メグルユメ

パラサイト豚ねぎそば

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23.大空洞

6.煉獄の重兵

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 ズベシャア。

 少女が派手に落ちてきた。コストイラ達は目を丸くして、互いの顔を見る。
 どうする? という問いの目線に、何も答えられない。

 少女はもぞもぞと体を動かしている。立ち上がろうとしているのだろう。何とか両手を胸の横につけ、もぞもぞと動く。俯せになっている体は、持ち上がることなく、寝返りすらうたない。
 少女は驚いた顔をしている。何がしたいのか分からないので、驚きたいのはこちら側だ。

『助けて』

 少女が声を出した。何人もの声が重なり合い、掠れたような声だ。平素暗闇で聞こえてきたら震え上がっていただろう。

 しかし、現在の姿が間抜けなので、あまり怖くない。

 エンドローゼがビビりながら少女に近づく。その肩に手を置いて、レイドが止めた。

「もしもの時、回復術士がいなくなるのはマズイ。私が行こう」
「え、あ、う」

 理解してしまった回復術士は何も言えない。

 レイドが少女のもとに寄る。

『助けて』
「何をしてほしいのだ」
『立たせて』
「フム」

 レイドは少し屈み、脇の下に手を入れ、立たせる。しかし、足に力が入らないのか、膝から崩れ落ちそうになる。

『た、立てない!?』

 顔を驚きに染め、必死にレイドにしがみつく。大丈夫だと判断したエンドローゼが少女に近づく。
 触診のため、ツンツンと少女の足をつつく。感覚がないのか、少女は反応しない。

 エンドローゼが回復魔法を掛けようと腕まくりをして、目を瞑った時、レイドが2人を掴んで投げた。

 何事かと思うと、奥から巨大な剣が見えた。

 剣が振り下ろされる。地面が抉れ、瓦礫が舞う。一緒になってレイドが空にいる。頭や体から血を噴き出して。

「レイドさん!」
「シキ、行け!」

 コストイラが指さして指示を出す。シキは命令を受け、跳躍する。空を飛ぶ岩に着地し、蹴り出して、レイドをキャッチする。そのまま、エンドローゼの目に着地した。

 エンドローゼが回復を始める。

「咄嗟に身を固めることができてよかった」
「s、しゃ、喋らないでください!」
「う、ウム」

 技を使うことができたことを誇ろうとすると、エンドローゼに叱られた。回復に関しては、いつだって真剣だ。
 レイドの脇腹は、半ばまで斬れていた。しかし、硬く変形しづらい鎧を身に着けていたおかげで、内臓が出てこなかった。

 急だったのに、よく反応できたと思う。これは誇れる部分だ。しかし、同時に後悔した。楯がこんなに柔らかくてどうする。

 レイドはいつまで経っても柔らかい楯のままだ。強き刃とは大違いだ。

 その強き刃、コストイラはソードジェネラルと対峙していた。5m近い体躯を包む鎧が、青い光を反射している。

 この灼熱の中、晒され続ける鎧はいかほどの熱を蓄えているのだろうか。触れたら皮膚が融けて癒着したという事態は避けたい。

 どう攻めるのかを考えていると、ソードジェネラルが突進してきた。
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