足を鍛えなければならないな」

 レイドは皮肉に対して肩を竦めた。
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