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30.月の船
12.皆の想い
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護れなかった。
しかし、僕にはどうしようもないことだった。
そもそも僕には、敵を察知するような能力はない。そして、人の犠牲となる覚悟があっても、それを実行に移すような勇気がない。
このように偉そうに語っているが、僕の本質は凡人だ。急に体が動いて人を助けるなんてできない。
僕にできることはただ無事を祈るだけだ。
あぁ、僕は何て無力で、何もできないのだ。
護れなかった。
本気で走れば間に合ったかもしれない。しかし、咄嗟に体が動かなかった。
オレは勇者だ。勇者一行の一員だというのに……。
結局オレは何もできなかった。今までもコストイラやアストロの指示に従って生きてきて、そうでなくても誰かの真似でしか生きていない。
おい、何でだ?
オレは何者だ? オレは勇者だ! 勇者なんだよ! 勇者、何だよ……。
なんでだよ。何でなんだよ。何で理想はこんなにも遠いんだよ。
オレって、こんなにも何もできないのか。
護れなかった。
勘に頼っていたところがあった。驕りがあった。これは反省すべき点だ。
過ぎ去ったことをくよくよしても仕方がない。嘆いて変わることなどほとんどない。エンドローゼには悪いが、これは成長のチャンス。油断をもうしないための礎となる。
もっとだ。もっと。もっと。もっと……もっと強い奴と戦いてぇ。
命のやり取りをすれば。もっと命を落としかねない場所に身を置けば、オレは成長できる。
大丈夫。オレはまだ強くなる。
護れなかった。
私は結局何もできていない。勇者の楯として護ることを誓ったにもかかわらず、護れていない。守護することを胸に刻んだにもかかわらず、護れていないではないか!
拳が壊れてしまいそうだ。この大剣の柄も握り潰してしまいそうだ。
もっと強くならなければ。
護らなければ。護らなければ。
なぜ私はいつも守れないのだ。
いつも、いつも、いつも。
あぁ、虎になってしまいそうだ。
護れなかった。
エンドローゼは妹のように思えていた。しかし、強さや頼りになりやすさでいえば、妹どころか母のようですらあった。
エンドローゼの強さや心強さは身に染みて分かっているつもりだった。しかし、今エンドローゼが倒れて、初めて分かった。私が思っている以上にエンドローゼはチームの中心であり、今の私の精神的支柱でもあった。
何としてでも助けたい。心がざわめいている。
心の整理がつかない。
何をしているの? 早く起きなさい。やりたいこと、何一つ終わらせていないでしょ?
私と一緒に恋バナとか、シキの応援とか、好きな人への告白とかしましょ?
護れなかった。
私が察知できていれば、エンドローゼはこんなことにならなかった。私が強ければ、もっと力があれば。
エンドローゼに申し訳ないという気持ちが溢れてくる。
私はまだどこか遊び気分だったのかもしれない。
エンドローゼの敵はレイドが討ちに行った。コストイラやアシドもついて行ったため、倒せないということはないだろう。
レイドだって決して弱くない。一人で倒すことくらい簡単だろう。
私達は事後処理はできる。しかし、事前察知、事が起きる前に終わらせることに関しては弱すぎる。
力が欲しい。どうすれば皆を護り切れるのだろうか。
「くそ」
男が一人悪態を吐いていた。男の前ではパズレイスがおとなしく連行されていた。
「パズレイスのやつ。平気だったんじゃねぇのかよ」
ヴァヴィレイズは舌を打ちながら、森の中に身を隠した。
しかし、僕にはどうしようもないことだった。
そもそも僕には、敵を察知するような能力はない。そして、人の犠牲となる覚悟があっても、それを実行に移すような勇気がない。
このように偉そうに語っているが、僕の本質は凡人だ。急に体が動いて人を助けるなんてできない。
僕にできることはただ無事を祈るだけだ。
あぁ、僕は何て無力で、何もできないのだ。
護れなかった。
本気で走れば間に合ったかもしれない。しかし、咄嗟に体が動かなかった。
オレは勇者だ。勇者一行の一員だというのに……。
結局オレは何もできなかった。今までもコストイラやアストロの指示に従って生きてきて、そうでなくても誰かの真似でしか生きていない。
おい、何でだ?
オレは何者だ? オレは勇者だ! 勇者なんだよ! 勇者、何だよ……。
なんでだよ。何でなんだよ。何で理想はこんなにも遠いんだよ。
オレって、こんなにも何もできないのか。
護れなかった。
勘に頼っていたところがあった。驕りがあった。これは反省すべき点だ。
過ぎ去ったことをくよくよしても仕方がない。嘆いて変わることなどほとんどない。エンドローゼには悪いが、これは成長のチャンス。油断をもうしないための礎となる。
もっとだ。もっと。もっと。もっと……もっと強い奴と戦いてぇ。
命のやり取りをすれば。もっと命を落としかねない場所に身を置けば、オレは成長できる。
大丈夫。オレはまだ強くなる。
護れなかった。
私は結局何もできていない。勇者の楯として護ることを誓ったにもかかわらず、護れていない。守護することを胸に刻んだにもかかわらず、護れていないではないか!
拳が壊れてしまいそうだ。この大剣の柄も握り潰してしまいそうだ。
もっと強くならなければ。
護らなければ。護らなければ。
なぜ私はいつも守れないのだ。
いつも、いつも、いつも。
あぁ、虎になってしまいそうだ。
護れなかった。
エンドローゼは妹のように思えていた。しかし、強さや頼りになりやすさでいえば、妹どころか母のようですらあった。
エンドローゼの強さや心強さは身に染みて分かっているつもりだった。しかし、今エンドローゼが倒れて、初めて分かった。私が思っている以上にエンドローゼはチームの中心であり、今の私の精神的支柱でもあった。
何としてでも助けたい。心がざわめいている。
心の整理がつかない。
何をしているの? 早く起きなさい。やりたいこと、何一つ終わらせていないでしょ?
私と一緒に恋バナとか、シキの応援とか、好きな人への告白とかしましょ?
護れなかった。
私が察知できていれば、エンドローゼはこんなことにならなかった。私が強ければ、もっと力があれば。
エンドローゼに申し訳ないという気持ちが溢れてくる。
私はまだどこか遊び気分だったのかもしれない。
エンドローゼの敵はレイドが討ちに行った。コストイラやアシドもついて行ったため、倒せないということはないだろう。
レイドだって決して弱くない。一人で倒すことくらい簡単だろう。
私達は事後処理はできる。しかし、事前察知、事が起きる前に終わらせることに関しては弱すぎる。
力が欲しい。どうすれば皆を護り切れるのだろうか。
「くそ」
男が一人悪態を吐いていた。男の前ではパズレイスがおとなしく連行されていた。
「パズレイスのやつ。平気だったんじゃねぇのかよ」
ヴァヴィレイズは舌を打ちながら、森の中に身を隠した。
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