328 / 684
18.最果ての孤島
2.中級の鬼
しおりを挟む
「何だって?」
「あ、いや何でもないです。ただ、これは何の地鳴りなんでしょう」
何とか誤魔化そうとするが、気付かれているようで、ずっとニヤニヤされている。
向かう先からヌゥと何かが姿を現した。サイクロプスだ。長い柄のついたハンマーを持つ一つ目の鬼が、こちらをギョロリと睨みつけている。
しかし、サイクロプスの身長は3m。多めに見積もっても、体重は100㎏程度の見た目だ。地を揺らすほどのものに見えない。
しかも、もうすでにサイクロプスが動いていないにもかかわらず、地面の揺れは収まっていない。
「こいつらはアストロ達でやるか。特にアレン。落ち込んでいる暇があったら矢を番えて経験値稼ぎだ」
「はい」
今までとは比べ物にならないやる気でもって矢を番えた。戦っていないエンドローゼに負けたのはマズイ。と考えているが、そもそも経験値で言えばエンドローゼは相当蓄積されている。戦いの後はほとんどエンドローゼの独壇場なのだから。
サイクロプスは器用にハンマーを振るい、矢を叩き落とす。アストロが魔力から矢を作り出してアレンに渡す。
「これ、倒した時の経験値の配分ってどうなっているんでしょうね」
「さぁ」
アレンが文句を言いながら魔力の矢を放つ。謎の震動が焦らせてくるが、矢の狙いを外さない。ハンマーを振るいながらサイクロプスが進撃してくる。
「オレはシキに追いつきたいから参戦するわ」
「オレはレイドに追いつかれたくないから参加するわ」
「…………」
「結局いつも通りじゃない」
コストイラとアシドが言い訳しながらサイクロプスを斬る。残されたシキがキョロキョロとすると、流されるように戦場に入っていった。
アストロは、譲る気のないコストイラ達に溜息を吐いた。
「そのまま撃っていいぞ。こっちで合わせるから」
サイクロプスの頭を切りながら、コストイラが告げてくる。アストロは遠慮なく魔力の矢をアレンに渡す。しっかりとアレンのレベル上げを手伝ってくれる当たり優しさを感じる。
「うお!」
「へぁ!?」
しみじみと優しを感じていると、アストロが魔術を放ってサイクロプスを焼いた。
「アンタじれったいのよ」
裏切られた気分だ。
地響きが近づいてきた。もうすぐで目視できる位置に来るだろう。魔力の矢を放つと、サイクロプスの間を抜けて、唐突に現れた拳に当たって弾けた。ナックルウォークのように拳を着く巨体が姿を現す。
6m半近い体長に、人間の胴体のように太い腕。腕の半分ほどの太さの脚に、深緑の肌。知性があるのか、紫色の短パンに牛革のタンクトップを身に着け、鉄製の2本角が着いた兜を被っている。紛うことなきハイオーガだ。赤青の鬼やサイクロプスのような下級の鬼ではない、上位存在だ。
『ブフゥ』
荒々しく息を吐き、怒りに満ちた目を下々に向ける。1体のサイクロプスがハイオーガにハンマーを振り上げる。
『ブン』
人の胴のように太い腕が唸り、サイクロプスを吹き飛ばす。ハイオーガの拳がぶつかった途端にサイクロプスの体が爆発四散した。千切れた手足や長い柄のハンマーが壁面にシミをつくる。
50体近くいた1つ目のオーガは、ハイオーガの方を脅威に感じ、武器を振り上げた。
『オオオオオッ!!』
『アアアアアッ!!』
雑にハンマーを振るっても、狙ってハンマーを振ってもハイオーガはモノともしない。ただ腕を振るうだけでサイクロプスは弾け飛んだ。
『オオオオオッ!』
ハイオーガの雄叫びの最中に、攻撃が加えられた。
アレンによる魔力の矢の攻撃だ。
「あ、いや何でもないです。ただ、これは何の地鳴りなんでしょう」
何とか誤魔化そうとするが、気付かれているようで、ずっとニヤニヤされている。
向かう先からヌゥと何かが姿を現した。サイクロプスだ。長い柄のついたハンマーを持つ一つ目の鬼が、こちらをギョロリと睨みつけている。
しかし、サイクロプスの身長は3m。多めに見積もっても、体重は100㎏程度の見た目だ。地を揺らすほどのものに見えない。
しかも、もうすでにサイクロプスが動いていないにもかかわらず、地面の揺れは収まっていない。
「こいつらはアストロ達でやるか。特にアレン。落ち込んでいる暇があったら矢を番えて経験値稼ぎだ」
「はい」
今までとは比べ物にならないやる気でもって矢を番えた。戦っていないエンドローゼに負けたのはマズイ。と考えているが、そもそも経験値で言えばエンドローゼは相当蓄積されている。戦いの後はほとんどエンドローゼの独壇場なのだから。
サイクロプスは器用にハンマーを振るい、矢を叩き落とす。アストロが魔力から矢を作り出してアレンに渡す。
「これ、倒した時の経験値の配分ってどうなっているんでしょうね」
「さぁ」
アレンが文句を言いながら魔力の矢を放つ。謎の震動が焦らせてくるが、矢の狙いを外さない。ハンマーを振るいながらサイクロプスが進撃してくる。
「オレはシキに追いつきたいから参戦するわ」
「オレはレイドに追いつかれたくないから参加するわ」
「…………」
「結局いつも通りじゃない」
コストイラとアシドが言い訳しながらサイクロプスを斬る。残されたシキがキョロキョロとすると、流されるように戦場に入っていった。
アストロは、譲る気のないコストイラ達に溜息を吐いた。
「そのまま撃っていいぞ。こっちで合わせるから」
サイクロプスの頭を切りながら、コストイラが告げてくる。アストロは遠慮なく魔力の矢をアレンに渡す。しっかりとアレンのレベル上げを手伝ってくれる当たり優しさを感じる。
「うお!」
「へぁ!?」
しみじみと優しを感じていると、アストロが魔術を放ってサイクロプスを焼いた。
「アンタじれったいのよ」
裏切られた気分だ。
地響きが近づいてきた。もうすぐで目視できる位置に来るだろう。魔力の矢を放つと、サイクロプスの間を抜けて、唐突に現れた拳に当たって弾けた。ナックルウォークのように拳を着く巨体が姿を現す。
6m半近い体長に、人間の胴体のように太い腕。腕の半分ほどの太さの脚に、深緑の肌。知性があるのか、紫色の短パンに牛革のタンクトップを身に着け、鉄製の2本角が着いた兜を被っている。紛うことなきハイオーガだ。赤青の鬼やサイクロプスのような下級の鬼ではない、上位存在だ。
『ブフゥ』
荒々しく息を吐き、怒りに満ちた目を下々に向ける。1体のサイクロプスがハイオーガにハンマーを振り上げる。
『ブン』
人の胴のように太い腕が唸り、サイクロプスを吹き飛ばす。ハイオーガの拳がぶつかった途端にサイクロプスの体が爆発四散した。千切れた手足や長い柄のハンマーが壁面にシミをつくる。
50体近くいた1つ目のオーガは、ハイオーガの方を脅威に感じ、武器を振り上げた。
『オオオオオッ!!』
『アアアアアッ!!』
雑にハンマーを振るっても、狙ってハンマーを振ってもハイオーガはモノともしない。ただ腕を振るうだけでサイクロプスは弾け飛んだ。
『オオオオオッ!』
ハイオーガの雄叫びの最中に、攻撃が加えられた。
アレンによる魔力の矢の攻撃だ。
0
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
少し冷めた村人少年の冒険記 2
mizuno sei
ファンタジー
地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。
不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。
旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!
ninjin
ファンタジー
病弱だった少女は14歳の若さで命を失ってしまった・・・かに思えたが、実は異世界に転移していた。異世界に転移した少女は病弱だった頃になりたかった元気な体を手に入れた。しかし、異世界に転移して手いれた体は想像以上に頑丈で怪力だった。魔法が全ての異世界で、魔法が使えない少女は頑丈な体と超絶な怪力で無双する。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
エレンディア王国記
火燈スズ
ファンタジー
不慮の事故で命を落とした小学校教師・大河は、
「選ばれた魂」として、奇妙な小部屋で目を覚ます。
導かれるように辿り着いたのは、
魔法と貴族が支配する、どこか現実とは異なる世界。
王家の十八男として生まれ、誰からも期待されず辺境送り――
だが、彼は諦めない。かつての教え子たちに向けて語った言葉を胸に。
「なんとかなるさ。生きてればな」
手にしたのは、心を視る目と、なかなか花開かぬ“器”。
教師として、王子として、そして何者かとして。
これは、“教える者”が世界を変えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる