メグルユメ

パラサイト豚ねぎそば

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20.シン・ジゴク

8.真・地獄街道

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 アストロが後頭部を触る。フォンに叩かれたのは腹立たしいが、きっと何か触れてはいけない領域に入ってしまったのだろう。何でも治せる、と言って叩かれたので、何でもは治せんはボケェ!ということなのだろうか。

「い、い、痛むのなら回復しましょうか?」

 エンドローゼに心配されてしまった。大元凶は彼女な気がするが、きっと過保護なフォンの暴走だろう。アストロはエンドローゼに大丈夫だと、手を離す。

「大丈夫よ。何でもないから安心して。心配だって言うんなら、貴女の主神に早とちりするな、とでも言っておいて」
「は、はい」

 エンドローゼが申し訳なさそうにしているが、アストロの言う通り、気にする必要などない。計画も実行もフォンの仕業なのだから。

「マジでここどこなんだ」

 コストイラがヘビーアーマーを切った刀の手入れをしながら、溜息を吐いた。

 現在のアレン達は重度の迷子だ。別に目標物が見えなくなったわけではない。そもそも目標物がないのだから関係ない。
 今のコストイラの問いは、世界の中のどこなんだ?という意味だ。天界から奈落まで、上下はかなり限界近くまで行ったが、横が広すぎる。
 ここはよく分からない。海の底の城になった扉を開けただけなのだ。どこかだなんて把握していない。

「どこかとか分かんねェな。過ごしやすい気温になったことぐらいしか分かんねェな」

 アシドがヘブンズソードに刺していた槍を引き抜く。ヘブンズソードがビクンと痙攣して内部にあった血液が噴き出た。

 現在は先ほどまでの寒さと違い、間違いなく5度以上気温が上がっている。少し寒くなり始めた秋の中盤くらいの気温か。
 すでに地面からは雪が消えており、短い草花が生えてきている。柔らかい草原に腰を下ろし、休憩している。吹いてくる風に身を任せて、エンドローゼは気持ちよさそうに目を細めている。
 上からシキが降ってきた。エンドローゼは驚いて目を丸くする。

「街があった」

 シキの言葉に対して、一番最初に反応したのはコストイラだった。コストイラは膝を叩いて立ち上がり、キョロキョロしだした。まだ方向を教えてもらっていないのだから当然だろう。

「ん」

 シキが人差し指で方向を示す。コストイラは早速歩き出そうとして止まった。クルと顔だけで振り返る。

「早よ行くぞ」
「元気ね」

 アストロは立ち上がり、臀部についた草を落とす。アレンは気合を入れるように頬を叩いた。
 しばらく歩くと、篝火が見えた。もう少し近づいてみると、東方式の、木を多く使った門が見えてきた。

「お? ここは東方か?」

 コストイラが手で傘を作りながら様子を見る。門衛や監視塔がある。何人かの行商人や旅人が入っていく。同じような格好をしている。コストイラ達が行っても問題なさそうだ。

 その時、見覚えのある白髪が目に留まった。

「あれ、ヲルクィトゥか?」
「久しぶりに見たわね。最後に会ったのいつ?」
「えっと魔界、だっけ」

 見知った顔を見て少し安心感を覚えたが、そこでアレンが首を傾げた。そういえばヲルクィトゥって何者なの?
 当然のようにヲルクィトゥの名前を出したが、アレン達は実はそれ以上知らない。彼の出身がどこで役職が何で、どのような戦い方をするのか、一切知らない。

 それを考えて、アレンはブルりと身を震わせた。ヲルクィトゥはいったい何者だ?

 アレン達の視線の先、ヲルクィトゥは街に入っていった。
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