超不人気職【治療術師】になってしまったので、パーティから追放されないようになんとか頑張ります

玄米

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第一章 出会いと始まり

我が覇道の始まりと、ちょっと不穏な空気

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「全人類は冒険者となり、生きる術と命の尊さを知らねばならない」

 おおよそ五百年前、神から与えられた啓示。
 これによって、世界中の人々は17歳の誕生日を迎えて初めての春に、神が定めた者とパーティを組み、冒険者として旅立たなけらばならなくなった。

 しかし、凶悪な魔物が溢れる外の世界に、非力な人間が丸腰で出て行くというのは自殺行為に等しい。

 だからこそ、神は人間に一つの能力を与えた。

 それこそが”天職”である。
 天職を授けられた人間は、瞬く間に強力なスキルを得る事ができるのだ。
 しかし、当初は平等と思われたその天職にも、今や目に見える格差が存在する。

 中でも一番の不遇職はと言うと……


 治療術師。

 簡単な回復スキルが使えるが……
 各地のパーティ内で追放される事例が多発しており、巷では役立たずとして有名なのである。

 そして何を隠そう――――

 我、『レギ・ルイン』の天職なのだ…………



◇◆◇



 10の誕生日を迎えて最初の春。
 子供たちは教会にて、初めて自分の天職を知る。

 ソードマスター、拳闘士、賢者……様々な天職の名が飛び交い活気づく中、我は一人……絶望していた。

 そう、治療術師という天職を授かってしまったのである。
 こうなってしまっては、5年後……パーティから追放されてしまう可能性が高い。

 更に、初のパーティから追放される――というのは、その後の活動に大きな影を残してしまうのだ。
 新しいパーティを探そうにも、当然、そんな者を拾ってくれるところは無いし、普通の働き口を見つける事も難しい。

 だから、なんとしても……神の定めた3年という期間だけは、追放される事無く、指定されたパーティで過ごさなくてはならないのだ。

 ではどうするか……
 考えの果てに辿り着いたのは、ある人物への弟子入りだった。

 修行の日々は辛いものだったが、おかげで様々な教えを取り入れる事ができたと今では思う。


 そして、師の元で5年を過ごした後……ようやくその日はやってきた。



 旅立ちの予行演習は何度もやったが、やはり緊張は拭えない。
 心臓が高鳴る中、待ち合わせの場所で待っていると……

「あっ……!」

 すぐ後ろで声が上がった。
 直ぐに振り向くと、そこでは三つの人影がこちらに目を向けていた。

 同時に、これが神の加護と言うべきか――三人が我のパーティメンバーであることもすぐにわかった。
 勿論それは向こうも同じ事のようで、センターに立つ赤毛の少年がはつらつと話し始める。

「へへっ、ようやく見つけたぜぇ~! 最後の仲間っ!」

「……アンタねえ、ここまでは全部神様のお導きなんだから……見つけたってのはちょっと違うんじゃない? まあ……迷ったのは確かだけど」

「…………リーダー、方向音痴……」

 やたらとテンションが高い少年とは裏腹に、やや下がり気味な言葉を連ねる両サイドの少女たち。
 何だか置いてきぼりを食らっている気がするが……そんな我の心情を察してくれたのか、右隣で立つ金髪の少女が慌てて頭を下げてきた。

 「ご、ごめんなさいっ! 紹介が遅れたけど……こほんっ、私は『シーラ』”パラディン”としてやっているわ。で、あっちの帽子を被った子が”フラムウィッチ”の『フウ』よ」

「……よろしく……」

「……で、こいつが一応、リーダーの”勇者”……『ハク』ね!」

「むっ……シーラ、お前……一応って一体――――」

 反抗する勇者――ハクの口を強引に塞いで、まあまあと宥めるパラディン――シーラ。
 確かに我としても、この見るからにアホ面な赤毛勇者がリーダーというのは不本意なのだが……

 ――原則として、初期パーティでは勇者がリーダーを務める。

 という規定がある以上、逆らうこともできまい。

 などと考えていたら、今度は三人の視線が一気にこちらへ向いていた。

「えっと、それで……貴方は……」

 ふふ、皆の期待が集まるというのは中々に気分が良いものだ。
 ……が、我にとってはここからが真剣勝負。

 師匠の教えによれば、パーティを組んだ際、自己紹介という部分はかなり重要らしいのである。


 だからこそ……


 ここは確実に決める!














「ふふ……! ふはははははははっ!」

 まずは挨拶代わりに我が渾身の雄たけびを聞かせてやると、三人の表情は瞬く間に驚愕の色を見せていた。
 ふふ、掴みは上々……

 ここからも畳みかけるぞ、我が最大の作戦”自分を尊大に見せて威圧する作戦”を成功させるのだ!

「いやあ、諸君らは実に幸運だ……我という最高の戦力……いや、地上に舞い降りた神とも言うべきか――とにかく素晴らしい存在を、パーティメンバーとして有する事ができるのだからなっ! はははははっ!」

 はははっ、どうだ!?
 最早目の前の三人に活力は見えず、完全に気おされている様子だ。

「そう、今こそ……我が神聖なる名を明かそう。心して聞くがよいっ!」

 ここまでは完璧だ……!
 そして――

「我が名は『レギ』! 今日から諸君らと共にパーティ生活を送る事になった、まっ……力は我の足元にも及ばぬだろうが……悪いようにはしないぞ! 神はいつでも寛大だからなっ! ははははははっ!」

 我が名を告げたこの瞬間、このパーティの実質的支配権は我が握ったも同然……
 ああ、遠く離れた師匠よ……

 弱かった我にここまで育て上げてくれた事、今ここで感謝するぞ。



 ……と、三人からの反応が返ってこない訳だが……
 まあ、それはいいとしよう。

 とにかくこれで追放の心配は――――

「……ねえ」

 悠々と我が覇道を歩み始めた瞬間、後ろから水を差す声が響いた。
 どうやら、先程我が支配下に入ったシーラのようだ。

 全く、仕方ない奴d――――


 振り返ろうとした瞬間、


「で、貴方の天職は……?」

 シーラは、物凄い不愉快そうな笑みを浮かべて……
 ただ、冷徹に……

 途轍もなく惨い質問を投げてきたのだった。
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