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30.月の船
6.見張る者
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「ん?」
ティエナがぴたりと足を止めた。他の警邏達もぴたりと止める。
「どうしましたか? 隊長」
「この先、嫌な予感がビンビンにしているよ」
「何かあるのでしょうか」
「さぁね。私のこれは完全な勘だ。理屈も何もないよ」
ティエナが自分の右手を見つめる。剣を持つ手が震えている。戦闘時には震えが止まってくれるが、これこそがティエナの勘だ。
ドォーンと地面が揺れた。樹木が揺れて落葉し、小鳥が飛び去った。
「あっちの方角、どの部隊? 胃か、昴か?」
「分かりません。望遠鏡にて調べてみましょう」
警邏の一人が望遠鏡で北西の方角を見つめる。
森の中では火気厳禁なのだが、見つめる先には炎が大きくなっており、煙が出ている。
「……爆弾の罠、だろうね」
ティエナの快活さが鳴りを潜めている。太陽が沈んでおり、明るさがなく、警邏達の雰囲気も重い。
そのことはティエナも分かっている。しかし、いきなりテンションを上げることはできない。勝利でもって高らかに太陽と返り咲くのだ。
「申し訳ございません。この先へ進ませるわけにはいきません」
「誰!?」
ティエナ達奎の前に表れたのは、全身を黒色で覆った集団。そして、団長と思われる人は背広を着ていた。
ティエナの勘が、言っている。この背広の男はレベル55近い強者だ。レベル57のティエナでは技一つで逆転されかねない。この男はティエナが引き受けなければ。
「私は角のリーダー、パラス。ここで貴方方には引き返してもらいましょう。ここからは通しません」
「そんなことするわけない!」
ティエナが剣を振るい、パラスは仕込み杖を抜いて受け止めた。
胃リーダーのヴォーフォルが咳き込みながら立ち上がった。胃の先頭を歩いていた者が接敵した途端、爆発した。
相手は爆弾魔。爆弾が使われるのは想定していたはずだ。しかし、効果は絶大だ。
胃の半分が弾け飛んだ。有り得ない被害だ。有り得てはならない被害なのだ。
「くそっ」
ヴォーフォルが悪態を吐こうとした途端、声が聞こえた。主は向こうの集団氐のリーダーのモントモだった。この爆弾は向こうにとっても意外だったのだろう。
「パズレイスの奴め、なぜこんなところに爆弾があるんだよ」
モントモが剣を立てて、立ち上がった。服がはだけ、頭から血を流している。
「チ」
モントモがやけっぱちに突っ込んでくる。
ヴォーフォルが舌打ちをして迎え撃つ。剣と剣が混じり合い、火花が散る。五合十合と剣戟が続き、互角の斬り合いとなった。
火の手が広がる。森のどこまで広がるのかを心配したいが、その瞬間、ヴォーフォルは肉塊になるだろう。
「私は亢のクレアミ。ここであなたには死んでもらいます」
「私は婁のナンバ。死にません。ここを通ります」
「俺は心のフーロンステスナカゴ。悪ぃがお前は俺の贄だ」
「私は畢のレインボー。贄? 違うね。私は輝くための土壌だよ。ティエナ様が輝くための、ね!」
「私は参のエアジャム。いざ尋常に」
「何で名前を教えなきゃいけねぇんだよ。阿呆か?」
「あっちは房のメンソイ。あっちと楽しく踊りましょう?」
「私は昴のエソスナ。私は貴族ではないので踊りなどしたら、足を踏んでしまうよ」
「觜のニブキ」
「尾のカーシタレ」
七者七様。それぞれの場所が激突した。
ティエナがぴたりと足を止めた。他の警邏達もぴたりと止める。
「どうしましたか? 隊長」
「この先、嫌な予感がビンビンにしているよ」
「何かあるのでしょうか」
「さぁね。私のこれは完全な勘だ。理屈も何もないよ」
ティエナが自分の右手を見つめる。剣を持つ手が震えている。戦闘時には震えが止まってくれるが、これこそがティエナの勘だ。
ドォーンと地面が揺れた。樹木が揺れて落葉し、小鳥が飛び去った。
「あっちの方角、どの部隊? 胃か、昴か?」
「分かりません。望遠鏡にて調べてみましょう」
警邏の一人が望遠鏡で北西の方角を見つめる。
森の中では火気厳禁なのだが、見つめる先には炎が大きくなっており、煙が出ている。
「……爆弾の罠、だろうね」
ティエナの快活さが鳴りを潜めている。太陽が沈んでおり、明るさがなく、警邏達の雰囲気も重い。
そのことはティエナも分かっている。しかし、いきなりテンションを上げることはできない。勝利でもって高らかに太陽と返り咲くのだ。
「申し訳ございません。この先へ進ませるわけにはいきません」
「誰!?」
ティエナ達奎の前に表れたのは、全身を黒色で覆った集団。そして、団長と思われる人は背広を着ていた。
ティエナの勘が、言っている。この背広の男はレベル55近い強者だ。レベル57のティエナでは技一つで逆転されかねない。この男はティエナが引き受けなければ。
「私は角のリーダー、パラス。ここで貴方方には引き返してもらいましょう。ここからは通しません」
「そんなことするわけない!」
ティエナが剣を振るい、パラスは仕込み杖を抜いて受け止めた。
胃リーダーのヴォーフォルが咳き込みながら立ち上がった。胃の先頭を歩いていた者が接敵した途端、爆発した。
相手は爆弾魔。爆弾が使われるのは想定していたはずだ。しかし、効果は絶大だ。
胃の半分が弾け飛んだ。有り得ない被害だ。有り得てはならない被害なのだ。
「くそっ」
ヴォーフォルが悪態を吐こうとした途端、声が聞こえた。主は向こうの集団氐のリーダーのモントモだった。この爆弾は向こうにとっても意外だったのだろう。
「パズレイスの奴め、なぜこんなところに爆弾があるんだよ」
モントモが剣を立てて、立ち上がった。服がはだけ、頭から血を流している。
「チ」
モントモがやけっぱちに突っ込んでくる。
ヴォーフォルが舌打ちをして迎え撃つ。剣と剣が混じり合い、火花が散る。五合十合と剣戟が続き、互角の斬り合いとなった。
火の手が広がる。森のどこまで広がるのかを心配したいが、その瞬間、ヴォーフォルは肉塊になるだろう。
「私は亢のクレアミ。ここであなたには死んでもらいます」
「私は婁のナンバ。死にません。ここを通ります」
「俺は心のフーロンステスナカゴ。悪ぃがお前は俺の贄だ」
「私は畢のレインボー。贄? 違うね。私は輝くための土壌だよ。ティエナ様が輝くための、ね!」
「私は参のエアジャム。いざ尋常に」
「何で名前を教えなきゃいけねぇんだよ。阿呆か?」
「あっちは房のメンソイ。あっちと楽しく踊りましょう?」
「私は昴のエソスナ。私は貴族ではないので踊りなどしたら、足を踏んでしまうよ」
「觜のニブキ」
「尾のカーシタレ」
七者七様。それぞれの場所が激突した。
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