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23.大空洞
5.炎熱地獄
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人が気温を感じるとき、単純な気温や湿度だけでは決まらない。その時の風や影、人の服装や運動量など、他にもたくさんのものが関係している。
今、アレン達は地獄にいる。形容的な地獄だ。単純な気温が高く、湿度も高い。風はなく、影もない。アレン達の姿は、決して薄着ではなく、歩行状態にある。
暑いに決まっている。
灼熱の環境下に対して、耐性が低い。改めて、自分達の育った環境は、とても恵まれていたことが分かる。最高気温30度、最低気温8度は過ごしやすすぎた。
汗を拭う。そうした側から汗が噴き出てくる。正直な話、熱中症だし、脱水症状だ。頭がクラクラして、体もフラフラしてくる。目が霞んできた。
「目がシパシパする」
「水欲しい」
「何でシキは平気な顔してんのよ」
「平気じゃない」
コストイラが眉間を指で摘まみ、揉み解している。アシドは喉を押さえて、口を開けた。アストロは恨みがましくシキを見るが、シキは無表情かつ平坦な声で反論した。
パッと道の端の行燈に火が灯った。行燈の火すらも気温に影響するので、とっとと消したい。
ボボボと連続して火が着いた。
コストイラがわざとらしく指を動かし、数える。
「98、99、あれで100か」
目線の少し上、地下が一段低くなっているところの出っ張りに、行燈があった。全ての行燈に、青で染色された布が貼り付けられている。光は透過していて、しっかりと炎が確認できる。
ズモモとレッドジャイアントが立ち上がる。そして、レッドジャイアントが腕を振るって攻撃してくる。
先頭にいたコストイラは刀を抜き、何でもないかのように腕を切り落とし、流れるように体まで刻んだ。
もはや息をするように自然な動きだ。
パッと行燈の炎が一つ消えた。コストイラ達が見逃すはずがない。しかし、それが何を表しているのかが、分からないので無視する。
次から次へとレッドジャイアントが立ち上がる。数は数えたくない。気持ちを下げたくないからだ。
「パレードか!?」
「罠かもしれません」
「どっちでもいい。倒すぞ」
アシドが槍を振るいながら舌を打つ。アレンが即座に別の可能性を持ち出すが、コストイラが2つとも切った。
まだ、レベルが2桁になりたての頃は、かなり苦戦していたが、今では一振りで倒せる相手だ。
さすがに何体も倒していると気付いてくることがある。レッドジャイアント一体倒すと、行燈の火が一つ消える。一体に一つが対応している。この行燈はいわば命の灯火だ。
倒せば火が消える。つまり、暗さが戻ってくる。とはいえ、アレンにとって数少ない経験値稼ぎの場なので、最大限まで活用したい。
ぼんやりとした闇が場を支配し始めた。アレンの目では、もう分からなくなってきている。
闇の中でも平然と動く化け物、シキとコストイラの時間が始まる。
闇の中という悪環境もそうなのだが、この暑さの中でもパフォーマンスが落ちないのは、どういうことなのだろうか。
コストイラが刀を振るい、97体目のレッドジャイアントを切り飛ばした。それと同時にシキが98体目と99体目を切り刻んだ。
シキからの当てつけに若干キレながら、100体目を待つ。
100個目の行燈は少し大きめで、その後ろからぬらりと、手が現れた。行燈の大きさは分からないが、おそらく普通サイズだ。
そのままゆっくりと顔を出す。黒く長い髪と、牛のような短い角を持っている。身体はキモノを着ており、白地の布に、青の花柄だ。
少女が行燈よりも身を乗り出すと、そのまま落ちた。
今、アレン達は地獄にいる。形容的な地獄だ。単純な気温が高く、湿度も高い。風はなく、影もない。アレン達の姿は、決して薄着ではなく、歩行状態にある。
暑いに決まっている。
灼熱の環境下に対して、耐性が低い。改めて、自分達の育った環境は、とても恵まれていたことが分かる。最高気温30度、最低気温8度は過ごしやすすぎた。
汗を拭う。そうした側から汗が噴き出てくる。正直な話、熱中症だし、脱水症状だ。頭がクラクラして、体もフラフラしてくる。目が霞んできた。
「目がシパシパする」
「水欲しい」
「何でシキは平気な顔してんのよ」
「平気じゃない」
コストイラが眉間を指で摘まみ、揉み解している。アシドは喉を押さえて、口を開けた。アストロは恨みがましくシキを見るが、シキは無表情かつ平坦な声で反論した。
パッと道の端の行燈に火が灯った。行燈の火すらも気温に影響するので、とっとと消したい。
ボボボと連続して火が着いた。
コストイラがわざとらしく指を動かし、数える。
「98、99、あれで100か」
目線の少し上、地下が一段低くなっているところの出っ張りに、行燈があった。全ての行燈に、青で染色された布が貼り付けられている。光は透過していて、しっかりと炎が確認できる。
ズモモとレッドジャイアントが立ち上がる。そして、レッドジャイアントが腕を振るって攻撃してくる。
先頭にいたコストイラは刀を抜き、何でもないかのように腕を切り落とし、流れるように体まで刻んだ。
もはや息をするように自然な動きだ。
パッと行燈の炎が一つ消えた。コストイラ達が見逃すはずがない。しかし、それが何を表しているのかが、分からないので無視する。
次から次へとレッドジャイアントが立ち上がる。数は数えたくない。気持ちを下げたくないからだ。
「パレードか!?」
「罠かもしれません」
「どっちでもいい。倒すぞ」
アシドが槍を振るいながら舌を打つ。アレンが即座に別の可能性を持ち出すが、コストイラが2つとも切った。
まだ、レベルが2桁になりたての頃は、かなり苦戦していたが、今では一振りで倒せる相手だ。
さすがに何体も倒していると気付いてくることがある。レッドジャイアント一体倒すと、行燈の火が一つ消える。一体に一つが対応している。この行燈はいわば命の灯火だ。
倒せば火が消える。つまり、暗さが戻ってくる。とはいえ、アレンにとって数少ない経験値稼ぎの場なので、最大限まで活用したい。
ぼんやりとした闇が場を支配し始めた。アレンの目では、もう分からなくなってきている。
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闇の中という悪環境もそうなのだが、この暑さの中でもパフォーマンスが落ちないのは、どういうことなのだろうか。
コストイラが刀を振るい、97体目のレッドジャイアントを切り飛ばした。それと同時にシキが98体目と99体目を切り刻んだ。
シキからの当てつけに若干キレながら、100体目を待つ。
100個目の行燈は少し大きめで、その後ろからぬらりと、手が現れた。行燈の大きさは分からないが、おそらく普通サイズだ。
そのままゆっくりと顔を出す。黒く長い髪と、牛のような短い角を持っている。身体はキモノを着ており、白地の布に、青の花柄だ。
少女が行燈よりも身を乗り出すと、そのまま落ちた。
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