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27.川の流れ着く先
3.渓谷の合戦
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『ゴォオ!!』
気合十分な一撃だが、遅すぎて当たらない。遅すぎると言ってもコストイラやシキ基準の話だ。アレンやエンドローゼにとっては十分脅威である。
そんなこと関係ないとばかりにシキが剣に足を乗せた。まさかと思ったが、シキは平然とそこから跳び上がり、ダークジェネラルの頭を蹴飛ばした。
黒鎧の騎士が頭を押さえながらよろめいた。
コストイラがそのまま倒そうと走り寄る。そこでダークジェネラルは無茶な体勢から大剣を振った。
コストイラは体をかなり捻りながら跳び躱す。しかし、無理に捻りすぎたのか、腰を痛めた。少し顔を歪めたが、気取られないようにすぐにサメのような笑みを張り付けた。
コストイラが空中で刀を振り下ろす。肌が見えている中に急所がないため、腕を狙った一撃だ。
しかし、筋肉の束が邪魔をし、断つことができなかった。腕半ばで刀が止まる。
そこでズドンとダークエンジェルが尻を着いた。黒鎧のシキが腕をぶん回し、コストイラを飛ばす。
ダークジェネラルは肘をついて瞬発的に立ち上がった。
目の前には蒼髪の男が身を反らしていた。何がこれから起こるのか分かってしまう。
アシドが槍を投げつける。ダークジェネラルの兜の隙間に入り、眉間を貫いた。
コストイラが滅茶苦茶落ち込んでいる。アストロもアシドも理由を察してしまい、目を逸らした。どうせ最近活躍できてねぇなぁとか思っているんだろ?
「コストイラ、どうしたのだ?」
レイドが尋ねてしまった。あ、面倒なことをしやがったな、と思いながら、レイドのことを睨む。
「最近のオレってぶっ飛ばされてばっかで活躍できてねぇなぁって思ってよ」
ほら、やっぱり、ト思いながら、コストイラを見る。レイドは自身の顎に触れながら、コストイラの活躍を振り返る。別に活躍していないわけではないだろ。レイドの頭の中では活躍できていないと思っていないため、ピンとこない。
コストイラの意見は誰にも共感されなかった。
夜が更けた街をネオンが煌々と照らしている。ネオンの文字は”BYOーIN”と書いてあるが、どうにも信用できない。
いつ見ても慣れない電飾のデコレーションに辟易しつつ、一人の技術者が中に入った。
最初に目に飛び込んでくるのはあまり手入れのされていないように見える診察室だ。患者が寝たり座ったりするところは清潔にしているものの、そこ以外は血肉が付着したままだ。
男は溜息を吐きつつ、慣れた足取りで奥へと進む。
『ミイワヅさん。お客様ですよ~』
そこで声変わりのしていない少女の声が聞こえた。男は考える。あれに娘がいるはずがない。あの見た眼による女がいるか? ついに人体錬成を行ったのか?
「誰かと思えば、テガイか」
「あぁ、呼びつけられたから、わざわざ来てやったよ」
テガイは改めて親友の顔を見る。返り血や肉片が付着した革製のエプロンと手袋。目には開瞼器、口には開口器が装着されている。
あまりにも非常識な見た目をしているが、その思想はかなり常識的だ。まぁ、本当に常識人なら、こんな格好をしないだろう。
癒院に存在する学院の同級生であるが、友人と呼べる存在は自分しかいないだろう。
テガイはニヤつきながら少女を見る。
「その子か?」
「あぁ、頼めるか?」
「ふん。誰に言っていやがる。任せておけ」
テガイは河童だ。その技術はピカ一だ。ミイワヅは昔馴染みを頼ったわけだ。
青行燈はキョトンとした顔でミイワヅを見る。何も知らない少女には恐怖が見えている。ミイワヅは大きな掌で頭をワシワシと撫でた。少女の頭に肉片がついているが、少女が何も言わない。
「状態を見せてくれ」
そういうと思っていたミイワヅは、すでにカルテを渡す直前だった。
「分かっているじゃないか」
「私を誰だと思っている」
フッと鼻で笑って受け取った。
気合十分な一撃だが、遅すぎて当たらない。遅すぎると言ってもコストイラやシキ基準の話だ。アレンやエンドローゼにとっては十分脅威である。
そんなこと関係ないとばかりにシキが剣に足を乗せた。まさかと思ったが、シキは平然とそこから跳び上がり、ダークジェネラルの頭を蹴飛ばした。
黒鎧の騎士が頭を押さえながらよろめいた。
コストイラがそのまま倒そうと走り寄る。そこでダークジェネラルは無茶な体勢から大剣を振った。
コストイラは体をかなり捻りながら跳び躱す。しかし、無理に捻りすぎたのか、腰を痛めた。少し顔を歪めたが、気取られないようにすぐにサメのような笑みを張り付けた。
コストイラが空中で刀を振り下ろす。肌が見えている中に急所がないため、腕を狙った一撃だ。
しかし、筋肉の束が邪魔をし、断つことができなかった。腕半ばで刀が止まる。
そこでズドンとダークエンジェルが尻を着いた。黒鎧のシキが腕をぶん回し、コストイラを飛ばす。
ダークジェネラルは肘をついて瞬発的に立ち上がった。
目の前には蒼髪の男が身を反らしていた。何がこれから起こるのか分かってしまう。
アシドが槍を投げつける。ダークジェネラルの兜の隙間に入り、眉間を貫いた。
コストイラが滅茶苦茶落ち込んでいる。アストロもアシドも理由を察してしまい、目を逸らした。どうせ最近活躍できてねぇなぁとか思っているんだろ?
「コストイラ、どうしたのだ?」
レイドが尋ねてしまった。あ、面倒なことをしやがったな、と思いながら、レイドのことを睨む。
「最近のオレってぶっ飛ばされてばっかで活躍できてねぇなぁって思ってよ」
ほら、やっぱり、ト思いながら、コストイラを見る。レイドは自身の顎に触れながら、コストイラの活躍を振り返る。別に活躍していないわけではないだろ。レイドの頭の中では活躍できていないと思っていないため、ピンとこない。
コストイラの意見は誰にも共感されなかった。
夜が更けた街をネオンが煌々と照らしている。ネオンの文字は”BYOーIN”と書いてあるが、どうにも信用できない。
いつ見ても慣れない電飾のデコレーションに辟易しつつ、一人の技術者が中に入った。
最初に目に飛び込んでくるのはあまり手入れのされていないように見える診察室だ。患者が寝たり座ったりするところは清潔にしているものの、そこ以外は血肉が付着したままだ。
男は溜息を吐きつつ、慣れた足取りで奥へと進む。
『ミイワヅさん。お客様ですよ~』
そこで声変わりのしていない少女の声が聞こえた。男は考える。あれに娘がいるはずがない。あの見た眼による女がいるか? ついに人体錬成を行ったのか?
「誰かと思えば、テガイか」
「あぁ、呼びつけられたから、わざわざ来てやったよ」
テガイは改めて親友の顔を見る。返り血や肉片が付着した革製のエプロンと手袋。目には開瞼器、口には開口器が装着されている。
あまりにも非常識な見た目をしているが、その思想はかなり常識的だ。まぁ、本当に常識人なら、こんな格好をしないだろう。
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テガイはニヤつきながら少女を見る。
「その子か?」
「あぁ、頼めるか?」
「ふん。誰に言っていやがる。任せておけ」
テガイは河童だ。その技術はピカ一だ。ミイワヅは昔馴染みを頼ったわけだ。
青行燈はキョトンとした顔でミイワヅを見る。何も知らない少女には恐怖が見えている。ミイワヅは大きな掌で頭をワシワシと撫でた。少女の頭に肉片がついているが、少女が何も言わない。
「状態を見せてくれ」
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「分かっているじゃないか」
「私を誰だと思っている」
フッと鼻で笑って受け取った。
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