メグルユメ

パラサイト豚ねぎそば

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24.深層の備え

7.いざ、しんそうへ

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 アレンは良くも悪くも凡人だ。

 普通の人よりも多くのものに恵まれているが、それらを活用する才がない。総合的に見て、アレンは凡人だ。

 だからこそ、この戦いに、ついていけない。敵の姿を目撃した瞬間、逃げ出そうとした。アレンではどうすることもできないからだ。

 自分がしなくても誰かがしてくれる。強い仲間がいるもの。

 アレンは自分のその考え方が嫌いだ。一緒に旅をしているのに人任せ。良いところだけ持っていく嫌な奴。それがアレンの自己評価である。
 自分も誰かの役に立ちたい。チームの1人でありたい。

 もう一度言う。アレンは凡人だ。自分の考えを現実のものにする力がない。
 それでも自分はチームの一員だという考えが行動を起こさせる。

 アレンが山を下った。シキとアシドを見つけるために。

 しかし、悲しいことをもう一度言う。アレンには自分の考えを現実のものにする力がない。

 山を下り始めた直後、シキとアシドが戻ってきた。アレンが何かする必要は全くなかった。

 アシドと目が合う。何で下ってんだ? みたいな目をされる。

 急いでブレーキをかけて、頂上を見る。振り返るとすぐに駆けだす。まだ間に合う。まだ何もしていない。このままではただのお荷物だ。

 アレンが必死に光へと手を伸ばしながら、頂上に辿り着く。

 土色の少女は静かに倒れていた。戦いはもう終わったらしい。

 また今回も、何もできなかった。

 アレンが膝をつく。そんなアレンに小さな手が差し出された。

 シキだ。

「行こう」

 シキの言葉に力なく頷く。アレン達は光の中へ飛び込んだ。




 アレンは凡人だな。アレン自身もそう言っているけどよ、その自己分析は正しいと思うぜ。悲しいことだけどな。
 だけどな、アイツには魔眼があるだろ? あれをうまく使えりゃ、最強への道に乗れると思うんだけどな。

 ま、アイツはスタータスしか見れないって謙遜するけどな。他の状態は分からないって言ってたし、使い勝手のいいものじゃねェのかもな。

 アイツは矢面に立つのが好きじゃないっぽいから、使うのは安全を確保してやってからだな。
 あの能力を生かすのも殺すのも、オレ達次第だな。




 アレン? 凡人よね。言っても仕方ないけど、とても凡庸な能力よね。
 褒めるとしたら、そこに留まらないようにする努力は、かなりしていると思うわ。本人には言わないけど。

 アイツはかなり特異なものを持っているわよね。あれがどう見てるのかは知らないけど、私ならどう活用するかしらね。

 でも、活用できる気がしないわ。あのガレットの書を使わないと、情報が分からないんでしょ? 相手のステータスを知るだけだったら、かなり使いづらい能力だわ。

 この能力って何のために作られたものなのかしらね。




 アレンについて? その何か知りたいんだよ。質問がふわっとしすぎなんだよ。

 パーティの役割? かなり助かっているぜ。アイツがいるから、皆が好き勝手動くわけだしな。
 苦労かけているって自覚はあるぜ。申し訳ないけどな。労いの言葉とかはかけているけど、駄目っぽいな。アイツにはじゃあ、迷惑かけるな、みたいな目をされたぜ。

 でもアイツ。そういう態度はとるのに、口には出さねぇでいやがる。

 オレ達のこと、あんま信用しねェのかもな。




 アレンか。かなり苦労していると見える。その苦労のいくらかを取り除いてやりたいが、一向に負担が減っているように見えない。

 アレンには特殊な目がついている。アレンはその目を通して、いったいどのような世界が見えているのだろうな。

 私達には分からない領域での苦しみは、私達では察することができない。

 ウム。




 あ、ア、アレンさん、ですか?と、と、とても多くの事をかーんがえていらっしゃると思います。

 わ、わ、私は考えたことを、テンパって話し、てーしまうので、冷静に、ち、ち、ちん、鎮静でいらっしゃるので、う、う、う、羨ましいです。
 わ、わ、私のこれは、き、吃音は、あ、焦ってしまうと、発症してしまうんですよね。

 丁寧に、話せば、詰まらずに、話せるんですよね。

 ア、アレンは、時々やさづれますけど、き、き、き、基本的に優しい方ですよ。

 私は好きなので、さ、最後まで一緒に旅したいですね。あ! す、す、す、好きって、ちょ、ち、違いますよ!? そ、そんな、そ、その、違いますからね!?




 アレン?

 心が好き。




 某社長が襲撃を受けた日から、かなりの時間が経った。その間に起きた爆破事件は全部で3回。そのいずれもが、死者なしであったが、その威力はエスカレートしていた。

 5回目、6回目の被害者は、すぐに退院できたが、7回目の被害者は、かなりの重傷であり、義手義足をつけて生活しなければいけなくなった。

 ここまで大胆に行動しているにもかかわらず、犯人は尻尾さえ掴ませてくれない。

 犯人は一体何者なのだろうか。
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