メグルユメ

パラサイト豚ねぎそば

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18.最果ての孤島

2.中級の鬼

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「何だって?」
「あ、いや何でもないです。ただ、これは何の地鳴りなんでしょう」

 何とか誤魔化そうとするが、気付かれているようで、ずっとニヤニヤされている。
 向かう先からヌゥと何かが姿を現した。サイクロプスだ。長い柄のついたハンマーを持つ一つ目の鬼が、こちらをギョロリと睨みつけている。

 しかし、サイクロプスの身長は3m。多めに見積もっても、体重は100㎏程度の見た目だ。地を揺らすほどのものに見えない。
 しかも、もうすでにサイクロプスが動いていないにもかかわらず、地面の揺れは収まっていない。

「こいつらはアストロ達でやるか。特にアレン。落ち込んでいる暇があったら矢を番えて経験値稼ぎだ」
「はい」

 今までとは比べ物にならないやる気でもって矢を番えた。戦っていないエンドローゼに負けたのはマズイ。と考えているが、そもそも経験値で言えばエンドローゼは相当蓄積されている。戦いの後はほとんどエンドローゼの独壇場なのだから。
 サイクロプスは器用にハンマーを振るい、矢を叩き落とす。アストロが魔力から矢を作り出してアレンに渡す。

「これ、倒した時の経験値の配分ってどうなっているんでしょうね」
「さぁ」

 アレンが文句を言いながら魔力の矢を放つ。謎の震動が焦らせてくるが、矢の狙いを外さない。ハンマーを振るいながらサイクロプスが進撃してくる。

「オレはシキに追いつきたいから参戦するわ」
「オレはレイドに追いつかれたくないから参加するわ」
「…………」
「結局いつも通りじゃない」

 コストイラとアシドが言い訳しながらサイクロプスを斬る。残されたシキがキョロキョロとすると、流されるように戦場に入っていった。
 アストロは、譲る気のないコストイラ達に溜息を吐いた。

「そのまま撃っていいぞ。こっちで合わせるから」

 サイクロプスの頭を切りながら、コストイラが告げてくる。アストロは遠慮なく魔力の矢をアレンに渡す。しっかりとアレンのレベル上げを手伝ってくれる当たり優しさを感じる。

「うお!」
「へぁ!?」

 しみじみと優しを感じていると、アストロが魔術を放ってサイクロプスを焼いた。

「アンタじれったいのよ」

 裏切られた気分だ。

 地響きが近づいてきた。もうすぐで目視できる位置に来るだろう。魔力の矢を放つと、サイクロプスの間を抜けて、唐突に現れた拳に当たって弾けた。ナックルウォークのように拳を着く巨体が姿を現す。
 6m半近い体長に、人間の胴体のように太い腕。腕の半分ほどの太さの脚に、深緑の肌。知性があるのか、紫色の短パンに牛革のタンクトップを身に着け、鉄製の2本角が着いた兜を被っている。紛うことなきハイオーガだ。赤青の鬼やサイクロプスのような下級の鬼ではない、上位存在だ。

『ブフゥ』

 荒々しく息を吐き、怒りに満ちた目を下々に向ける。1体のサイクロプスがハイオーガにハンマーを振り上げる。

『ブン』

 人の胴のように太い腕が唸り、サイクロプスを吹き飛ばす。ハイオーガの拳がぶつかった途端にサイクロプスの体が爆発四散した。千切れた手足や長い柄のハンマーが壁面にシミをつくる。
 50体近くいた1つ目のオーガは、ハイオーガの方を脅威に感じ、武器を振り上げた。

『オオオオオッ!!』
『アアアアアッ!!』

 雑にハンマーを振るっても、狙ってハンマーを振ってもハイオーガはモノともしない。ただ腕を振るうだけでサイクロプスは弾け飛んだ。

『オオオオオッ!』

 ハイオーガの雄叫びの最中に、攻撃が加えられた。
 アレンによる魔力の矢の攻撃だ。
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