メグルユメ

パラサイト豚ねぎそば

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31.サディスホユー

5.珍奇な廃墟

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 勇者一行は薄霧の中を進む。このままだと迷子になりかねないため、互いに手を繋いでいる。
 物理的に接触をする大義名分があるのは良いのだが、少しばかり緊張してしまう。

「アレン?」
「だ、大丈夫ですよ?」
「まだ何も言ってない」

 焦りすぎてまともな会話ができなくなっている。

「どこかに休めるポイントはないかしら。一度状況を確認しておきたいわ」
「そうだな。とりあえず雨風凌げたらいいんだけど」
「そこまでの贅沢は言わないわ」
「あれとか行けそうじゃね?」

 アシドがある一点を指差した。そこには明らかに何かありそうな家があった。

「あぁ、確かに防げそうだ」
「大丈夫なんですか? 明らかに何かいますよ」
「何とかなるさ」
「楽観」

 たった一言で突っ込まれ、自身の扱いの雑さに、少し肩を落とした。

「少しお邪魔させてもらうか」
「ほんじゃ、ま、邪魔するぜ~」
「その入り方、盗賊か借金取りでしょ」

 またしても要らないボケ、しかも分かりづらいものをかますコストイラに、溜息を吐いた。
 コストイラが扉を押すと、それに合わせて扉が外れた。バタンと倒れた扉が誇りを舞い上げる中、コストイラが呆然とする。まさか、そう開くとは思わなかったのだ。

「え、これオレ? オレが悪いのか?」
「いえ、ただの老朽だと思うけど、煙ったいわね。喉がイガイガする」

 アストロが何度も咳払いして、気持ち悪いものを取ろうとする。

「こんなボロボロで埃だらけ。こんな廃墟に何がいるんだよ」
「足のない幽霊」

 アシドの疑問にコストイラが即答した。アシドはうげ、という顔をしながらあたりを見るが、蜘蛛やゴキブリくらいしかいない。

「腰を下ろすのに抵抗はあるわね」

 そもそもこの家に入った理由は、現状を確認したいからだ。本当にここは休めるか?
 家具を改めて見る。ちょっとだけ大きい。どこか通常のそれよりかなり大きい。
 木製の机や椅子には喰われた跡が見える。

「いるわよね。やっぱり」
「デッカイ虫がな」
「種類によりますよね。取り乱すか否か」
「ゴキなら悲鳴出すわ」

 アストロの確認にコストイラは確信めいて答える。アレンがブルリと身を震わせると、アシドが冗談のように事実を返した。
 そして、少し奥に進んだだけで、大きな虫を発見してしまった。




 ガチャリとドアが開いた。

 おこぼれを貰おうと思っていた不良達が、ニヤつき顔をしながら女を待つ。もう少しで発育の良い少女の体を堪能できる。
 不良達が目を丸くした。少女から女に変わっていることや、瞳が赤くなっていること、髪が腰元まで伸びていることなど、気になる点はいくらでもあげられる。しかし、不良達の反応の要因はそこではない。

 女の体に白濁の液はなく、真っ赤な液しかなかったのだ。その赤は最も身近でよく知る赤、血だ。女に目立った外傷はない。では、何の血だ?
 そんな事詳しく調べなくても分かる。同輩の血だ。

「おい、姉ちゃん。一緒に入った奴等はどうした。部屋の中か?」
『オン? 違うぞ、あの者等は我の腹の中だ。ハラエク・・・・

 腹の中という俄かに信じ難いことを言う女は、不良の一人の名を口をした。真実が確定したように思えた。

「て、め。アイツ等に何をしやがったッ!?」
『じゃから、腹の中におると言っているのじゃから、食ったに決まっておるじゃろう。さては貴君は頭悪いな?』
「このアマ!!」

 激高した不良が鉞を振りかぶった。
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