366 / 684
20.シン・ジゴク
8.真・地獄街道
しおりを挟む
アストロが後頭部を触る。フォンに叩かれたのは腹立たしいが、きっと何か触れてはいけない領域に入ってしまったのだろう。何でも治せる、と言って叩かれたので、何でもは治せんはボケェ!ということなのだろうか。
「い、い、痛むのなら回復しましょうか?」
エンドローゼに心配されてしまった。大元凶は彼女な気がするが、きっと過保護なフォンの暴走だろう。アストロはエンドローゼに大丈夫だと、手を離す。
「大丈夫よ。何でもないから安心して。心配だって言うんなら、貴女の主神に早とちりするな、とでも言っておいて」
「は、はい」
エンドローゼが申し訳なさそうにしているが、アストロの言う通り、気にする必要などない。計画も実行もフォンの仕業なのだから。
「マジでここどこなんだ」
コストイラがヘビーアーマーを切った刀の手入れをしながら、溜息を吐いた。
現在のアレン達は重度の迷子だ。別に目標物が見えなくなったわけではない。そもそも目標物がないのだから関係ない。
今のコストイラの問いは、世界の中のどこなんだ?という意味だ。天界から奈落まで、上下はかなり限界近くまで行ったが、横が広すぎる。
ここはよく分からない。海の底の城になった扉を開けただけなのだ。どこかだなんて把握していない。
「どこかとか分かんねェな。過ごしやすい気温になったことぐらいしか分かんねェな」
アシドがヘブンズソードに刺していた槍を引き抜く。ヘブンズソードがビクンと痙攣して内部にあった血液が噴き出た。
現在は先ほどまでの寒さと違い、間違いなく5度以上気温が上がっている。少し寒くなり始めた秋の中盤くらいの気温か。
すでに地面からは雪が消えており、短い草花が生えてきている。柔らかい草原に腰を下ろし、休憩している。吹いてくる風に身を任せて、エンドローゼは気持ちよさそうに目を細めている。
上からシキが降ってきた。エンドローゼは驚いて目を丸くする。
「街があった」
シキの言葉に対して、一番最初に反応したのはコストイラだった。コストイラは膝を叩いて立ち上がり、キョロキョロしだした。まだ方向を教えてもらっていないのだから当然だろう。
「ん」
シキが人差し指で方向を示す。コストイラは早速歩き出そうとして止まった。クルと顔だけで振り返る。
「早よ行くぞ」
「元気ね」
アストロは立ち上がり、臀部についた草を落とす。アレンは気合を入れるように頬を叩いた。
しばらく歩くと、篝火が見えた。もう少し近づいてみると、東方式の、木を多く使った門が見えてきた。
「お? ここは東方か?」
コストイラが手で傘を作りながら様子を見る。門衛や監視塔がある。何人かの行商人や旅人が入っていく。同じような格好をしている。コストイラ達が行っても問題なさそうだ。
その時、見覚えのある白髪が目に留まった。
「あれ、ヲルクィトゥか?」
「久しぶりに見たわね。最後に会ったのいつ?」
「えっと魔界、だっけ」
見知った顔を見て少し安心感を覚えたが、そこでアレンが首を傾げた。そういえばヲルクィトゥって何者なの?
当然のようにヲルクィトゥの名前を出したが、アレン達は実はそれ以上知らない。彼の出身がどこで役職が何で、どのような戦い方をするのか、一切知らない。
それを考えて、アレンはブルりと身を震わせた。ヲルクィトゥはいったい何者だ?
アレン達の視線の先、ヲルクィトゥは街に入っていった。
「い、い、痛むのなら回復しましょうか?」
エンドローゼに心配されてしまった。大元凶は彼女な気がするが、きっと過保護なフォンの暴走だろう。アストロはエンドローゼに大丈夫だと、手を離す。
「大丈夫よ。何でもないから安心して。心配だって言うんなら、貴女の主神に早とちりするな、とでも言っておいて」
「は、はい」
エンドローゼが申し訳なさそうにしているが、アストロの言う通り、気にする必要などない。計画も実行もフォンの仕業なのだから。
「マジでここどこなんだ」
コストイラがヘビーアーマーを切った刀の手入れをしながら、溜息を吐いた。
現在のアレン達は重度の迷子だ。別に目標物が見えなくなったわけではない。そもそも目標物がないのだから関係ない。
今のコストイラの問いは、世界の中のどこなんだ?という意味だ。天界から奈落まで、上下はかなり限界近くまで行ったが、横が広すぎる。
ここはよく分からない。海の底の城になった扉を開けただけなのだ。どこかだなんて把握していない。
「どこかとか分かんねェな。過ごしやすい気温になったことぐらいしか分かんねェな」
アシドがヘブンズソードに刺していた槍を引き抜く。ヘブンズソードがビクンと痙攣して内部にあった血液が噴き出た。
現在は先ほどまでの寒さと違い、間違いなく5度以上気温が上がっている。少し寒くなり始めた秋の中盤くらいの気温か。
すでに地面からは雪が消えており、短い草花が生えてきている。柔らかい草原に腰を下ろし、休憩している。吹いてくる風に身を任せて、エンドローゼは気持ちよさそうに目を細めている。
上からシキが降ってきた。エンドローゼは驚いて目を丸くする。
「街があった」
シキの言葉に対して、一番最初に反応したのはコストイラだった。コストイラは膝を叩いて立ち上がり、キョロキョロしだした。まだ方向を教えてもらっていないのだから当然だろう。
「ん」
シキが人差し指で方向を示す。コストイラは早速歩き出そうとして止まった。クルと顔だけで振り返る。
「早よ行くぞ」
「元気ね」
アストロは立ち上がり、臀部についた草を落とす。アレンは気合を入れるように頬を叩いた。
しばらく歩くと、篝火が見えた。もう少し近づいてみると、東方式の、木を多く使った門が見えてきた。
「お? ここは東方か?」
コストイラが手で傘を作りながら様子を見る。門衛や監視塔がある。何人かの行商人や旅人が入っていく。同じような格好をしている。コストイラ達が行っても問題なさそうだ。
その時、見覚えのある白髪が目に留まった。
「あれ、ヲルクィトゥか?」
「久しぶりに見たわね。最後に会ったのいつ?」
「えっと魔界、だっけ」
見知った顔を見て少し安心感を覚えたが、そこでアレンが首を傾げた。そういえばヲルクィトゥって何者なの?
当然のようにヲルクィトゥの名前を出したが、アレン達は実はそれ以上知らない。彼の出身がどこで役職が何で、どのような戦い方をするのか、一切知らない。
それを考えて、アレンはブルりと身を震わせた。ヲルクィトゥはいったい何者だ?
アレン達の視線の先、ヲルクィトゥは街に入っていった。
0
あなたにおすすめの小説
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】おじいちゃんは元勇者
三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。
エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流@3/19書籍発売!
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる