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20.シン・ジゴク
2.皆勤賞
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いくら考えても意味のないことがある。それを理解した瞬間、コストイラがガリガリと頭を掻き、ミノタウロスの腰蓑を放った。
「考えたってしゃーねーや。この目印のない雪山のどこに向かって歩くのか決めねェとな」
コストイラの言う通り、起伏はあるものの一面雪景色だ。目印になるような特別な樹木はない。コストイラ達は少しその場を離れて行き先を探す。何もないのでかなり遠出しないと見つけられそうにない。
コストイラは後ろに嫌な気配を感じた。絶対今後ろを見たら巨大な魔物がいる。絶対戦闘になる。いや、すでに戦闘が始まっている。
ズドンと後ろの何かが一歩踏み出した。勇者一行全員が気付いた。コストイラはこうなる前に終わらせたかった。
コストイラは振り向き様に刀を振るう。それなりに距離があったため、切っ先を掠める程度で終わってしまう。コストイラは慌てて相手の顔を見る。コストイラの眼の高さでは白いものしかない。雪と白い毛だ。コストイラが切ったのはジャイアントイエティらしい。雪山に来るといつも奴がいる。一つの雪山に1体以上配置しなければならない決まりでもあるのだろうか。
コストイラが素早く斬撃を浴びせる。ジャイアントイエティの左足がズタズタになり、バランスが崩れる。バランスを取ろうと左足が前に出る。ズダボロの左足がミノタウロスの肉塊を踏み潰す。衝撃で地面が少し緩くなる。
もう一度斬撃を繰り出すが、雪に足を滑らせた。斬撃が少しズレ、足の側面を傷付けた。
照る太陽の熱により、足元の雪が解け始めている。アシドが踏み出した足も滑ってしまった。
『ゴォオオオ!!』
ズタボロな足が出され、コストイラを踏み潰そうとする。逃げようとしてコストイラが足を滑らせる。え? こんな連続して何人も滑る? コストイラは仰向けに倒れながら目を丸くした。上から巨大な足が落ちてくる。これに踏み潰されたらひとたまりもないだろう。
しかし、コストイラは焦らない。焦ったらどうせ手元が狂ってしまう。尻を冷たくしながら刀を溜める。
来たら斬る。来たら斬る。来たら斬る。
瞳が絞られていき、一点に集中する。振り下ろされるズタボロの足がゆっくりに見える。
もう少し。もう少しだけ引き付けてから。
シキが乱入してきた。ミノタウロスの持っていた大斧を振るう。身長1.52mしかないシキが3m以上もある大斧を振り回す。ジャイアントイエティの左足を斧で切り飛ばす。そのままの勢いでジャイアントイエティの胸を穿つ。刀や槍では届かない位置まで斧が届く。斧が血管を軽々と切り裂いた。
ドウとジャイアントイエティが倒れた。雪が赤く染まっていく。
「よくそんな大きなもの振れますね」
アレンが口の端をヒクつかせながらシキに尋ねた。シキはなんてことなさそうに斧を片手で扱い、もう一度ジャイアントイエティに下ろした。なぜ簡単に扱えるのかの答えになっていない。しかし、これ以上聞ける雰囲気ではない。
「あ?」
アシドが跳ね上げられるように上を見る。
「雪だ」
「そりゃあこの周りに…………あぁ、降ってきたわね」
アストロが胸の前で掌を天に向けて雪を受け止める。
雪が降ってきた。
寒い世界が始まる。
「考えたってしゃーねーや。この目印のない雪山のどこに向かって歩くのか決めねェとな」
コストイラの言う通り、起伏はあるものの一面雪景色だ。目印になるような特別な樹木はない。コストイラ達は少しその場を離れて行き先を探す。何もないのでかなり遠出しないと見つけられそうにない。
コストイラは後ろに嫌な気配を感じた。絶対今後ろを見たら巨大な魔物がいる。絶対戦闘になる。いや、すでに戦闘が始まっている。
ズドンと後ろの何かが一歩踏み出した。勇者一行全員が気付いた。コストイラはこうなる前に終わらせたかった。
コストイラは振り向き様に刀を振るう。それなりに距離があったため、切っ先を掠める程度で終わってしまう。コストイラは慌てて相手の顔を見る。コストイラの眼の高さでは白いものしかない。雪と白い毛だ。コストイラが切ったのはジャイアントイエティらしい。雪山に来るといつも奴がいる。一つの雪山に1体以上配置しなければならない決まりでもあるのだろうか。
コストイラが素早く斬撃を浴びせる。ジャイアントイエティの左足がズタズタになり、バランスが崩れる。バランスを取ろうと左足が前に出る。ズダボロの左足がミノタウロスの肉塊を踏み潰す。衝撃で地面が少し緩くなる。
もう一度斬撃を繰り出すが、雪に足を滑らせた。斬撃が少しズレ、足の側面を傷付けた。
照る太陽の熱により、足元の雪が解け始めている。アシドが踏み出した足も滑ってしまった。
『ゴォオオオ!!』
ズタボロな足が出され、コストイラを踏み潰そうとする。逃げようとしてコストイラが足を滑らせる。え? こんな連続して何人も滑る? コストイラは仰向けに倒れながら目を丸くした。上から巨大な足が落ちてくる。これに踏み潰されたらひとたまりもないだろう。
しかし、コストイラは焦らない。焦ったらどうせ手元が狂ってしまう。尻を冷たくしながら刀を溜める。
来たら斬る。来たら斬る。来たら斬る。
瞳が絞られていき、一点に集中する。振り下ろされるズタボロの足がゆっくりに見える。
もう少し。もう少しだけ引き付けてから。
シキが乱入してきた。ミノタウロスの持っていた大斧を振るう。身長1.52mしかないシキが3m以上もある大斧を振り回す。ジャイアントイエティの左足を斧で切り飛ばす。そのままの勢いでジャイアントイエティの胸を穿つ。刀や槍では届かない位置まで斧が届く。斧が血管を軽々と切り裂いた。
ドウとジャイアントイエティが倒れた。雪が赤く染まっていく。
「よくそんな大きなもの振れますね」
アレンが口の端をヒクつかせながらシキに尋ねた。シキはなんてことなさそうに斧を片手で扱い、もう一度ジャイアントイエティに下ろした。なぜ簡単に扱えるのかの答えになっていない。しかし、これ以上聞ける雰囲気ではない。
「あ?」
アシドが跳ね上げられるように上を見る。
「雪だ」
「そりゃあこの周りに…………あぁ、降ってきたわね」
アストロが胸の前で掌を天に向けて雪を受け止める。
雪が降ってきた。
寒い世界が始まる。
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