メグルユメ

パラサイト豚ねぎそば

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21.月の裏側

12.明かりのない橋

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 クロウリーカオスの中に、オレンジの影が消えた。シキがナイフでドロドロの影をつんつんつつく。反応がない。ただの屍のようだ。

 アレンは衝撃を受けた。蹴り技だけで倒せるの? アレンの方に、アストロがポンと手を置いた。

「安心なさいな。私も引いているから」

 シキがアストロの視線に気づくと、クロウリーカオスの残骸から意識を切り、向かっていった。

「倒した」
「えぇ、そうね」

 アストロがシキの髪を触り、梳いてあげる。シキは気持ちよさそうに目を細める。可愛い。アレンはクリティカルヒットした。

 勇者一行は、人馬がやってきた奥の方へと歩いていく。上下左右縦横無尽に歩き回る。

「分岐路多すぎだろ」

 コストイラがげんなりしている。事実としてすでに30以上の分岐路を発見している。現在はずっとまっすぐに進んでいる。

「どっか曲がった道が正解の道ですとか言われたら、三日三晩はかかるぞ」
「やめなさい。それを考えたら足が動かなくなるわよ、あれみたいに」

 あれ呼ばわりされたアレンは、体育座りで蹲っていた。エンドローゼが腕を引いて連れて行こうとしている。流れに身を任せるアレンは、そのまま連れていかれる。よく見ると、シキが手伝っていた。エンドローゼに使われているのだろう。

「お?」

 アシドが何かを発見したのか、声を出した。アストロとコストイラの視線がそちらを向いた。

 そこには橋があった。松明の明かりで照らせる範囲が狭いためか、橋の長さが分からない。幅は分かるが、その幅が人3人分くらいなので、大型魔物が出た瞬間に道が崩落するだろう。

「ディーノイは?」
「もう前にいるわ。魔物を倒している間にもう橋のあたりに行ったっぽいわ」

 レイドがディーノイの確認をすると、アストロが眉根を寄せながら答えた。

 少し離れたところにいるディーノイは、こめかみ辺りをコリコリと掻いている。

『わかりやすく魔力を漏らしているとはいえ、ここまで正確に感知されていると恐怖を覚えよう』

 ディーノイは呟きながら、横道に入っていった。

 アストロが感知用の魔力を切る。ずっと使っていると魔力酔いを起こしてしまうからだ。

 コストイラが靴音を鳴らしながら橋の強度を確かめる。コストイラが確認するのが不安でしょうがない。

 すでに3分の1が進めているので、頑丈そうだ。アストロたちも後を追って橋に乗り始める。

 暗く、橋の真ん中では両端まで照らしきることができない。ここまで暗いと魔物が出てくるのは必然だろう。
 びくびくしながら、ゆっくりと橋を渡る。石橋なので揺れないが、下も見えないので恐怖がさらに増していく。
 エンドローゼがレイドに引っついて、高さを感じないようにしている。アレンも高さと恐怖を紛らわせたいが、誰も手伝ってくれない。

 アストロが額に手を置いて、溜息を吐いた。

「シキ、アレンを連れてきて」
「承知」

 シキが一気に最後尾に移動する。そして、一切のロマンチックな展開がなく、脇に抱えられた。アレンは一瞬猫のような目になるが、これはこれでいいのでは? と思い改め、嬉しくなった。

 そして、そのまま渡り切った。え? 魔物が出てこなかったんだけど。

 恐怖が解消することなく渡り切ってしまった。解消する機会を失ってしまった。
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